公立中学校教師の辛口教育コラム。一般の方に分かりやすく心がけてます。真面目なだけのセンセは服用に際して十分ご注意下さい(笑)
高校で、クラスのメンバーがいなくなる理由はいろいろある。
悪さをして退学とか、もともと机に座ってしおらしく勉強などするガラでもないのに、
間違って高校に来てしまった奴とか、ふつうに家が引越しとか、そんなところだろう。

そのどれでもなく、誰にも詳しく告げずに、ある日ひっそりいなくなることもある。
それがこれ。

私立高校中退率 経済的理由過去最悪に (2008.6.11 産経新聞)
 経済的な理由で平成19年度に私立高校を中退した生徒が少なくとも全国で407人(調査対象生徒数比0・21%)に上ることが、全国私立学校教職員組合連合(全国私教連)の調査で分かった。10年度の調査開始以来、最悪を記録した。

 調査は、全国の私立高校の約5分の1にあたる28都道府県234校、約19万5000人を対象に行われた。経済的な理由による中退率は、過去最悪だった16年度の0・19%(279人)に比べ0・02ポイント上昇、1校当たりでも1・74人と過去最悪だった。

 全国私教連は「他の理由により中退している生徒の中にも、家庭の経済的な事情が背景となっている者が潜んでいる」と、実際はもっと多いとみている。


記事にもあるように、学費のかかる私学でのケースが目立つ。
最初から苦しい家計の中で無理をしていた場合もあるし、親が事業に失敗したり倒産したり、
突然リストラされて、高校どころではなくなることもある。

俺の周りでも、実際にそういう生徒が何人かいた。
近所の公立に転校して元気に通っている子はまだしも、家族で夜逃げ同然に引っ越して、
その後行方知れずというのもある。生徒には気の毒な話だが、残念ながらどうにもならない。

このご時世だから、そういうこともあるだろうとため息をつくのだが、確かにバブルだの
言っていた時代には、こんな話はそう聞かなかった。金がなくて中卒で働くことはあっても、
家庭の経済的事情でせっかく入った高校中退というのは、最近のように多くはなかった。

そんなところへ、このニュースを合わせて読むと、さらに気が重くなる。

橋下知事、私学助成25%削減へ 小中学校、全国最低 (2008年6月3日 朝日新聞)
 大阪府の橋下徹知事は、私立学校の学校運営費に対する助成金を、小学校と中学校で25%、高校で10%、幼稚園で5%それぞれ削減する方針を固めた。これによって、児童・生徒1人あたりの助成金額が小中学校で全国最低に、高校はワースト2位の水準に転落する。

 運営費助成金は、私立学校が安定した教育を提供できるように設けられている制度。国庫補助金と地方交付税を財源に、07年度の助成額は高校約242億円、中学校約66億円、小学校約20億円、幼稚園約162億円だった。

 各校には、児童・生徒の1人あたりの単価を決め、人数に応じて配分する。07年度の1人あたりの助成水準は、小学校は26万2150円で全国27位、中学校は28万6446円で15位、29万3560円の高校は45位の低さだった。

 知事直轄の改革プロジェクトチームが4月にまとめた削減率では、小中学校は30%、幼稚園と高校は10%だった。これによる削減効果は今年度の8月以降で約45億円、来年度は68億円を見込んでいた。

 橋下知事は小中学校の削減率が高校などと比べて高いことについて「義務教育は望めばみんな公立に通うことができる。私学の付加価値を求めるなら公立よりもお金がかかるのは当たり前だ」との認識を示していた。

 多くの私立学校では助成金が学校運営費の約3割を占めており、大阪私立中学校高等学校連合会は「助成金が削減されると、授業料を上げざるを得なくなり、生徒募集にも影響が出る」として、現状維持を求めている。


大都市では、公立も私立も多くの学校が入り乱れているので、各自の能力や個性に合わせて
選択肢が多い。幼稚園から大学まで、すべて私立で通すこともできる。
公立で大学まで通すにはそれなりの学力が必要だから、誰でもというわけにはいかない。

