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公立中学校教師の辛口教育コラム。一般の方に分かりやすく心がけてます。真面目なだけのセンセは服用に際して十分ご注意下さい(笑)
夏休みも終り。今年は土日で2日得したような気がするが、そのかわり月曜から始まる最初の
1週間が長く感じるのは生徒も教師も同じだろう。
長期の休み明けはいろんな意味でリハビリが必要だ。

夏休み最後のエントリーに宿題の話を書く予定だった。

提出された宿題を見ると、親がやったな、というのがある。これは今も昔も同じ。
自由研究とか絵とか工作とか、作品系に多いのだが、自由研究なんかだと清書まで親がやっているのがあって、おいこれお母ちゃんの字だろーと苦笑してみたり。

ところが、これだ。

金で解決…親も子供も宿題丸投げ 代行業者が繁盛(2007/09/01 産経新聞)
「読書感想文」から「自由研究」まで、夏休みの宿題を片づける「宿題代行業者」が登場し、賛否を呼んでいる。メールなどで届いた依頼に、アルバイトの学生らが有料で応える。多くの小中学校で夏休み最後となる今週末は“駆け込み客”が殺到しているというが、「家庭学習の習慣を身につけるという本来の趣旨に反している」と、教育関係者は批判的だ。

■有名大学生らが登録
 インターネット上で宿題代行サイトを主宰するのは大阪市内の20代の男性。このサイトには東大や京大、阪大、関関同立など全国の有名大学生らが多数、登録している。
 算数の文章問題は1問500円、読書感想文は2万円で引き受けるほか、大学生のリポート(2万円~)や卒業論文(30万円程度)まで幅広く手がけている。
 そのほか、夏休みの宿題の定番である工作(5万円)や自由研究(2万円)なども請け負っており、これまで実際に「アリの研究」や「河川敷の水質調査」などを提供したという。

 依頼は主に親からで、「子供の宿題が期限に間に合わないから」という理由がほとんど。中には小学生本人から注文が来たこともあるという。メールやFAXで受けた依頼を、業者を介して登録学生に発注。高額バイトとして一部の学生に人気があり、中には月20万円以上稼ぐ学生もいるという。

■夏休みは稼ぎ時
 夏休みには問い合わせが通常の約3倍になるといい、今年はこれまでに、小学生の夏休みの宿題だけで約40件の注文があったという。代行業者は「夏休みが終わる今週末は全国からの駆け込み客が増えている」と話す。

 こうした状況に文部科学省は「家庭学習の習慣を身につけるのが宿題の本来のねらい。その趣旨からも、宿題を丸投げするのはおかしい」。大阪府教育委員会も「宿題をお金で解決するという保護者の考えが気になる。それをビジネスにしてしまう業者もどうか。子供の成長を一番に考えればゆゆしき事態だ」と異議を唱える。

■韓国でも問題化
 一方、代行業者は「読書感想文などは、あくまで参考用に渡しており、そのまま提出することは禁止している」というが、実際は目が届かないのが現状だ。
 インターネット上では、ほかにも大学生の卒業論文を代行する業者が増えており、韓国では500サイト以上が乱立。すでに出来上がっている論文などを提供するサイトもあり、日本よりも一足早く問題になっているという。

 三重大学の奥村晴彦教授(情報教育)は「宿題や課題は結果より努力した跡が大切。お金で買ったものでは意味がない。保護者や業者も『何でも金で解決できる』という考え方を子供の心に植え付けるのは良くない」と話している。


俺は、親が夏休みの宿題を手伝うのは構わないと思う。
小学校あたりだと友達が「ずるい」とか言うわけだが、そんなもの作品を見れば誰がやったかすぐわかる。筆跡もちゃんと分かる。伊達に何年も教師はしていない。
親が必死に宿題をやっている間、子供がゲームで遊んでいるなんてのは言語道断だが、
親子で協力して作品を仕上げるなら、それはそれで意味のある作業だ。
そんな幸せな時間を持てない家庭だってあるんだから。

さすがにその作品が賞まで取ってしまうと、賞状に保護者も連名にしておいてやろうかと
思うこともある。しかし「お母さん、絵、上手ですねえ」と言うことはあっても、それをいちいちとがめるような野暮な真似はしない。

しかし、代行業者に丸投げとなると、さすがに太っ腹の俺も苦笑ではすまない。

いったいどんな層の家庭なのだろうか。何万円もかかるわけだから、貧しいはずはない。
金はあっても、家でゆっくり子供に宿題をやらせる暇はないというところか。
うちも共稼ぎだし子供は保育所に預けていたから、あまり人のことは言えないのだが。
それとも、

塾が忙しくて学校の宿題なんかやってられないのか?

