公立中学校教師の辛口教育コラム。一般の方に分かりやすく心がけてます。真面目なだけのセンセは服用に際して十分ご注意下さい(笑)
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「教師は世間知らず」「学校では社会の常識は通用しない」などと叩かれることがよくあるが、
この現状もそのひとつの例ではないだろうか。公立高校入学金未払い問題の続報だ。

入学金未払い・学費未納、悩む現場 退学勧告も(2008年04月16日 朝日新聞)
 千葉県立八千代西高校(八千代市)で入学金を払っていない生徒2人が入学式に出られなかった。入学金未納や授業料滞納の増加は全国的な現象で、退学など厳しい処分を決めた教育委員会も少なくない。同じ問題に悩む全国の公立高校からは、「やむを得ない」「それでいいのか」という賛否両論が上がる。

 ◆総出で家庭訪問

 千葉県西部の県立高校の校長は「条例がある以上同様の対応を取るだろう」と八千代西に理解を示す。
 この校長は、前任の高校で授業料の滞納が相次ぎ、担任や事務職員総出で電話や家庭訪問を繰り返した。「卒業後になっても分割で頑張って払ってくれる家庭もある。払わずじまいでは不公平だ」
 別の県立高校の教頭も「まず入学して、その後に入学金を納めるというのはあり得ない。勝手に条例を変えてしまうことになる」という。
 未納は千葉だけの悩みではない。例えば、北海道教委は今春、資力があるのに道立高校の授業料や寄宿舎費を支払わない場合、生徒を出席停止や退学にすることにした。すぐに払えないなら5年以内に納付する計画書の提出を求める。

 山梨県も4月、授業料を6カ月分未納で出席停止、さらに2カ月で退学を勧告できるようにした。
 県立甲府工業高校は、経済的な事情を抱える生徒に許可制でアルバイトを認めている。ガソリンスタンドやコンビニで働き、授業料を自分で出す生徒もいる。戸田泰明校長は「将来は社会に出て働く子たちなので、その体験が生きてくる。そう指導する方法もあると思う」と話す。
 一方で、県立富士北稜高校の山田泰男校長は「決まりがある以上、八千代西は間違ってはいないと思う」としつつも、「入学式はスタートなので、本校ならとりあえず出させるかもしれない。矛盾するかもしれないが……」と悩む。

 茨城県では3月から実施した要綱で、7カ月以上滞納し、支払う意思も見せない滞納者に対しては簡易裁判所に申し立てることを決めた。
 県立竜ケ崎第二高校でこの制度を説明すると、33カ月分を滞納した卒業生が、毎月5千円ずつ支払うことを決めたという。仲澤進校長は「滞納者の家には私も何度も家庭訪問した。取り立て屋になったようでつらい」と話す。

 入学金(全日制5500円)を払っていない生徒や卒業生が06年度で850人を数えたのは大阪府立高だ。府教委は翌年度、入学を取り消せる規定を設け、滞納はゼロになった。
 しかし、「たとえ滞納しても入学式や卒業式に出席させないことはあり得ない。生徒に罪はないんだから」とある府立高校長(58)は言う。

 この高校では常に20~30人が滞納。担任たちは電話や手紙、家庭訪問などで納付を説得。生活保護費に含まれた授業料を使い込む親もいるため、支給日には担任が市役所に付き添うことも。授業料の一部を担任が立て替えたこともあるという。

 ◆「県条例で仕方なく」

 「学校としても出席させたかった。しかし、県条例で入学金を納めないまま入学を許可することができず、仕方がなかった。苦渋の選択だった」。千葉県立八千代西高の須藤信夫教頭は、そう話す。
 県施設の使用料や手数料についての条例に従い、県立高校の入学金は、手続きをする入学式当日に納付する。
 八千代西は、入学予定者に合格証明書を送付する際、費用や納付法を説明する文書を同封した。3月には保護者向けに説明会を開き、「当日に全額納付が難しければ分割もできる。授業料減免制度もあるので、事務室に相談に来てほしい」と伝えた。2人の保護者は説明会に出席。8日の入学式には一方の保護者だけ出席した。