しかし高校なら、大阪では、ぶっちゃけピンからきりまで公立で選ぶことができるという。
だったら全員が授業料の安い公立高校に行くかというと、そうはなっていない。
私立高校にもちゃんとそれぞれのニーズがあって、公立と棲み分けをしているわけだ。

こういう状況で、私学助成金の削減は、当然のように私立学費の値上げを招く。
小学校や中学校だけの私学は多分ないだろう。経営母体は小中高とも同じ学校法人だから、
グループ全体的な学費値上げとなるだろう。

助成金を減らされた上に学費値上げで生徒が減れば、さらに経営が苦しくなる悪循環。
そして高校中退者だけでなく、きっと私立小中学生の中退者が出てくる。

大阪では、貧乏人は私学に行くなってことだ

結局、私学に行ける者は、より高収入の世帯に絞られていく。教育格差はますます拡大する。
公立だけですべてのニーズをカバーできない。だから今まで、私学も公立も共存してきたのだ。
義務教育は公立に通え、と橋下知事は言うが、その橋下知事の采配で大阪府の公教育は、
これからコストダウンの嵐に突入していく。

手段は何であれ、今までより魅力ある教育が期待できるならそれでもよかろう。
しかし俺には、まだその光が見えてこない。困ったものだ。

そして私学中退のトラウマを背負った子供たちが、俺たち公立学校のところにやってくる。
苦しい家庭の事情も垣間見える。だから人ごとではないのだ。


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秋葉原での痛ましい事件は、被害者の無念を思うと語る言葉がない。
万死に値する罪というが、たとえあの凶獣の万死をもってしても、たった一人の被害者の命を償うことも絶対にできない。亡くなった方の冥福を祈るばかりである。

大きな事件の陰に隠れてしまっていたが、6月8日は実はこんな日でもあった。

付属池田小事件から7年、在校生が式典で誓いの言葉  (2008年6月9日 読売新聞)
 大阪府池田市の大阪教育大付属池田小学校で2001年6月8日、8人の児童が死亡し、教師2人を含む15人が重軽傷を負った殺傷事件発生から7年を迎え、同校で8日、追悼式典「祈りと誓いの集い」が営まれた。
 今年は在校生代表として、事件できょうだいを亡くした6年生の児童が、家族を失った児童として初めて、誓いの言葉を述べた。
 式典には遺族や教師、在校児童ら約1600人が出席。犠牲者の名前が刻まれた「祈りと誓いの塔」(高さ4・5メートル)の八つの鐘を鳴らし、全員で黙とうをささげた。
 在校生代表の児童は「8人の亡くしたかけがえのない命が、事件を知った人たちによって生かされますように。安全で安心な世界をつくるために努力し続けます」などと誓った。


そして同じ大阪では、3年前にはこんな事件があった。

大阪府寝屋川市の小学校内殺傷事件 (2005年06月16日 西日本新聞)
今年(※筆者註 2005年)2月14日午後、大阪府寝屋川市立中央小で、教職員3人が刺され、うち鴨崎満明教諭=当時(52)=が間もなく死亡、ほかの2人も重傷を負った。大阪府警が殺人未遂の現行犯として同小卒業生の無職少年(17)を逮捕。殺人容疑などでも追送検した。事件を受け、大阪府は大阪市を除く市町村の小学校に警備員を配置する事業を開始。大阪市は警察官OBらを警備員として小学校を巡回させることを決めた。

教育関係者の一人として、いつ自分の身に降りかかってもおかしくないと、背筋が凍る思いの
事件だった。

さて大阪の教育は今、どうなっているのか。

小学校警備員の補助金、来年度から廃止 橋下知事が語る (2008年5月30日 朝日新聞)
 大阪府の橋下徹知事は30日、財政再建をめぐる府教委との公開討論で、公立小学校への警備員の配置のための市町村への補助金を来年度から廃止すると語った。

