公立中学校教師の辛口教育コラム。一般の方に分かりやすく心がけてます。真面目なだけのセンセは服用に際して十分ご注意下さい(笑)
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専門家が集まって教育再生の為に知恵を出し合うはずだった教育再生会議。
知恵どころか大真面目な与太話まで出ていて失笑を禁じえない。
とは言え、メンバーが自分の専門の立場からものを言う場合は、当然力が入っているだろう。
要旨や議事録を読んでいるとそれが伝わってくる。

しかしいつまでたっても話がまとまりそうにもないが、これにはちゃんと理由がある。
会議自体がヤラセの茶番で総理の陰謀だ、なんてオチではないから安心して読んでくれ(笑)

教育現場、特に小中学校で最も重要なのは突出した専門性ではなく、あらゆる要素を考慮してプロデュースするバランス感覚だ。

俺の場合、授業の内容そのものに費やしているエネルギーは、全体の1割程度だろう。
授業というライブを構成する要素は、自分の発声や板書(黒板に書く内容な)に始まって、
その日の生徒の体調や虫の居所、天気や気温や学校行事、今は何時間目か前後の教科は何か、
蜂が窓から飛び込んできた選挙街宣車で話聞こえねえ○○君鼻血出ました先生トイレ等々。
実に雑多なイベントの入り混じった50分間のパフォーマンスだ。

勉強の中身そのものよりも、それを教える技術がもっとも重要なのが小学校。
だからたまに小学校の授業を見る機会があって、うまい先生の授業だとそのパフォーマンスに
驚かされることがある。もっとも一歩間違うとカリスマ教祖様になっちまうんだけどな(笑)
大学になると学問の中身は高度になっても、教える技術はそれに反比例していたりする。
講義ノート見ながらブツブツつぶやいて板書するだけのひどい授業が多かったなあ。

話を戻して、授業だけでこんな調子で事務仕事も山のようにあるし、お金の取立てもあるし
お電話1本で放課後のスーパーでも公園でも走っていくし、授業以外のドタバタの方が多い。
行事となると、大縄跳びひとつやるにしても苦手な子や跳べない子への配慮が必要。
生徒だけでなく、最近は保護者への対応に膨大な時間を費やすことも多くなっている。

例を挙げていたらきりがないが、要するに学校ではたくさんの生徒が長時間過ごしているので、
あらゆることが起こり得る。それを総合的にこなしつつ、自分達では出来ないことは専門家に任せるべく段取りをつける。プロデューサーでもあり同時にマネージメント能力も要求される。

だから、たとえばこういう専門家の声は、そのままでは現場で役に立たないこともある。

第3回 規範意識・家族・地域教育再生分科会(第2分科会) 議事要旨 p.2~3
(小谷委員)
心の健康のためには体の健康が必要。1番を目指して、がんばればその中から学びとることは大きいと思う。ここでは、「30人31脚」と「ノルディックウォーキング」を提案している。「30人31脚」はテレビで見て、非常に感動した。30人が息を合わせないと進めない、ここから助け合うことを学べるので、学校でもすぐ取り入れたらいいのでは。「ノルディックウォーキング」はただ散歩するのではなく、ストックを持って歩く。背筋が伸びて、スピードがでるので、気持ちの中で筋が通り、爽快感が得られる。学校の教育でも放課後のプランでも取り入れていただけたらと思う。


以前にも書いた30人31脚、小谷実可子氏はアスリートとしてメンバーに加わっているのだから、
こういう具体的な提案は別に不自然ではない。
ただ、生の素材は、方向性は間違っていなくてもそのまま現場で使えるとは限らない。

シンクロチームに泳げない子がいたらどうするのか?