 県教委によると、県立高校の授業料滞納は99年度まで全くなかったが、00~04年度に急増。その後、減少に転じたが、これは出席停止処分にできるなどとする要綱を定めたためではないかという。


この記事で、やっと現状がなんとなく見えてきたのではないだろうか。

前回、俺は珍しく(?)厳しい言葉を吐いたのだが、それなりの背景があるのが多少なりとも
理解していただければ幸いである。

今回冒頭で、学校では社会の常識が通用しないと書いたが、ツケどころか食い逃げ踏み倒しが
まかり通ってしまうんだから、確かに常識は通用しないわな(笑) 一般世間のように、
信販会社や怖いお兄さんが来るようになれば、きちんと払ってくれるのかもしれない。

そして、大阪の府立高校校長の、

「たとえ滞納しても入学式や卒業式に出席させないことはあり得ない。生徒に罪はないんだから」

これも、世間知らずの教師をよく表している言葉だろう。
民間で、一般世間で、金に関してこんな甘い話が通用するなら誰も苦労しない。
民間校長なら、こんなたわごとは一蹴しただろう。だってそれじゃ一瞬で倒産するから。

しかしだ。ここでちょっとゴーマンかまさせてもらう。

あえて言おう。それが教師の良心だ

最近はその良心につけこむ輩がなんとも多い。支える心を失った良心は、あまりにもろい。
地域や保護者に替わって学校や教師を支えてくれそうなものは、今のところ行政しかない。
学校が、条例や罰則で武装しないとやっていけない世の中。
うすら寒いものを感じるが、それも時代なのだろう。

毎日は案の定、何のフォロー記事もない。真面目にあちこち取材した朝日との差は歴然。
しかし教育問題の報道は、賛否の論調に差がつくことがけっこうある。日和見報道では
つまらないが、よく調べずに決め付けると恥をかく。ポピュラーなのに謎も多いのだろう。


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そもそも報道はナマの情報を客観的に伝えるものではなく、事実の断片を使って語り手の
主張を伝えるものであることは、皆様先刻ご承知のことと思う。たとえばこの記事。
見出しが語る論調は明らかだし、ごていねいに文末のコメントで念押しをしてある。

入学式:入学金未納、式に出さず 新入生2人、別室待機--千葉の県立高 
 千葉県八千代市の県立八千代西高校(大迫太校長、339人)が、入学金未納の新入生2人を入学式に出席させなかったことが12日分かった。大迫校長は「授業料滞納が目立ち、未納は負担の先送りと思った」と話すが、県の公立高校教職員組合は「非教育的対応」と批判している。

 県教委と同高によると、新入生159人に、入学金、教材費など9万円を8日の入学式に持参するよう求めていた。男女各1人が「お金が用意できない」などと持参せず、式直前、校長がそれぞれの担任に別室での待機を指示した。2人は約40分の式の間、教室と会議室で待機した。

 男子生徒は式前に学校の指示で母親に「入学金を払わないと式に出られない」と電話で事情を説明。母親は「後で払う」と答えたが、学校側は「滞納の可能性がある」として出席させなかった。母親は午前11時ごろ、9万円を持参して学校を訪れたが、式は終わっていた。その後、生徒は校長室で氏名を読み上げられ、「入学を許可する」と伝えられた。

 女子生徒の母親は午後5時ごろ、2万円を学校に持参し、同様に入学を許可された。

 大迫校長は「入学式当日に必要なお金は3月の説明会で伝えている。経済的問題があれば相談するよう話した。苦渋の決断だったが、当然の判断だと思っている」と説明。県教委指導課の田山正人・主任指導主事は「保護者と生徒にはつらい思いをさせてしまった。事前に入学金についての十分な説明をしており、学校としてはやむを得ない判断だったと思う」と話している。

 教育評論家の尾木直樹・法政大教授(臨床教育学)は「極めて機械的、官僚的対応。学校側は2人だけではなく、生徒、保護者に謝罪すべきだ」と話している。
 (毎日新聞 2008年4月13日)