 05年の寝屋川市立小学校での教職員殺傷事件をきっかけにできた、警備員の配置費用を府が半額補助する仕組みについて、改革プロジェクトチームは10年度を最後に廃止する案をだしていた。知事はそれを2年繰り上げる考えを示した。警備員配置の府予算は07年度で5億4300万円。


橋下知事が、もう警備員いらないってよ

のどもと過ぎれば何とか言うが、当時、橋下知事は当事者ではなかったから、直接の関わりは
なかったはずだ。池田小学校の事件についての彼のコメントもネットで拾えるが、
それについてはここでは触れない。

これも様々な予算削減の中のひとつにすぎないわけだが、教育関係では、他の公務員同様、
教師の給料ががっぽり減らされる。俺と同年代の知人も、年収が数十万減ると頭を抱えていた。
もっともこれは大阪府に限らず、全国的な傾向なので、俺もひとごとではない。
しかし同じ教育予算でも、教師の給料と危機管理費を同列に削減するのはいかがなものか。

警備費は子供の命を守る金なんだけどな

格好つけて給料が減るのは我慢したとしても、そっちを削るのってさすがに違うだろ。

まあ、その分、橋に電球つけたりするらしいけど。

中之島3橋ライトアップ提案 水都事業で橋下知事、修正 (2008年6月7日 朝日新聞)

もはや俺達は、その電球で人の心がなごんで痛ましい事件を未然に防いでくれることを祈るしかないのだろうか。給料削減といい、本当に気持ちの萎える思いだ。

ちなみに附属池田小学校の皆さんは心配する必要はない。国立だから橋下府知事は手が出せないんだな。大切な命が危うくなることはないから安心してくれ。

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「教師は世間知らず」「学校では社会の常識は通用しない」などと叩かれることがよくあるが、
この現状もそのひとつの例ではないだろうか。公立高校入学金未払い問題の続報だ。

入学金未払い・学費未納、悩む現場 退学勧告も(2008年04月16日 朝日新聞)
 千葉県立八千代西高校(八千代市)で入学金を払っていない生徒2人が入学式に出られなかった。入学金未納や授業料滞納の増加は全国的な現象で、退学など厳しい処分を決めた教育委員会も少なくない。同じ問題に悩む全国の公立高校からは、「やむを得ない」「それでいいのか」という賛否両論が上がる。

 ◆総出で家庭訪問

 千葉県西部の県立高校の校長は「条例がある以上同様の対応を取るだろう」と八千代西に理解を示す。
 この校長は、前任の高校で授業料の滞納が相次ぎ、担任や事務職員総出で電話や家庭訪問を繰り返した。「卒業後になっても分割で頑張って払ってくれる家庭もある。払わずじまいでは不公平だ」
 別の県立高校の教頭も「まず入学して、その後に入学金を納めるというのはあり得ない。勝手に条例を変えてしまうことになる」という。
 未納は千葉だけの悩みではない。例えば、北海道教委は今春、資力があるのに道立高校の授業料や寄宿舎費を支払わない場合、生徒を出席停止や退学にすることにした。すぐに払えないなら5年以内に納付する計画書の提出を求める。

 山梨県も4月、授業料を6カ月分未納で出席停止、さらに2カ月で退学を勧告できるようにした。
 県立甲府工業高校は、経済的な事情を抱える生徒に許可制でアルバイトを認めている。ガソリンスタンドやコンビニで働き、授業料を自分で出す生徒もいる。戸田泰明校長は「将来は社会に出て働く子たちなので、その体験が生きてくる。そう指導する方法もあると思う」と話す。
 一方で、県立富士北稜高校の山田泰男校長は「決まりがある以上、八千代西は間違ってはいないと思う」としつつも、「入学式はスタートなので、本校ならとりあえず出させるかもしれない。矛盾するかもしれないが……」と悩む。

 茨城県では3月から実施した要綱で、7カ月以上滞納し、支払う意思も見せない滞納者に対しては簡易裁判所に申し立てることを決めた。
 県立竜ケ崎第二高校でこの制度を説明すると、33カ月分を滞納した卒業生が、毎月5千円ずつ支払うことを決めたという。仲澤進校長は「滞納者の家には私も何度も家庭訪問した。取り立て屋になったようでつらい」と話す。