私学受験に熱中し、入試に役に立たない学校の勉強に無駄に時間を使うのは1秒でも惜しい、
というのもある。盛り上がってくると診断書取って学校休んで勉強するくらいだから。

そこまでいかなくても、ただ単純に、気がついたら我が子が宿題できてない、自分でやるのも
大変だし頼める知人や親戚もいない。やってくれる業者があるならお願いしようか、
というのもあるだろう。宿題を誰かにやってもらうというのは、昔からあった。

「子供の成長を一番に考えればゆゆしき事態だ」というのは全くその通りで、教育委員会の
コメントとしてはいたって正論だ。

しかしだ。

なんだかなあと思うのと同時に、俺の頭の中にはまだマシじゃないかと思う覚めた部分もある。

ちゃんと宿題提出する気があるじゃないか

宿題なんか全然やらない奴、いくらでもいる。
親に連絡しても「はあ」とか言ってるだけで、やらせる気もなければ怒る様子もない。
小学校のときからずーっとそれで来ていて、それどころか親自身もそうだったのだろう。
こういうのがクラスに1割はいる。学校に居残りさせて付きっ切りでやらせない限り、
家でやって来いなんて無理な相談だ。二極分化の下はこんなもんだ。

それでは社会に出ても困るだろうというのは、真面目な学校生活を送ってきた人の言うことで、
彼らは別に宿題なんかやらなくても困らないんだな。成績なんかオール1でも高校にいけるし、
卒業して適当にバイトしてぶらぶらだってできる。親がそれなりに稼いでいればニートもOK。

そんなことを考えると、このニュースを読んで嘆くのも、ずいぶんとレベルの高い話ではある。
「宿題はやって提出しなければならない」という大前提がなければ、こんなことは起こらない。
たとえその動機が「内申に響くから」という的外れなものだったとしても、体裁を繕うために
対価を払うだけの意識が残っているなら、まだ救いはあるのかもしれない。

そりゃ違うだろうって? 教師がそんな理想の低いことを言ってどうするって?

確かにそうなんだけど、俺の頭の中は、明日から相手しなくちゃならん宿題サボリ組のことが
もう渦巻いてきてるんだよ。自分の為にならないことに無駄金使ってる連中にかける時間も
興味もないんだよ。あああ、夏休みの最後にこんな記事書くんじゃなかった(笑)