要するに高校の対処が責められているのは明白だが、毎日新聞は、その論調で大多数の
読者が納得すると信じていたのだろうか。俺はむしろその姿勢に違和感を覚える。

ということで、いつものように補足解説をしていく。

高校は「経済的問題があれば相談するよう話した」ということだが、このあたりのいきさつは、
朝日新聞が詳しいので、以下、その部分だけ引用しておく。重要なポイントなので要注意だ。

同校と県教委によると、新入生159人は入学金5650円や教材費、授業料など計9万円を入学式当日に納めることになっていた。ところが2人の生徒が未納であることがわかり、保護者に連絡したところ、それぞれ「今日は払えないので、後日支払いたい」「お金を持ってきていない」と話したという。
 (中略)
 学校側によると、入学金などを式の当日に納めてもらうことは、合格証書を送付したときに説明書を同封し、3月17日に行われた入学者説明会でも連絡していた。その際、「持参するお金は一部でもいい。分納もできるので、経済的な心配があれば事前に相談してほしい」と伝えたという。説明会には2人の保護者も出席していたという。

(2008年04月13日 朝日新聞)

朝日の記事にあるように、保護者から事前にひとこと連絡があれば、こんな事態にはならない。
そんな例は珍しくもない。学校側はよくある通常業務として、粛々と対処するだけだ。
保護者の立場でも、経済的な事情がある場合、各種の奨学金など、事前に対処できる方法は
いくらでもある。もちろん高校入学後の申請もできる。

だから、この記事のポイントは、保護者の経済的な問題が云々などではない。
昨年は給食費未納問題が話題になったが、俺はあれに通じるにおいを感じる。
いくらなんでも「忘れた」などという単純な話ではないだろう。
仮にも大人のやることなのだから。

この親、連絡がなければ
知らん顔するつもりだったのだ


入学式後、本当に払うつもりがあったかどうかは俺には分からない。
しかし、少なくとも入学式当日については、この状況では確信犯だ。

我が子の為に
電話1本入れられなかったのだろうか


入学に限らず、所定の期日までに必要な費用を納めるのは、世の中のルールとして当然のことだ。
私学なら、期日までに振込みがなかった時点で自動的に入学資格を失効し、チョンだ。
それでも実際は、念のため高校から中学校に確認の問い合わせがあるものだ。

義務教育とは違うのだよ、義務教育とは

この親たち、世の中甘く見すぎちゃないか? 学校をなめるのもたいがいにしろと言いたい。
公立高校は慈善事業ではない。こんないい加減な親は、入学拒否されても仕方ないと思うがな。
子供には罪は無いと言うが、こんな親に育てられていると、やがて子も同じ過ちを繰り返す。
現場の空気を知りもしないどこぞの教育評論家に、「生徒、保護者に謝罪すべきだ」などと
見当違いの後押しをされて甘やかされたら、本当にろくな子に育たないぞ。

給食費未納は食い逃げだが、これは食券も買わずにメシを食おうとしているようなものだ。
こうやってマスコミが油を注いで回って、今度は入学金未納問題を演出か?(笑)


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数々の話題を提供してくれた和田中の藤原校長だが、今年度末で任期が終了する。
後任もリクルート出身の代田氏なので、新年度も和田中の話題は途絶えることはないだろう。
本年度は夜スペで終了かと思っていたら、最後の最後にまだネタが残っていた。

杉並・和田中「脱PTA」宣言 地域ぐるみの支援組織に(2008年03月23日 朝日新聞)
数々の教育改革で知られる東京都杉並区の区立和田中学校は22日、PTAの役職を簡素化し、区のPTA協議会(P協)から脱退することを決めた。4月以降、PTAは地域の協力者で作る「和田中地域本部」の一部門となる。文部科学省は新年度から、和田中をモデルに「学校支援地域本部」を全国1800カ所に置く方針。都市部を中心にPTAの担い手は減っており、保護者だけに頼らない和田中方式は広がる可能性がある。