 入学金(全日制5500円)を払っていない生徒や卒業生が06年度で850人を数えたのは大阪府立高だ。府教委は翌年度、入学を取り消せる規定を設け、滞納はゼロになった。
 しかし、「たとえ滞納しても入学式や卒業式に出席させないことはあり得ない。生徒に罪はないんだから」とある府立高校長(58)は言う。

 この高校では常に20〜30人が滞納。担任たちは電話や手紙、家庭訪問などで納付を説得。生活保護費に含まれた授業料を使い込む親もいるため、支給日には担任が市役所に付き添うことも。授業料の一部を担任が立て替えたこともあるという。

 ◆「県条例で仕方なく」

 「学校としても出席させたかった。しかし、県条例で入学金を納めないまま入学を許可することができず、仕方がなかった。苦渋の選択だった」。千葉県立八千代西高の須藤信夫教頭は、そう話す。
 県施設の使用料や手数料についての条例に従い、県立高校の入学金は、手続きをする入学式当日に納付する。
 八千代西は、入学予定者に合格証明書を送付する際、費用や納付法を説明する文書を同封した。3月には保護者向けに説明会を開き、「当日に全額納付が難しければ分割もできる。授業料減免制度もあるので、事務室に相談に来てほしい」と伝えた。2人の保護者は説明会に出席。8日の入学式には一方の保護者だけ出席した。

 県教委によると、県立高校の授業料滞納は99年度まで全くなかったが、00〜04年度に急増。その後、減少に転じたが、これは出席停止処分にできるなどとする要綱を定めたためではないかという。


この記事で、やっと現状がなんとなく見えてきたのではないだろうか。

前回、俺は珍しく(?)厳しい言葉を吐いたのだが、それなりの背景があるのが多少なりとも
理解していただければ幸いである。

今回冒頭で、学校では社会の常識が通用しないと書いたが、ツケどころか食い逃げ踏み倒しが
まかり通ってしまうんだから、確かに常識は通用しないわな(笑) 一般世間のように、
信販会社や怖いお兄さんが来るようになれば、きちんと払ってくれるのかもしれない。

そして、大阪の府立高校校長の、

「たとえ滞納しても入学式や卒業式に出席させないことはあり得ない。生徒に罪はないんだから」

これも、世間知らずの教師をよく表している言葉だろう。
民間で、一般世間で、金に関してこんな甘い話が通用するなら誰も苦労しない。
民間校長なら、こんなたわごとは一蹴しただろう。だってそれじゃ一瞬で倒産するから。

しかしだ。ここでちょっとゴーマンかまさせてもらう。

あえて言おう。それが教師の良心だ

最近はその良心につけこむ輩がなんとも多い。支える心を失った良心は、あまりにもろい。
地域や保護者に替わって学校や教師を支えてくれそうなものは、今のところ行政しかない。
学校が、条例や罰則で武装しないとやっていけない世の中。
うすら寒いものを感じるが、それも時代なのだろう。

毎日は案の定、何のフォロー記事もない。真面目にあちこち取材した朝日との差は歴然。
しかし教育問題の報道は、賛否の論調に差がつくことがけっこうある。日和見報道では
つまらないが、よく調べずに決め付けると恥をかく。ポピュラーなのに謎も多いのだろう。


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そもそも報道はナマの情報を客観的に伝えるものではなく、事実の断片を使って語り手の
主張を伝えるものであることは、皆様先刻ご承知のことと思う。たとえばこの記事。
見出しが語る論調は明らかだし、ごていねいに文末のコメントで念押しをしてある。

入学式:入学金未納、式に出さず 新入生2人、別室待機−−千葉の県立高 
 千葉県八千代市の県立八千代西高校(大迫太校長、339人)が、入学金未納の新入生2人を入学式に出席させなかったことが12日分かった。大迫校長は「授業料滞納が目立ち、未納は負担の先送りと思った」と話すが、県の公立高校教職員組合は「非教育的対応」と批判している。