俺が小谷氏に聞いてみたいのはそういうことだ。きっと何かいいアイデアがあるに違いない。
これは皮肉ではない。俺はイルカと一緒に泳ぐ小谷氏を見て素直に感激したクチだしな。
教育再生会議に本当に現場を知るアレンジャーがいたら、そこまで突っ込んで各メンバーの知恵を引き出してくれたに違いない。

教師ではないメンバーが現場の実態を知らないのは当然だから、現実的な問題点を提示し、
それに対して有識者から意見を求める局面があって然るべきだ。
その意向を汲み取って、現場に即した形にまとめあげるのが会議の役割だ。

・・・と俺は思っていたんだが、どうもな。違うみたいだな。

あの会議は船頭ばっかりで水先人がいない

座長みずから塾禁止とか言ってたんじゃ、まとめるどころかメンバーの専門性も生かせないわな。
あ、もう座礁してるか。

やっぱりテレビだったね>小谷さん(^^;
しかし現場を知る者はさぞやはがゆいことだろう。次はコメントするからな>義家氏


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「塾は禁止」教育再生会議で野依座長が強調(12月23日朝日新聞)

ネタに事欠かない教育再生会議だが、よくまあこう次々と笑わせてくれるもんだ。
教育再生会議のページに掲載されている中では、なんといっても議事要旨が一番面白い。
報道もソースはこれなので、まず元を読んでから報道を見るといい。
各メンバーの言いたい放題を読んでいると、考えていることやノリがよく分かる。
問題の野依座長だが、議事録から該当の発言を拾って並べてみる。

第3回 規範意識・家族・地域教育再生分科会(第2分科会)議事要旨 P.23~
(野依座長)
塾をやめさせて、放課後子供プランをやらせといけない。塾は出来ない子が行くためには必要だが、普通以上の子供は塾禁止にすべきだと思う。
(野依座長)
公教育を再生させる代わりに塾禁止とする。それくらいのメッセージを出していいのではないか。昔できていたことが何故今できないのか。我々は塾に行かずにやってきた。大学も誰でも入れるようになっている。難しくない。塾の商業政策に乗っているのではないか。
(野依委員)
我々のころは、部活もやって、その後、休憩してご飯を食べて、勉強していた。塾も行っていない。



あのさあ、「我々のころは、部活もやって」って、

あんたが部活やってたの50年前の話だろ?

このご老人、驚いたことに塾は今でも出来ない子だけが行くと思っているらしい。
普通以上は公教育だけでやれって? 灘高校から京大出てるヒトにそんなこと言われてもねえ。
それにしても塾禁止とは驚いた。本当にそんなことしたら日本の教育システムは崩壊する。
もう塾の商業政策だとか言っていられる状況じゃない。冗談にも程があるというものだ。
今の若い官僚で、公教育だけで育ってきた奴がどれだけいるか調べてみるといい。

時代も現状も見えていない老人が何を言おうが俺の知ったこっちゃないが、
こうなってくるともう居酒屋で一杯飲みながら教育談義やってるのと変わらんな。

問題は、これは居酒屋や俺みたいな奴のブログのたわごとではないということだ。
教育再生会議というのは、国の将来を左右する結論につながるかもしれん集まりだろ?
いくら議論の途中だと言っても、こんな好き放題言ってていいのか本当に?

しかしこんな調子じゃまとまるわけないよな。だんだん安倍総理が気の毒になってきたぞ。
まあ空中分解したって自業自得だから仕方ないけどな。

少子化でも受験産業はそれにきっちり対応したシステムを作り上げている。
金をケチって奇策珍策で右往左往してきた公教育とは違うのだよ。そのあたりはいずれ別項で。


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始まりはNORAD(北アメリカ航空宇宙防衛司令部)にかかってきた1本の間違い電話だった。

突然軍事ブログに変わったわけでも連載小説を始めるわけでもない。
今日は終業式で、突っ走ってきた師走もひと段落。
別に金策に走り回ったわけではないが、学期末の教師は忙しいのは確かだ。
それはまた別の機会に書くとして、クリスマスにまつわるエピソードのひとつを紹介しておく。