PTA会員数の推移

 3月末に任期満了で退任する藤原和博校長が、この日の学校運営協議会で報告した。(1)PTAは地域本部の一部門の現役保護者部会とする(2)各クラスの保護者から役員を選ぶ仕組みは変えないが、会長は選出せず役職も少なくする(3)区内のPTA役員が集まる会合には今後参加しない――が主な内容。

 1月のPTA運営委員会で方針は承認されており、5月の総会で正式決定する。藤原校長は「慣例で続けている仕事をリストラし、必要なことに力を注ぎたい。全国のPTAの参考になるのではないか。親と地域の人が協力し学校を支える態勢を強めたい」と話す。

 一方、文科省は、中学校区ごとに学校支援地域本部を設けようと、08年度予算案に50億4000万円を盛り込んだ。

 地域本部には、教職員や保護者に加え地域の代表者が入り、部活動の支援や、学校環境の整備、登下校のパトロールなどでかかわる。また、理科の授業やキャリア教育、自然体験などを支援できる専門家を探し出して、有償で招く。


藤原校長本人による趣旨説明はこちら。
慣性の法則から抜けられないPTAのみなさんへ、和田中より愛を込めて (PDF)

この記事にコメントする前に、PTAについてちょっと語っておく。

はい、そこのお母さんお父さん。今、PTAって聞いて、ため息つきませんでしたか?
旗持ち当番とか読み聞かせとかパトロールとか、頭の中に浮かびませんでしたか?
ああもうすぐ4月だ、役員選挙の電話が回ってきたらどうしよう、名簿の最初は損なのにとか、
親の立場でいると、PTAというのもなかなかに悩ましいものだ。

たとえば学級役員選挙。中には率先して立候補する積極的な保護者の方もいるのだが、
たいていは、避けられるものなら避けたいのが本音だ。だからその裏返しで、
「うちは仕事があるので出来ません」なんて言おうものなら、専業主婦を差別するのか等と、
突込みが入ったりする。そうやってもめた挙句、
「こちらでは決められませんから、学校で決めて下さい」となり、担任が頭を下げて回ったり
するという、本末転倒の事態になる。そんなになり手がなきゃPTAなんぞつぶしてしまえば
いいと思うのだが、つぶすには勇気とパワーがいるので、絶対につぶれない(笑)

学級役員も、小中学校を通して一度でも役員をやればそれでお役御免、で済む地域もあった。
たとえばクラスに4人の役員なら、9年間で36人、つまりほぼ全員の保護者が、義務教育期間中に一度は役員を経験することになり、これはこれで公平ということで理屈が通っている。

つまり誰もPTAなんかやりたくないわけ

かくして本来の趣旨を見失ったPTA活動は「旗持ち当番は雨の日も傘を差してはいけない」、などという意味不明の鉄の掟を生み、冷たい雨の日に乳飲み子を背負ってレインコートを着て
半泣きで交差点に立ち、ヤケクソで黄色い旗を振る母親の光景を演出することになる。

ちなみにこれは実話だからな。俺の子供が通っていた小学校での話だ。
自分に乳飲み子がいたら、PTA会長に怒鳴り込んでいたところだ。

いったい誰のための、何のためのPTAなのか。

教師の立場にしても、なにかと悩ましいことが多い。
たとえばPTA会費。俺が今までに勤務した数校では、すべて教師も会費を払っていた。
教師にとって、PTAは任意加入の団体ではない。実質的に業務の一部である。
赴任と同時に自動的に会員となり、給料からPTA会費が天引きされている。
俺はずっと疑問に思っている。

仕事でやっているのになんで自腹なのか?