 県教委と同高によると、新入生159人に、入学金、教材費など9万円を8日の入学式に持参するよう求めていた。男女各1人が「お金が用意できない」などと持参せず、式直前、校長がそれぞれの担任に別室での待機を指示した。2人は約40分の式の間、教室と会議室で待機した。

 男子生徒は式前に学校の指示で母親に「入学金を払わないと式に出られない」と電話で事情を説明。母親は「後で払う」と答えたが、学校側は「滞納の可能性がある」として出席させなかった。母親は午前11時ごろ、9万円を持参して学校を訪れたが、式は終わっていた。その後、生徒は校長室で氏名を読み上げられ、「入学を許可する」と伝えられた。

 女子生徒の母親は午後5時ごろ、2万円を学校に持参し、同様に入学を許可された。

 大迫校長は「入学式当日に必要なお金は3月の説明会で伝えている。経済的問題があれば相談するよう話した。苦渋の決断だったが、当然の判断だと思っている」と説明。県教委指導課の田山正人・主任指導主事は「保護者と生徒にはつらい思いをさせてしまった。事前に入学金についての十分な説明をしており、学校としてはやむを得ない判断だったと思う」と話している。

 教育評論家の尾木直樹・法政大教授(臨床教育学)は「極めて機械的、官僚的対応。学校側は2人だけではなく、生徒、保護者に謝罪すべきだ」と話している。
 (毎日新聞 2008年4月13日)

要するに高校の対処が責められているのは明白だが、毎日新聞は、その論調で大多数の
読者が納得すると信じていたのだろうか。俺はむしろその姿勢に違和感を覚える。

ということで、いつものように補足解説をしていく。

高校は「経済的問題があれば相談するよう話した」ということだが、このあたりのいきさつは、
朝日新聞が詳しいので、以下、その部分だけ引用しておく。重要なポイントなので要注意だ。

同校と県教委によると、新入生159人は入学金5650円や教材費、授業料など計9万円を入学式当日に納めることになっていた。ところが2人の生徒が未納であることがわかり、保護者に連絡したところ、それぞれ「今日は払えないので、後日支払いたい」「お金を持ってきていない」と話したという。
 (中略)
 学校側によると、入学金などを式の当日に納めてもらうことは、合格証書を送付したときに説明書を同封し、3月17日に行われた入学者説明会でも連絡していた。その際、「持参するお金は一部でもいい。分納もできるので、経済的な心配があれば事前に相談してほしい」と伝えたという。説明会には2人の保護者も出席していたという。

(2008年04月13日 朝日新聞)

朝日の記事にあるように、保護者から事前にひとこと連絡があれば、こんな事態にはならない。
そんな例は珍しくもない。学校側はよくある通常業務として、粛々と対処するだけだ。
保護者の立場でも、経済的な事情がある場合、各種の奨学金など、事前に対処できる方法は
いくらでもある。もちろん高校入学後の申請もできる。

だから、この記事のポイントは、保護者の経済的な問題が云々などではない。
昨年は給食費未納問題が話題になったが、俺はあれに通じるにおいを感じる。
いくらなんでも「忘れた」などという単純な話ではないだろう。
仮にも大人のやることなのだから。

この親、連絡がなければ
知らん顔するつもりだったのだ


入学式後、本当に払うつもりがあったかどうかは俺には分からない。
しかし、少なくとも入学式当日については、この状況では確信犯だ。

我が子の為に
電話1本入れられなかったのだろうか


入学に限らず、所定の期日までに必要な費用を納めるのは、世の中のルールとして当然のことだ。
私学なら、期日までに振込みがなかった時点で自動的に入学資格を失効し、チョンだ。
それでも実際は、念のため高校から中学校に確認の問い合わせがあるものだ。