とにかくこれをご覧いただきたい。

Norad Tracks Santa 2006(日本語版) ノーラッドのサンタ追跡

俺はこのサイトを読んでいるうちに涙がこぼれた。

大人が本気でやるとはこういうことだ

アメリカ人の粋なはからいとしゃれっ気には時として感心させられるが、
子供たちのために、軍の屈強な男達がここまでやっちまうんだよな。脱帽だ。

まあ手放しでアメリカのすべてを賛美する気はない。一方では子供に対する悪意の事件も多い。
しかし少なくとも、30人31脚で子供たちが幸せになれると信じて空中分解しかかっている
どこぞのオトナ達の会議とはえらい違いだな。

今日はそんだけ。
全国の少年少女たちよ、良い冬休みを過ごしてくれ。

この時期になると思い出すのが映画グレムリンでのエピソード。クリスマスの晩に行方不明になった父親が、後日サンタの扮装で暖炉の煙突内で冷たくなって発見されるという悲しいお話。
やっぱりクリスマス特集でコーナー作るならグレムリンはずせないだろ>ツタヤ(-_-;


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京都市、全市立中学で来年度から30人学級導入 (12月06日 読売新聞)
 京都市は6日、全市立中学80校の3年生について、来年度から一律30人学級(現在40人)を導入することを明らかにした。高校受験を控えた義務教育の最終年度にきめ細かな指導を行うのが狙いで、政令市が公立中学校で30人学級を導入するのは初めて。
 桝本頼兼市長が同日の市議会で「学習や進路などの指導充実のため、来年4月から、市の独自予算で実施する」と表明した。
 市教委によると、来年度の中3生は約1万人。30人学級の編成で、学級数は現在より83学級多い368学級になる見込み。1学級の平均生徒数は35・1人から27・2人に減り、生徒に目配りしやすくなるという。
 学級数の増加に伴う新たな教員の確保は常勤講師の任用で補い、人件費は最大で年約3億5000万円増となるが、市費で負担する。市教委は「中3は進路指導の決め手となる学年。いじめや不登校の問題にも対応できるよう、少人数学級できめ細かく指導したい」としている。
 文部科学省によると、中学校で30人学級を導入しているのは秋田、山形、福島3県。同省財務課は「進学指導を狙った最終学年での導入は珍しい。どんな効果があるか見守りたい」としている。



教育に限らず金で簡単に解決できる問題はいくつもあるが、これはいい。
これこそ本当のゆとりで、教室の雰囲気もずいぶん変わる。シンプルで効果大。
どこぞの会議が思いつきでひねり出してくる奇策珍策など足元にも及ばない、根本的対策だ。

教室1室に収容する生徒の定員は国が決めてきた。いわゆる定数法というやつで、
1学級の生徒定員は50人→45人→40人と減ってはきた。
質を求めてと言うより、生徒数が減ってきたのでそれに合わせて縮小させたのが表向きで、
学級数を維持して、大量採用した教員の職を確保するためでもあった。

国はもうこれ以上減らす気はない。自治体に任せるという宣言をしてしまったからな。
「もっと減らしたけりゃお好きにどうぞ。ただし国は金は出さんよ」ということだ。
おまけに教員数はどんどん減らす方向で、実質的にダブルパンチ状態。

大人の皆様は思い出してみてくれ。この定員は決して十分な環境ではなかった。
俺も昔、50人近くで押し込められていたことがあった。教室は前から後ろまで人でびっしり。
それ以前は60人くらい詰め込まれていたこともあったそうだ。

教室の戸を開けるといきなり誰かの机がある。床はほとんど見えない。
自分の席まで行くのに横になって人をかきわけカバンを踏んづけやっとの思いでたどりつく。
席を離れてちょっと油断すると前後から詰められて座る隙間もなくなっている。
掃除ロッカーのすぐ前まで人がいるので、授業中はロッカーを開けられない。
一番前の廊下側なんか黒板が光って天気のいい日はほとんど読み取れない。
自分の占有空間は狭い机と硬い椅子だけ。共有空間は皆無で通路すらまともに確保されない。
教室の後ろで取っ組み合いなんて物理的に不可能で夢の夢。

