林間学校、キャンプ、野外活動、自然体験、宿泊訓練、呼び名は何でもいい。
とにかく山の中へ行くあれ。
誰でも1回くらいは経験があるだろう。こういう行事では、やることもだいたい同じなので、
共通体験としてお互いに語り合うことができる。
住んでいる所も家庭環境も社会へ出てからの生活も各人それぞれに違っても、
少年期の体験を共有できるという意味では、学校の価値もなかなかのものだと思う。
小学校での5泊6日の自然学校を体験している若い世代は特に経験豊富だろう。
しかしあれ、趣旨は分かるがいきなりやりすぎだろ。
文部省(当時)の号令が出た直後、現場での大変なドタバタについて語るのは
小学校の先生に譲るとして、
1泊のお泊り保育くらいしか経験の無い子をいきなり5泊6日で山中に監禁したら、
そりゃ泣くぞ(笑)その悲しみを乗り越えて集団生活の環境にも慣れ自然に親しむための5泊6日で、
1泊では泣いて終わるだけだからダメだそうだが、なんだかなあ。
かわいい我が子を送り出す世のお母さん方、いかがお考えか?
俺は否定してるわけじゃない。
こういうのは順に段階を追ってやっていけばいいと思うんだが。
だってな、小学校でせっかく5泊6日もやっても、中学校ではせいぜい2泊3日だからな。
経験が発展的に次につながらん。まあ別物だと考えればいいんだろうが。
あっ、中学ではそんなにのんびりとやってられないから、
少学校のうちに済ませておけという文部科学省の温情か?
さて今回は、林間学校ネタの中から、飯ごうすいさん。
漢字で飯盒炊爨と書くと読めないだろ。
特に「爨」なんてどうしよう。困ったもんだ。
5泊6日毎食飯ごうすいさんだったら、すごいサバイバル体験になる。
上手にできる班はいいが、ダメダメの班はダイエットできるぞ。
二極分化、飯ごうデバイド。
こういう時のメニューは、たいていカレーだ。
川でつかみ取りした養殖ヤマメがサイドメニューにつくこともあるが、
それはどちらかというとマイナーなオプションにすぎない。
カレーがいいのは失敗が少ないこと。素材全部ぶち込んで煮るだけなので、
せいぜい水を入れすぎるか焦げるかで済む。
少々焦げても「先生食べてよ!」で教師に残飯食わせておけばいい。
薄くても最近はスープカレーなどという食べ方があるので安心だ。
あれは飯ごうすいさんで失敗した原体験が生み出したメニューに違いない。
もうひとつの利点は、完璧に火が通ること。腹をこわす心配が少ない。
少々生煮えのジャガイモを食ったぐらいで集団食中毒になる恐れもない。
これは運営サイドとしても非常に有難いことだ。
飯ごうすいさんは、火をおこすところから始まる。
というかそれでこのイベントの成功は半分決まる。
新聞紙、木切れ、薪と順に火を大きくしていって、立派な火にするのはなかなか面白い。
熱で顔をほてらせ煙で涙を流し咳き込みながらも、面白いものは面白い。
隣の班がもたついている横で、ごうごうと燃え上がる我が班の炎、煮えたぎる鍋。
「勝ったな」と思える瞬間だ。誰よりも早く出来上がったカレーを口にする。
「うまっ!」勝利の宣言。うらやましそうに振り返る他の班の視線。
こういうのが嫌いな子はいるが、まあいいじゃないか。後片付けでもやってもらえば。
やる気のない奴にまずいメシ作らせてもな。
ところで、この悲喜交々(ひきこもごも、と読む)の飯ごうすいさん、
この体験が大人になって役立っているだろうか?
今どきのアウトドア料理と言えば、まず川原か海岸でバーベキュー。
ホームセンターに行けば、安いセットが簡単に手に入る。
コンロ、木炭、着火剤が最低限のアイテムで、
あとは予算に応じていくらでも豪華な機材を用意できる。
今は薪なんか使わないんだよ山に行ってそこらに落ちている枯木を拾ってくるぐらいは構わないだろう。
しかし、川原の石を積み上げてかまどを作り、黒こげにするのはどうよ?
それって環境破壊じゃないのか(笑)?
いまどきの機材でバーベキューをやれば、現地に残るのはわずかな木炭の灰ぐらい。
もちろんマナーは必要。ゴミを持って帰るのは当然。川で食器を洗うのもやめとけよ。
そういうレジャーとしてのアウトドア作法に、林間学校の飯ごうすいさん体験が
あまり役に立っていないのが悲しい。
林間学校の施設には、ホームセンターに売っているタイプのバーベキューコンロなんかない。
今は生徒数が減っているので、施設側も縮小傾向にあって設備の新規導入は難しい。
ブロックで組んだかまどに鉄板なり金網なりを乗せればバーベキューは出来るし、
実際に一般向けにメニューを用意しているところもある。
しかし、学校行事として実施する場合、肉を生で食べて腹をこわす恐れのあるメニューは
どうしても避けてしまうのだ。実際問題、可能性としては低いだろうがゼロではない。
家庭のレジャーで腹をこわしてもどうということはないが、
学校行事で腹をこわしたら、責任問題で新聞に出てヘタすりゃ裁判だから(笑)
林間学校のときに、大人が川原や海岸でやっているバーベキューと同じ機材を使って、
ゴミの始末の仕方まで正しいマナーを身に付けることができたら、
将来めちゃくちゃなマナーで川原や海岸を汚す奴は減るんじゃないか?
そういうのが本来の学校の役目じゃないのか?
俺は教師だからそんな可能性に望みをかけるんだが、実現は難しいだろうな。
そう思いつつ、ダメダメ班にかわって煙にまみれ涙を流しながら火をおこす。
本当は自力で火がつくまで辛抱強くアドバイスして見守ってやりたいんだが、
家に帰って「火がつかなくて腹へって死にそうだった」とか言われると
「うちの子を飢え死にさせる気か」って突っ込まれるしな(笑)
こういう話は社会教育とか生涯学習と呼ばれる領域。
総合的な学習とか生きる力とか題目をつけるまでもなく本当は大事なことだと思うのだが。 ※飯ごうすいさんのコツをもっと知りたい人は
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