義務教育とは違うのだよ、義務教育とは

この親たち、世の中甘く見すぎちゃないか? 学校をなめるのもたいがいにしろと言いたい。
公立高校は慈善事業ではない。こんないい加減な親は、入学拒否されても仕方ないと思うがな。
子供には罪は無いと言うが、こんな親に育てられていると、やがて子も同じ過ちを繰り返す。
現場の空気を知りもしないどこぞの教育評論家に、「生徒、保護者に謝罪すべきだ」などと
見当違いの後押しをされて甘やかされたら、本当にろくな子に育たないぞ。

給食費未納は食い逃げだが、これは食券も買わずにメシを食おうとしているようなものだ。
こうやってマスコミが油を注いで回って、今度は入学金未納問題を演出か?(笑)


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数々の話題を提供してくれた和田中の藤原校長だが、今年度末で任期が終了する。
後任もリクルート出身の代田氏なので、新年度も和田中の話題は途絶えることはないだろう。
本年度は夜スペで終了かと思っていたら、最後の最後にまだネタが残っていた。

杉並・和田中「脱PTA」宣言 地域ぐるみの支援組織に(2008年03月23日 朝日新聞)
数々の教育改革で知られる東京都杉並区の区立和田中学校は22日、PTAの役職を簡素化し、区のPTA協議会(P協)から脱退することを決めた。4月以降、PTAは地域の協力者で作る「和田中地域本部」の一部門となる。文部科学省は新年度から、和田中をモデルに「学校支援地域本部」を全国1800カ所に置く方針。都市部を中心にPTAの担い手は減っており、保護者だけに頼らない和田中方式は広がる可能性がある。

PTA会員数の推移

 3月末に任期満了で退任する藤原和博校長が、この日の学校運営協議会で報告した。(1)PTAは地域本部の一部門の現役保護者部会とする(2)各クラスの保護者から役員を選ぶ仕組みは変えないが、会長は選出せず役職も少なくする(3)区内のPTA役員が集まる会合には今後参加しない――が主な内容。

 1月のPTA運営委員会で方針は承認されており、5月の総会で正式決定する。藤原校長は「慣例で続けている仕事をリストラし、必要なことに力を注ぎたい。全国のPTAの参考になるのではないか。親と地域の人が協力し学校を支える態勢を強めたい」と話す。

 一方、文科省は、中学校区ごとに学校支援地域本部を設けようと、08年度予算案に50億4000万円を盛り込んだ。

 地域本部には、教職員や保護者に加え地域の代表者が入り、部活動の支援や、学校環境の整備、登下校のパトロールなどでかかわる。また、理科の授業やキャリア教育、自然体験などを支援できる専門家を探し出して、有償で招く。


藤原校長本人による趣旨説明はこちら。
慣性の法則から抜けられないPTAのみなさんへ、和田中より愛を込めて (PDF)

この記事にコメントする前に、PTAについてちょっと語っておく。

はい、そこのお母さんお父さん。今、PTAって聞いて、ため息つきませんでしたか?
旗持ち当番とか読み聞かせとかパトロールとか、頭の中に浮かびませんでしたか?
ああもうすぐ4月だ、役員選挙の電話が回ってきたらどうしよう、名簿の最初は損なのにとか、
親の立場でいると、PTAというのもなかなかに悩ましいものだ。

たとえば学級役員選挙。中には率先して立候補する積極的な保護者の方もいるのだが、
たいていは、避けられるものなら避けたいのが本音だ。だからその裏返しで、
「うちは仕事があるので出来ません」なんて言おうものなら、専業主婦を差別するのか等と、
突込みが入ったりする。そうやってもめた挙句、
「こちらでは決められませんから、学校で決めて下さい」となり、担任が頭を下げて回ったり
するという、本末転倒の事態になる。そんなになり手がなきゃPTAなんぞつぶしてしまえば
いいと思うのだが、つぶすには勇気とパワーがいるので、絶対につぶれない(笑)

学級役員も、小中学校を通して一度でも役員をやればそれでお役御免、で済む地域もあった。
たとえばクラスに4人の役員なら、9年間で36人、つまりほぼ全員の保護者が、義務教育期間中に一度は役員を経験することになり、これはこれで公平ということで理屈が通っている。