会費を何に使っているのかというと、本部運営費とか印刷費とか卒業記念品代とか慶弔費とか。
この慶弔費の中に、職員への餞別というのが組み込まれているPTAがあった。
その学校での勤続年数に応じて、異動時の餞別が増額されるというもので、毎年払う会費は
それで実質的にチャラになるシステムだった。うまいこと考えたものだ。

だったら最初から会費なんぞ取らなけりゃいいのだが、PTAのTはティーチャーのTだから、
教師も会費を払うのが当たり前だろう、という突込みが入るわけだ。難儀なことだ。

次元の低い話だが、要するにこれが、藤原校長の言う「慣性の法則から抜けられないPTA」の
実態だ。慣性とはまた控えめに言ったもので、本音は惰性といいたいところだろう。
そんな組織なら、つぶしてしまって、地域を核とする組織の下に組み入れてしまえ、というのが
藤原校長の構想である。

いや、これは実現できれば素晴らしいと思う。

毎年人が入れ替わるPTAと違って、長期を見越した継続的な計画や活動ができ、中学校だけでなく地域を基盤とした幅広い範囲での規模となる。もうPTAという形態自体、古いのだ。

問題なのは、地域にそんな力があるかどうかだ

地域をベースにすると、たとえば私学に通っている生徒が3割以上いる地域なんて、いったい
どうするんだろうとか、素朴な疑問もわいてくるのだが、それは本質的なことではない。

地域と言っても、家しかない住宅地で、時間のあるのは犬を連れて散歩しているジーチャンバーチャンだけの所だっていくらでもある。地域で生きていない人間の住む街は多い。
そんなところでは、地域は名目だけで、町内会長がおざなりに名前を連ね、結局、中学校の
校長と教師が奔走することになる。

藤原校長のように、大企業のコネを使って人脈をたどって、人材を引っ張ってくるだけの力が、世間知らずのしがない公務員の校長にあるわけはない。校長は仮の姿、という人とは違うのだ。

昔々、校長は地域の名士だった。そしてそれを支える力が、地域にはあった。
もちろん、今もそうだという校長も地域もあるだろう。
しかし、校長や教師の権威は地に落ち泥にまみれている現実は、まわりにいくらでもある。

だから、力のない地域と、そこにある学校には、それをバックアップする公的なシステムが
必須となる。地域を活性化するために、よそから人材を派遣するというのも、何だかなあと
いう気がするが、昔々存在していた、地域の人のつながりというものを新たに再現させるには、
それぞれの地域の特性に応じたフランチャイズ的なノウハウが必要となるだろう。

そのコーディネイトこそ、民間の力の得意分野だと思うのだが、いかがなものだろう。

だいたいだな、近所の悪ガキも叱れなくなった大人しかいない地域で、人のつながりも地域の力も、
とうの昔に消滅してるんだよ。まずそっから手を入れないとな。


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センター試験や中学入試の定例行事を除いて、1月にメジャーになった教育関係のニュースというと、
なんといってもこれだろう。

有料授業スタート…杉並・和田中(2008年1月26日 読売新聞)
 東京・杉並の区立和田中学校(藤原和博校長)で26日、大手進学塾「SAPIX(サピックス)」の講師が担当する有料授業「夜スペシャル(夜スペ)」が始まった。

 週3~4回の夜スペは平日夜の授業が中心だが、都教育委員会の「義務教育の機会均等の点から問題がある」という“待った”で開始日が当初の予定から17日間も延びたため、毎週土曜午前に実施される英語の授業が、初日になった。

 この日の英語は午前9時から行われた。SAPIXの入塾テストに合格した同中の2年生計19人の中で、英語を選択した13人のうち、体調が悪く参加できなかった生徒らを除き、男子1人、女子10人の計11人が参加した。担当講師の年齢や詳しい経歴をSAPIXは明かしていないが、「特に優秀なベテラン」という紺のスーツ姿の男性。冒頭には、「頭の体操」と言いながら、英語のなぞなぞを出し、生徒たちが首をかしげながらも用紙に解答を記入すると、「正解だよ、優秀。素晴らしいじゃない」などと声をかけていた。