しかしこんな商売が成り立つなんてなあ。ヤフオクにまで出てるが便乗組か(笑)
こういう商売に圧力をかけたりやめさせたりできる組織や団体があるか? 要ウォッチだ。


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んな商売があったんですね。…僕もやりたい…いい値段ですよね、ほんと。
あ、もちろん、お金を払う方じゃなくて、もらう方を。
うちは、まだそこまで行ってはいないけど、長男の夏休みの工作は、DIY店でキットを買ってきてこさえただけだモンなぁ…恥ずかしい。
でも、僕自身が子どもの頃はこういうキットはほとんど売っていなかったし、売っていてもそれを宿題で提出するっていうのは、子供同士でも「反則だろ?」的な価値観があったんですけどね…。
うちの子たちはまだ小学生ですが、夏休みの宿題は僕の子どもの頃はもっとあった気がしますが、自分の子どもたちの宿題をこなしているのを見ると、大分楽になったなぁ…と感じます。なにしろ、日記なんか2日分でいいんですもん!!!!!苦労したのにね、天気なんか忘れちゃってさ…v-8
【2007/09/02 Sun】 URL // いわさき #- [ 編集 ]
夏休みの宿題、高校ともなるとさすがに自由研究や工作はありませんが、サマーテキストなどがある。そして、その夏休みの宿題をやらせるために、休み明け(始業式の翌日)には課題テストを行っています。とにかく、課題を提出させるのに大変な労力が必要なのです。ふぅ。
その、最たるものが「読書感想文」
国語の成績に入れたり、居残りさせたり(それでも逃亡する者がいる)、居残りさせると、部活の顧問の先生から(国語の教師が・・・国語の成績に入れるから国語の宿題だと思われている)怒鳴られる。挙げ句の果てに、提出状況が悪いのは、担任の指導力不足だ、とクラス担任が校長室に呼ばれてつるしあげられたりもした・・・。当然、読書感想文なんかやめてしまえ、という話にもなる。(ここで、責められるのは国語教員である。成績に入れるから。)ちなみに、読書感想文は「図書課」の担当である。何のためにやるか、読書感想文コンクールに出品するため・・・
やめれば?と言いたいが、そうもいかない事情があるらしい。
そこで、こんな対策を取った某校がある。
読書感想文を夏休みの宿題にせず、夏休み前の、テストが終わってから終業式までの時間を4時間ほど利用して、学校で担任監督の下書かせてしまうのだ。その日は、書き終わらないと帰れない。
提出率は100パーセントとなった。(感想文を書く原稿用紙も学校で用意する)そして出された感想文を夏休み中かけて審査・添削するのだ。おかげで、解説書丸写しも見つけやすくなった。
また、某進学校に子どもを通わせている、芸術科目の講師の先生が
「うちの子は受験生なのに、読書感想文の宿題がある、なんで、そんな無駄なことをさせるのだ」と怒っていました。私は、ふと、去年の履修漏れ問題を思い浮かべました。結局、こういう親がいるから、受験に無駄なものはどんどん削られていくのだろうなぁ・・・と。非常勤講師をしていても、自分の子どものこととなるとこうなのだから。
夏休みの宿題なんて、やらなくてもいい、と考える親たち。
お金のある家庭は、そんなものより塾の宿題が大事、と考え、そうでない家庭は、勉強をさせる環境にない・・・・。
シーサーさん、明日からがんばってくださいね。
【2007/09/02 Sun】 URL // ななこ #- [ 編集 ]
いいなぁ
空き時間に夏休みの宿題をかなり聞かれました。
俺は学校の宿題でも教えるので
(まぁ教えない人なんていないでしょうけど)
お金に換算するとだいぶ稼げそうだなぁ。

読書感想文が2万円ですか。
ちょっと高いな…。
5000円ぐらいが相場かと。

って、そんな話じゃないですね(笑)
【2007/09/02 Sun】 URL // ダイ #- [ 編集 ]
いま、横で小6の次女が最後の追い込み(「自由研究」)やってます(笑)。
1昨年は私もうっかりして夏休みの宿題チェックしていなかったので、最終日に宿題の本当の量を知ってビックリ!
一晩徹夜させました。
それでも懲りずに、宿題わすれて平気な子なので・・・・(涙)。

>ななこさん
初めまして。
>無駄なこと
ヤですね~、中学も高校も、大学の予備校じゃないんですけどっ。
私は無駄なことが多い公立が大好きです。

>シーサーさん
長女が中学生だったときのこと、思い出しました。
確かに宿題やってこなかった悪童たちが、居残り勉強させられていたと、聞きました。
先生も大変ですね。
頑張ってください!!
【2007/09/02 Sun】 URL // くーみん #- [ 編集 ]
シーサー先生はじめまして
おしょうさんのところからやってきました.^^
さすが先生,手伝ってもらったものを見抜くのは簡単でしょうね~.

夏休み初日から,なんとか早めに終わるよう促すのが私たちの役目ですから,キリキリ怒ってばかりです・・・
息子は起きてすぐに自分から「自分なりの一日分」をやるのですが,このペースでは夏休みが終わってもまだ終わらないとうのには気がついてなかったようですw

漢字ノート2ページずつやったって,1~5年の漢字全部じゃ追いつきません.そこで尻を叩くのですw
そのほかの自由課題については,おしょうさんのとこで書きましたが,一人2つ以上×2人です.
はっきりいって手伝わないと終わりません.