つまり誰もPTAなんかやりたくないわけ

かくして本来の趣旨を見失ったPTA活動は「旗持ち当番は雨の日も傘を差してはいけない」、などという意味不明の鉄の掟を生み、冷たい雨の日に乳飲み子を背負ってレインコートを着て
半泣きで交差点に立ち、ヤケクソで黄色い旗を振る母親の光景を演出することになる。

ちなみにこれは実話だからな。俺の子供が通っていた小学校での話だ。
自分に乳飲み子がいたら、PTA会長に怒鳴り込んでいたところだ。

いったい誰のための、何のためのPTAなのか。

教師の立場にしても、なにかと悩ましいことが多い。
たとえばPTA会費。俺が今までに勤務した数校では、すべて教師も会費を払っていた。
教師にとって、PTAは任意加入の団体ではない。実質的に業務の一部である。
赴任と同時に自動的に会員となり、給料からPTA会費が天引きされている。
俺はずっと疑問に思っている。

仕事でやっているのになんで自腹なのか?

会費を何に使っているのかというと、本部運営費とか印刷費とか卒業記念品代とか慶弔費とか。
この慶弔費の中に、職員への餞別というのが組み込まれているPTAがあった。
その学校での勤続年数に応じて、異動時の餞別が増額されるというもので、毎年払う会費は
それで実質的にチャラになるシステムだった。うまいこと考えたものだ。

だったら最初から会費なんぞ取らなけりゃいいのだが、PTAのTはティーチャーのTだから、
教師も会費を払うのが当たり前だろう、という突込みが入るわけだ。難儀なことだ。

次元の低い話だが、要するにこれが、藤原校長の言う「慣性の法則から抜けられないPTA」の
実態だ。慣性とはまた控えめに言ったもので、本音は惰性といいたいところだろう。
そんな組織なら、つぶしてしまって、地域を核とする組織の下に組み入れてしまえ、というのが
藤原校長の構想である。

いや、これは実現できれば素晴らしいと思う。

毎年人が入れ替わるPTAと違って、長期を見越した継続的な計画や活動ができ、中学校だけでなく地域を基盤とした幅広い範囲での規模となる。もうPTAという形態自体、古いのだ。

問題なのは、地域にそんな力があるかどうかだ

地域をベースにすると、たとえば私学に通っている生徒が3割以上いる地域なんて、いったい
どうするんだろうとか、素朴な疑問もわいてくるのだが、それは本質的なことではない。

地域と言っても、家しかない住宅地で、時間のあるのは犬を連れて散歩しているジーチャンバーチャンだけの所だっていくらでもある。地域で生きていない人間の住む街は多い。
そんなところでは、地域は名目だけで、町内会長がおざなりに名前を連ね、結局、中学校の
校長と教師が奔走することになる。

藤原校長のように、大企業のコネを使って人脈をたどって、人材を引っ張ってくるだけの力が、世間知らずのしがない公務員の校長にあるわけはない。校長は仮の姿、という人とは違うのだ。

昔々、校長は地域の名士だった。そしてそれを支える力が、地域にはあった。
もちろん、今もそうだという校長も地域もあるだろう。
しかし、校長や教師の権威は地に落ち泥にまみれている現実は、まわりにいくらでもある。

だから、力のない地域と、そこにある学校には、それをバックアップする公的なシステムが
必須となる。地域を活性化するために、よそから人材を派遣するというのも、何だかなあと
いう気がするが、昔々存在していた、地域の人のつながりというものを新たに再現させるには、
それぞれの地域の特性に応じたフランチャイズ的なノウハウが必要となるだろう。

そのコーディネイトこそ、民間の力の得意分野だと思うのだが、いかがなものだろう。

だいたいだな、近所の悪ガキも叱れなくなった大人しかいない地域で、人のつながりも地域の力も、
とうの昔に消滅してるんだよ。まずそっから手を入れないとな。


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