 ようやく実施にこぎつけた藤原校長は、「ホッとしている。生徒のために本当に良かったと思う」と話した。

 夜スペは民間のリクルート出身の藤原校長が企画。2年生を対象に月、水、金曜は午後7時から国語と数学を実施し、希望すれば土曜の英語の計3教科を受けられる。月謝はSAPIXの通常の半額程度で、国語と数学で1万8000円、英語も受けると2万4000円。

 予定の2日前になって、都教委が計画の見直しを指導したが、区教委が「保護者らでつくる組織が実施主体となる学校教育外の活動」と位置づけたことで都教委も容認に転じていた。


                               ・・・以下、引用全文は文末追記に掲載

 *「夜スペ」公式資料はこちら。
  和田中の校舎を使って夜間に塾を開きます(PDF) (地域本部HPに掲載) 
  和田中と地域を結ぶページ 

この校長はリクルートから来た民間校長で、あえて俺が説明するまでもないのだが、
興味のある方は、たくさん出ている氏の本でも読んでいただくといいだろう。
日経BP社「校長先生になろう!」は、氏が校長になって具体的に何をやったかが書かれている。
同業者、特に管理職は、いろいろ考えさせられることがあるだろう。
ただし、一般の方が読んでも、もひとつピンと来ないかもしれない。
とにかく、公立中学校で何が出来るのか、限界領域をいろいろ模索している最中だ。

学校選択制で入学希望者が多いことから、その地区では人気が高まっているそうだ。
保護者の皆様で、どうも誤解している方がいるようなので、あえて言わせてもらうが、
氏のやっていることは、日本中の公立中学校のバラ色の未来を約束するものではない。

現役中学生を使った民間の視点での臨床実験だ

俺は否定しているわけではない。ただ、実験だから、当然、成功するアイデアもあれば
失敗するネタもある。色物扱いなので、ふつうの公立中学ではありえないことも許される。
下駄を預けてゴーサインを出したのは行政だから、失敗ネタで公務員の教師が泥をかぶるのは
仕方ないところもある。「この校長の下じゃやっていけん」と転勤希望が出るのもごもっとも。

しかし、生徒も実験台だからな。中学生にやり直しはきかない。そういう意味では諸刃の剣だ。
民間校長の任期が終わったとたん、掌を返したように平凡な中学校に戻ることも十分ありえる。
もともと校長一人の独裁で突っ走っているからこそ、様々なアクロバットが繰り出せるわけで、
あそこを希望する保護者・生徒のみなさんは、それを承知で入学してもらいたい。
実験台という点では附属の学校も似たところがあるが、附属の実験は授業の中身だから、
和田中とは質が違う。こちらは学校そのものの成り立ちから手を加えているわけだから。

で、あの手この手のひとつが、この、一般名称不明の校舎利用の夜間塾「夜スペ」だ。
「平日の夜に学校で開く進学塾」といううたい文句があるが、なんだかんだ言っても、
塾に学校施設を無料で使わせているというのがその実体だ。
校長がコーディネートして学校を使わせておいて、主体は学校ではなく「地域本部主催の
私塾」だとか苦しい言い訳をしているが、なんだかなあ。
本気でこういう事業をやるなら、入札で業者を決定するのが筋だが、どうもそうじゃないわな。
いったいどういう経緯で進学塾サピックスになったのかも興味あるところだ。

校長はモグリの貸し教室屋か

結局、塾がこの実験に参加したのは、地域に貢献などという高尚な理由ではなく、
今まで塾に来ていなかった上位層の生徒を取り込めるという旨みがあるからだ。
中2の冬から軽くやっておいて、もっと本格的に勉強したい者は、適当な時期に引き抜いて
正式に塾本体に来てもらえばいい。塾の営業としては、なかなかおいしい勧誘手段だ。

いわば塾の格安お試し版だな。しかも、会場費、光熱費、管理費は公立学校が負担する。
つまり税金使ってるわけ。そして、参加者の親は実行委員として運営に参加するのが条件だ。
費用は通常の塾の半額とか言ってるが、こんなことしてりゃ、安くつくのは当たり前だ。
公務員たる中学校の教師が塾用の教材を作らされている、という疑惑を差し引いても、だ。