こうなるともう人間の生活する環境ではないわな。動物園は最近はいろいろ工夫してるし、
ペットショップでももう少しマシだ。

金魚すくい以下、養鶏所並だな

おい、そこのおっさんよ、「俺達はそれでもなんとかやってきた」なんて自慢げに言うなよ。
苦労してきた気持ちは分かるが、国が用意した貧弱な環境に満足してどうするよ。
そんな自虐的負け惜しみなんぞ思い出以外に何の役にも立たんぞ。

こういう過剰な詰め込みを動物実験で再現するとどうなるか。
マウスみたいに普段はおとなしい奴がストレスで攻撃的になってケンカを始めるんだぜ。
こんな例もある。縄張り意識が強くて複数同居させるとケンカする動物の場合、
逆にメチャクチャたくさん詰め込んでやると、感覚が麻痺してなんとかなってしまう。
なんだか悲しいな、これは。

ヒトの場合もこれかもしれんな。学校に行っている間から養鶏場状態で慣らしておいて、
社会へ出たら、個としてのテリトリーなどまったく無い満員電車のラッシュも我慢できて、
職場では小学校時代の倍ほどしかない机で黙々と仕事ができる。そして家はウサギ小屋。

まあそういったわけで、クラスの人数を減らすのには大賛成だ。
俺は1クラスを半分に割って授業をする「少人数授業」を教師として経験している。
実に落ち着いた雰囲気でいい。大きな声を出さなくても、生徒全員の様子が常に分かる。
生徒にしてみれば、単純に考えて2倍の濃度でサービスを受けているわけだ。
質問も気軽にできる。こちらも授業に手応えがあっていいことずくめ。

ただ、京都市の場合、ひとつ気になることがあるので上げておく。

 学級数の増加に伴う新たな教員の確保は常勤講師の任用で補い、人件費は最大で年約3億5000万円増となるが、市費で負担する。

この部分、お気づきだろうか。新たな教員はすべて常勤講師でまかなうんだな。
自治体が独自にやるとこうなる。予算を抑えようと思ったら仕方が無い。

学校はますますパートさんバイト君の世界になる

すべてのパートさんバイト君の質が悪くないのと同様、すべての講師が質が悪いわけではない。
しかし正規教員ですらダメ教師が増えてボロボロだと言うのに、いいのかこれで?
団塊退職後の教師大量採用時代で、すでに講師登録者が底を突いている都市もあるんだけどな。
これからは、安く雇えて簡単にクビにできる講師の多用で公教育をやりくりしていくのか?
費用は下がったが効果も下がったのでは、コストパフォーマンスの追求にはならない。

質を上げるために量を取ったら本末転倒だ

俺は京都市を批判しているのではない。苦肉の策でなんとかやりくりしているのがよく分かる。
こういう懸念を乗り越えて、どうかうまくやって欲しいと願っている。
現場の先生よ、現状を聞かせてくれ。そしたらもっと援護射撃するから。

うまくいった京都市を見て「なんだやっぱり金いらねーじゃん」なんて言うなよ。
あんたのことだぜ>文部科学省


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教育再生会議 第2分科会子どもの「心の成長」のために(議論のたたき台) (11月29日)

3 芸術・文化活動やスポーツ活動を通じて、子どもの心を豊かにする
芸術・文化活動やスポーツ活動を通じて、子どもの心を豊かで健やかなものとするには、どうすべきか。
(具体例)
・協力し助け合うことの重要性を実感してもらうため、30人31脚などの簡単にできる集団的なスポーツを体育の時間に行うこととしてはどうか。


先生質問で~す。30人31脚でいじめなくなるんですか?