しかも28日までに提出.
息子とイチャイチャ研究のまとめをやりましたよ(笑

請負業なんてもってのほかですよね.
イチャイチャできるのも数年だけなんですから・・・><
って,話がずれましたねwww

お金で買えない親子の時間,大事にして欲しいですね.
【2007/09/03 Mon】 URL // ままぞん@脱Kママ #yl2HcnkM [ 編集 ]
>いわさきさん
そう、宿題少なくなりましたよねえ。8月の終わりに、新聞に夏休みの天気一覧が載ったの、いつごろでしたっけ。ぼくの夏休みってゲームソフトがありますが、あれはすでに失われた文化遺産かもしれません。

キットを使うなら、そのまま提出するんじゃなくて、魔改造しまくるとか、せめてコテコテに色を塗りたくるとか、何かひと工夫欲しいところです。でないと、採点する立場としては、「あ、キット(-_-)」で、右から来たものを左へ受け流すだけになっちゃいます。いくらキットでもそれなりに時間はかかっているわけで、それを採点5秒だとちょっと悲しいでしょ(^_^;

>ななこさん
この国の読書感想文システムについては、私は思うところがあるのですが、それはまたいずれ記事にするということで。宿題から○○コンクール関係を除外したらどれだけ残るかってところなんですよね。

二極分化で上も下も宿題をやらないとすると、今まで普通に宿題をやっていた真ん中あたりの層はどこへ行ったの? ということになります。だいたい学校が出す宿題の量や質は、その真ん中あたりを基準にしていたはずなんですが、もう誰を対象にしていいか分からなくなってきている。宿題も必須や選択じゃなくて出来高制にするべきか!?

>ダイさん
「先生、この宿題の答教えてよ~」
「んっ? 100円」
「ちっ、ケチ!」文句言いながらも100円玉を渡す生徒。
小さな紙切れにすばやく答を書いて生徒に手渡すダイさん。って違うか(笑)
感想文30分1000円で、時間がきたら途中でも放り出す。
「あーん先生、最後まで書いてよ~」「最後までならあと2000円出しな」(爆)

>くーみんさん
全国でいったいどれだけの親子が泣いたり怒ったりしながら宿題を終わらせたのでしょうか。8月終わりの国民的行事かも。もちろん今夜も各地で延長戦が続いているものと思われます。

>ままぞん@脱Kママ
いらっしゃいませ~。お気に召した話題がありましたら、どうぞごゆっくりくつろいでいってください。学校始まったんで、コメントは遅れるかもしれませんが。。。

そうなんですよ、宿題って実は親子触れ合いの為のアイテムでもあるんですよ。だけど最近はなかなかそうも言っていられなくて。私は母親にたっぷり宿題を見てもらいましたが、自分の子供達の勉強は、その4分の1も見てやれなかったです。家庭環境もそれぞれ違いすぎるし、むずかしいです。怒り倒すのも尻を叩くのも、幸せな家族の光景。たっぷり満喫してください。
【2007/09/03 Mon】 URL // シーサー #gJtHMeAM [ 編集 ]
「吾一少年」が聞いたら・・・
昨晩はまさに子どもの読書感想文と提出工作の作成にかかりきりで、拝見するのが遅くなりました(「路傍の石」に「セロハンの湿度計」・・・)。

表題をみて、「金の力で楽しようなんてけしからん」という内容かと思っていたのですが、さらに深刻な問題があるのですね。
宿題をやってこない子ども(気持ちはわかる)だけでなく、それを何とも思わない親が相当数いて、そのツケが「指導力不足」として教師に回ってくるなんて・・・。
「子どもをやる気にさせない教師が悪い」と言うのでしょうか。

>彼らは別に宿題なんかやらなくても困らないんだな。成績なんかオール1でも高校にいけるし、
卒業して適当にバイトしてぶらぶらだってできる。親がそれなりに稼いでいればニートもOK。

そして学力どころか努力やルール遵守という根本部分まで体得せずに卒業して、「ニート」になったその後は、
政府のせいだ、社会の犠牲者だ、と税金の投入を求めてくるのでしょうか。
少子高齢化社会でただでさえ社会の支え手が減る状況なのに・・・。

「吾一少年」が聞いたら何と思うやら・・・。
【2007/09/03 Mon】 URL // 虹の父 #- [ 編集 ]

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