そして、たとえこの企画が途中でボツになって、せっかく初代モルモットになってくれた
生徒達が路頭に迷っても、「ご安心ください。うちの塾で責任持って面倒見ますから」で、
そっくり引き受ける。コケたときの保険までかかっているというわけだ。お見事。
でなければ、自分のところの客を取られかねない事業に、塾が手を出すはずはない。

誰が言い出したか知らんが、「落ちこぼれ」に対して「浮きこぼれ」という言葉がある。
和田中学の藤原校長も、口にしている。
すべてを低きに合わせる公立では、勉強のできる子は相手にしてもらえない。
公立学校はゆとり教育にどっぷりつかっていた。

いわば学習における生活保護レベルが主流だ

きみたち手のかからない子は自分でがんばってね、というのが公立中学おきまりのパターン。
この、相手にしてもらえない成績上位者たちを「浮きこぼれ」という。

別に望んでいるわけではないが、高度な学習をお望みの方は塾へどうぞ、ということだ。

そんなもの最初から分かっているって? そう、公立中学というのはそういうところだ。
俺自身も公立中学生時代にたっぷりと経験してきている。教師になってからも実感している。

高密度高品質を目指したら、詰め込み教育と呼ばれて「落ちこぼれ」を出していると叩く。
それではと、その落ちこぼれに焦点をあわせたゆとり教育に対して「浮きこぼれ」を指摘する。
いやはや、中庸は難しい。

学校利用の進学塾は「浮きこぼれ」対策だそうだが、公立が何をおいても面倒見るべきなのは、
公立中学以外、どこもかまってくれない生徒達だ。親にも見離されて、まともな生活をして
いないような生徒が、塾だ勉強だなんて、そんなもの、それこそよその星の出来事に過ぎない。

もちろん、すべての層の生徒に、個々に最適なあらゆる対策が出来れば言うことはない。
教師である限り、できる子は放っておいていいなどとは思っていないし、人としての礼儀を
すでに身に付けている生徒に、さらに高度な社会生活のマナーを教えてやりたい。
むしろ、一度でいいからそういう子たちを相手に、ケダモノに邪魔されずに、ハイレベルな
授業や、本当に人間的な学校生活をやってみたいと憧れてさえいる。

しかし、様々な制約の中でそれができないとなれば、優先順位は低い方からになる。

ところで、格安の塾「夜スペ」の購買層は、どんな家庭および生徒だろうか。
そもそも意識の高い生徒は、最初から塾に行っているから、こんな教室に来る必要はない。
成績上位の学力を持っていながら、理由はともかく中2の時点でまだ塾に行っていない生徒。
ちょっと考えれば、いまどきこんな子は少数派なのはすぐ分かる。
だから、全国に報道されて大騒ぎした割には、ネズミにたとえては失礼だが、大山鳴動して
たった10人ほどなのだ。

俺は、公立中学校が、成績上位者対象になんらかの対策を行うこと自体は大賛成だ。
不平等だなどという声があるが、明らかに層の違う生徒に、一律に同じことしかしない方が、
よほど無神経で悪平等というものだ。もっとも、それが一斉授業の背負う宿命ではあるのだが。

今回の件で大切なのは、「夜スペ」の様々な矛盾や問題点や疑惑をつつき出すことではない。

裏技を駆使し詭弁を弄さなければ

浮きこぼれ対策が出来なかった

俺はそのことを強調したい。
すぐれた民間パワーで、あふれるアイデアを駆使して実験をやってきた藤原校長でさえ、
こんな苦しまぎれの策しか出なかったというこの事実が、公立中学校の限界を物語っている。

この試みが目指しているものは、つまるところ、格安料金の公立塾だ。
それを成立させるには、一公立中学校の一校長の裁量だけでは無理があることを、藤原校長は
示唆してくれた。公立は公立なりのお役所的段取りをクリアしていけば、公立学校を補完する
機関として、親にとっても生徒にとっても有り難い施設が出来ることだろう。