開いた口を無理矢理ふさいで真面目に解説を試みる。

協力とか助け合うとか、そんな団体競技なんかいくらでもあるって。何を今さら。
一度小中学校の運動会に行ってみろと言いたい。
陸上系とマスゲーム以外は協力しないと絶対勝てない種目満載で、これはもう、

「運動会は、団体競技の万国博覧会や~!」

しかしなんでまた30人31脚なんだ? 大縄跳びとか他にもポピュラーなのがあるんだけどな。
そういえば少し前、テレビ番組であったよな。小学生が泣いてがんばる30人31脚。
大方あれを見て思いつきで言ったんだろう。その程度のもんだな、こりゃ。

思いつきに過ぎない証拠もあるぞ。「簡単にできる」って書いてあるだろ。
あれ、一度でもやったことあったら「簡単に」なんて言えないからな。
二人三脚でも大変なのに。ムカデ競争なんか5人でも全員こけて足すりむいて泣くのに。

大縄跳びとか、クラスに一人でも足の不自由な子なんかいたら、普通は絶対勝てない。
それ以前にそもそも1回も跳べなかったりする。こんな場合どうするか考えたことあるか?
それほど足が不自由でなくても、極端に運動の苦手な子はクラスに1人や2人いるもんだ。
横から見ていると一目瞭然。毎回その子が引っかかっている。つらいぞ、これは。
落ち着いた学校では、まわりの者は文句こそ言わなくても、ため息と無言のプレッシャー。
こんな子が30人31脚やらされたら、文字通りクラスの足を引っ張ることになる。
それが嫌で不登校になってしまう子もいる。運動会はそういう危険も含んでいるんだ。

失敗する子に冷たいブーイングが降り注ぐような状態でこんな団体競技をやるのは間違い。
そうならないようなクラスができていて、初めて気分良く取り組める競技なのだ。
グチャグチャに荒れているクラスに、とてもじゃないが対症療法でやれるものではない。
「簡単にできる」からと軽く考えて無神経にやらせたら、教師公認のいじめの温床になる。

でも運動会ではみんな楽しそうにやってるだろ?

いろんなリスクを乗り越えて、それでも得るものが大きいからやってるんだよ。
ダメ教師の集まりだとか死んでるから再生するとか言いたい放題言われているが、
そんな俺達がどれだけ考えているかなんて、きっと偉い人たちは御存知ないだろうね。

しかし体育の時間にやれっていうけど、指導要領に書くんだろうか。 
「この学校は30人31脚を履修してない」ってマスコミがスクープするのか? 謎だ。


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教育再生会議 第2分科会子どもの「心の成長」のために(議論のたたき台) (11月29日)
前回に続いてこの中からネタを拾ってみる。

3 芸術・文化活動やスポーツ活動を通じて、子どもの心を豊かにする
芸術・文化活動やスポーツ活動を通じて、子どもの心を豊かで健やかなものとするには、どうすべきか。
(具体例)
・全国のどの小・中学生も、最高レベルの音楽など芸術を年1回は鑑賞できるようなプログラムを設けてはどうか。


最高レベルの芸術を年1回は鑑賞、これは大いに結構だ。素晴らしい。

義務教育の公立学校は、生徒にとって生涯ただ一度の経験を提供する場でもある。
何のことかというと、たとえば学校の体育館でオーケストラを聴いた、映画を見た、
餅つき大会で餅をついて食べた、凧揚げをした、修学旅行で新幹線に乗った、等々。

そんなもの、わざわざ学校でやらなくても家でできるだろう、というのは、
できる余裕のある人間の言うことだ。すべての人間が年に1回でもコンサートホールに行くか?
映画だって、映画館に行ったことのない生徒はいくらでもいるぞ。
そもそも趣味の問題以前に、まず経済的余裕がなければ行きたくても行けないわな。
そういう意味で、学校で見たオーケストラが生涯たった一度の経験になることは十分ありうる。

学校で映画鑑賞会をやることがあるが、
「最近の子はDVDでもレンタルでも映画は良く見てるから学校で見せなくてもいい」
などと言う教師は公立学校向きではない。多くの家で見られるようになったからこそ、
少数の見られない子のためにやるのも公立の存在意義だ。

さてここで問題が。

良いものには金がかかる

教育再生会議のメンバーに合わせたわけではないが、劇団四季を例に取ってみよう。
劇団四季は学校向けにも積極的にプロモーションを行っている。
鑑賞会で劇団四季のミュージカルを見られないかと、ちょっと調べてみたことがある。
団体で劇場に出かけて行って、一般客と同じように専用劇場での公演を見るとすると、
交通費も含めて一人数千円の費用がかかる。内容からすれば決して高いとは思わない。