親にとって、経営母体がどこだとか、費用がどこから出ているかは、二の次だ。
関心があるのは、家計からどれだけ出て行くかと、出費に見合った効果があるかどうかだ。
公立塾で安上がりにやられたら、一般の塾は客を取られるので、さらなる差別化が進むだろう。

ただし公立塾は、学校のあり方を根本から見直し、社会の教育システムを改編する事業になる。

そんなことを考えると、気楽に批判ばかりしているわけにはいかないのだ。

これ、中堅私学でやれば儲かるよ。どっかの誰かさんみたいに、傾きかけた私学を買い取って、
公立中学で実験したノウハウを使って、好きに経営すればいいんじゃないかな。
いい学校ができると思うけどな。いや、皮肉ではなくマジで。


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成人式の日は、街に出るときれいな振袖がたくさん歩いている。それを眺めて楽しんで、
夜、テレビで各地の成人式の様子を見るのが毎年恒例の行事のようになっている。

ここ何年か、成人式で暴れるバカ餓鬼の醜態が報道され、非常に不愉快だ。
式のあとで暴れる奴は、きちんと大人扱いして厳格に法の裁きを受けさせればよいが、
式そのものを荒らすなど問題外。

あの手の連中には共通の特徴がある。やっていることが中学生とまるで変わらないのだ。
それは何より、同席したまともな成人たちが痛感しているだろう。
中学時代に我が物顔で好き放題していた悪ガキが、まったく同じ乗りで成人式会場で暴れる。
中学校卒業後、生活圏が違うのでしばらく顔を見なかったのに、成人式でまた鉢あわせ。
見たくもないものを見せられて「またあいつらか」と、うんざりしたはずだ。

なんであんなに暴れるのか。俺に言わせれば理由は簡単だ。あいつらは成人などではない。

精神的に卒業できなかった20歳の中学生だ

そう思ってみると、あの行動にも納得がいく。
服装もそうだ。きたない特攻服など着てこない。ヤンキー連中は、式や祭りが大好きなので、
彼らなりの晴れの衣装を着てくる。たとえそれが安物のステージ衣装にしか見えなくてもいい。

派手な色の羽織袴は20歳の七五三だ

そして、破壊することでしか参加できない。
なぜ破壊するのか。自分が望まれていない人間であることを知っているからだ。
なぜ参加するのか。自分達でイベントを組む知恵も甲斐性もないからだ。
なにより、誰かに見てもらわないと寂しいからだ。
自分達だけで山の中で盛り上がっても面白くもなんともないのは、彼ら自身が知っている。

ああやって群れている連中は、たいてい公立中学校時代の同級生だ。
高校では散り散りになり、中退し、そもそも高校に行かない奴もいるし、仕事もバイトを転々とする
程度で、要するに、中学校卒業後はぱっとしない人生を送っている。
大学や就職で遠方に出て行くわけでもないので、いつも地元にうろうろしている。
だから彼らにとって、実は中学生時代が人生で最後の楽しいよりどころなのだ。
沖縄で中学校ごとの成人式にしたら、とりあえず式は落ち着いたのも、それをよく表している。

ああいう連中がポロポロ子供を作って、そしてその子が大きくなって中学校に上がって来る。
親が親だから子も子だ。そして親になった元ヤンキーが懇談会で言う。
「先生、中学校のころが一番面白かったぜ」

あのなあ、お前らの相手してくれるのは、中学校の先公くらいなんだよ。
世の中に出たら、そんないい加減なガキのわがままは通用しねーんだよ。

偉い人たちは、教育改革をいろいろいじくり回しているが、結局、ああいう連中は公立中学が
面倒みなければならないのだ。何でも良いが、それを頭に入れた改革をやって欲しいものだ。
ゆとり教育は、あいつらのご機嫌取りするにはちょうど良かったんだけどね。

学校の前を、単車で2ケツしながらブイブイ爆音を響かせて挨拶していく卒業生を見るたびに、
こいつら他に行く所はないのかと思う。実際ないから来てるのだけれど。哀れな人生だ全く。


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