しかし鑑賞会の費用は生徒の個人負担となる。ここまで金かけていいかという話なんだな。
余裕のある家はいいが、生活保護を受けている家庭があることも考えると、
個人負担は、1000~2000円というところではないだろうか。

学校の体育館へ団体を呼ぶ場合、一人1000円で全校生徒500人の学校なら予算は50万円。
50万で最高レベルのオーケストラや劇団は呼べないんだな。映画会にしてもヒット作は高い。
少子化で生徒数は減っているので、200人の学校なら予算は20万になってしまう。
最高レベルどころか、何校か合同でやらないと鑑賞会の開催すら不可能になる。
これが最近の現状だ。

ということで教育再生会議様、貧しい公立校でも最高レベルの芸術を鑑賞できるように

最高レベルの予算をつけてくれ

そしたら俺は頭を下げて拍手を送る。

教育で、お金で簡単に解決できてしまう問題は、実はけっこう多い。
なのにそれは知らんふりをして奇策珍策をひねり出してくるパターンが多いので要注意。


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教育再生会議が次々と大きなネタを投下してくれるので、シリーズでこれを扱うことにした。
すべてを無差別にコキおろすつもりはない。教師として真面目に考えなくちゃならん問題も多い。
現場からの解説を交えて、いつものように前向きに斬っていくことにする。

ということで、今日のネタはこれ。

教育再生会議 第2分科会子どもの「心の成長」のために(議論のたたき台) (11月29日)

これは確定事項ではなく、途中経過の報告と言うか審議内容のメモみたいなものだ。
メンバーの出したアイデアがこなれてまとまっていく過程を表すものだから、当然未完成。
だが、おおまかな方向性は示しているし、何よりメンバーの思考パターンが感じられて面白い。

とりあえずネタ性の大きい香ばしいのからいってみようか。

5 「家族の日」創設について国民運動を展開する
両親・子ども・親族をはじめ自分の周りにいる多くの人に感謝の気持ちを表す「家族の日」を創設し、


うん、いいなこれ。趣旨は賛成だ。やっぱり家族は大切だぜ。

「家族の日」は次のようなことをする日としてはどうか。
(具体例)
・家族そろって夕食を食べる。
・両親・祖父母や兄弟・親族等から、自分の家族のことについての昔話を聞く。
・子どもに両親が読み聞かせをしたり、子守唄を歌ってあげる。
・両親から、自分をこれまで育ててくれた間のエピソードを聞く。


大きなお世話なんですけど

この国はいったいどうなってしまったんだろう?
昔話をしろとか子守唄を歌えとか、国レベルで真剣に話し合うことなのか?

政府広報のテレビCMで、家族の笑顔があふれるあたたかい食卓シーンを流すのだろうか?
カメラがゆっくり引いていくと、団地またはマンションの全戸に灯った明かりと団欒団欒団欒。

ナレーション「・・・家族の日。今日はみんな揃って夕食を食べませんか」

スーパーのおかず売場では、和洋折衷の「家族の日セットお買い得パック」が各種山積み。

節分の海苔巻きじゃないんだから

道徳の教材に家族の大切さを盛り込むとか、総合的な学習の時間にお年寄りの話を聞くとか、
朝の始業前に子供たちの前で保護者が読み聞かせをするとか、教育現場の話じゃなさそうだ。
家族の中に踏み込んでくる話のような気がするのだが、皆様はどうよ?

家族は大切だし、年上や目上を敬う気持ちももちろん大切。
身近な友達から初めて、他者に対する思いやりと結びつきの大切さを学ぶのももちろん必要。
しかし、それを学校以外のところに浸透させるには、こういったキャンペーンが必要なのか。

学校教育はいろいろ問題があって大変だが、とりあえず国がまとめてコントロールできる。
しかし既に出来上がってしまったオトナにものを教えるのはなかなか大変だな、こりゃ。

え? 分かってるって。たたき台だよな、これ。…しかし、にしてもなあ。

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