公立中学校教師の辛口教育コラム。一般の方に分かりやすく心がけてます。真面目なだけのセンセは服用に際して十分ご注意下さい(笑)
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「今日は期末テストの成績表を返すからなー」
「えー先生、そんなものいらねーし」
「何言ってんだ。お前が受けたテストだろうが」
「どーせろくな点じゃないし、持って帰ったら親や塾が見せろってうるせーんだよ」

これは学校ではごくありふれた光景だが、文部科学省と教育委員会の間で同じようなやりとりがあったとしたら、読者の皆様はどう思われるだろうか。

文科省、学力テスト結果「非公表」 悩むのイヤ…データ不受理も (8月27日 産経新聞)
■教委、開示請求「困る」
 4月に文部科学省が実施した43年ぶりの全国学力テストの結果公表をめぐり、各地の教育委員会が頭を悩ませている。9月にも結果が全国へ通知されるのを前に、文部科学省は各教委に「序列化につながる」とし、市町村別や学校別の結果を公表しないよう求めた。だが、各教委は議会質問や情報公開請求を受けた場合の対応に苦慮しており、中には、結果自体を受け取らないという苦肉の策を検討する教委も現れている。

 「(市町村名や学校名の公表を禁じた)実施要領に基づいて対応してほしい。情報公開を請求されたら、不開示情報として取り扱ってほしい」
 24日に開かれた都道府県教委と政令指定都市教委の担当者説明会。文科省初等中等教育局の金森越哉局長は繰り返し強調した。
 今回の学力テストで文科省は、全体の結果や都道府県ごとの結果は公表するが、市町村別、学校別の平均点などは「序列化や過度の競争につながる」ため非公表としている。だが、結果を受けた各市町村や学校が内容を公表するかは個別の判断に委ねられるため、改めてクギを刺した。

 これに対し、各教委の反応はさまざま。ある教委の担当者は「どうすべきか悩んでいたが、国が非公表の方針を明確に示してくれたので助かった」と安堵(あんど)。別の担当者は「議会で突っ込まれたとき対応に困る」とぼやいた。
 各教委が特に懸念するのは、情報公開請求を受けた場合の対応だ。大阪府枚方市が平成15、16年度に実施した独自の学力テストで、学校別成績を不開示にしたことの是非が争われた裁判では、大阪地裁、高裁とも開示すべきだとの判断を示し、市教委は応じざるを得なくなった。
 文科省は、「同様の事例で盛岡地裁は今年8月、開示請求を棄却する判決を下している。地方レベルと全国レベルのテストでは規模も異なり、不開示は当然だ」と強調する。

 各教委からは「外に出て困るデータは受け取りたくないのが正直な気持ち」(大阪府内の市教委関係者)といった声も出始めている。
 千葉県教委は「市町村別や学校別のデータは受け取らないことも検討している」という。同県は毎年、抽出方式で独自の学力調査を行い、市町村別の傾向などを把握しているため、「情報公開のリスクをおかしてまで入手すべきデータかどうか慎重に判断したい」という。
 鳥取県教委も「学校別データなどは受け取らない方向で文科省と相談している」。同県は昨年、関係部局で情報公開への対応を検討したが、「開示せざるを得ないとの結論だった」という。

 文科省はマスコミの動きも警戒する。市町村教委や学校から個別のデータを収集すれば、学力ランキングをつくることも可能になるからだ。

 非公表の方針に、批判の声も出ている。
 宮城、新潟など8都県は昨年度に実施した独自の学力テストで、市町村別のデータを公表しており、「なぜ今回は対応が違うのか」との不満が一部保護者らの間で高まっているという。
 テストや受験の実情に詳しい森上教育研究所の森上展安社長は「情報はすべて公開すべきだ。何のために全国規模の調査にしたのか。学校や先生は競争を好まないが、競争意識を持ち、学力向上につなげることが大切だ」と話している。


これは新聞各誌で大きく取り上げられたわけではないので、ご存じない方もいるだろう。
このニュース、一般の方は一読して意味がお分かりだろうか?
全国テストをやっておきながら、結果を公表するとかしないとか、挙句の果てに、教育委員会に結果を受け取らないとまで言わせているのは何ごとなのかと。

おそらく分かりにくいニュースだろうということで、俺がちょっと解説する。

まず、公表がどうのこうの言っているのは、県とか市とか学校レベルでのデータのことだ。
個人の成績、つまりシーサー君英語8点とかいうのは個人情報なので、これが晒し物になる心配はない。ちゃんと保護される。

問題なのは、たとえば学校ごとの平均点。各校の平均点が分かれば順位もわかる。
○○中学校は市内で1位とか最下位とか、はっきりと結果が出てくるわけだ。
教育の成果というのは数字で表しにくい。
だから平均点なんていうのは、一般ウケしやすくとても分かりやすい数字なのだ。

だけどだな、

いまどき平均点じゃ本当のことはわからない

以前は真ん中くらいの成績を取る人数が一番多かった。いわゆる正規分布。
最近では二極分化していて、真ん中が薄く上と下に塊がある分布になっている。
すると平均点あたりの人数が少なかったりして、あまりあてにならないのだ。

それから、二極分化の下の塊だが、ここに不登校生がけっこういる。
不登校状態だと、まあ成績も悪いことが多い。テストでも点は取れない。
クラスに1人や2人の不登校は珍しくない状況で、試験当日欠席が多いと自動的に平均点は上がる。平均点の足を引っ張る者がいないからだ。
逆に、教師ががんばって指導して、不登校生がみんな出てきてテストを受けていたら、平均点は確実に下がる。
どちらが良い学校なのだろうか。考えてみて欲しい。

次に順位。
学校ごとの平均点が分かれば、自然と順位がつく。こんな例があったとしよう。

市内に5つの中学校がある。A中学平均点67点、B中学66点、C中学55点。
D・E中学校は、テスト当日修学旅行で後日受験、結果は統計から除外。

A中学校は市内1位。C中学は最下位。順位ではそうなる。
しかしA中とB中の1点差は、前述の不登校生の出席状態くらいですぐに入れ替わる。
そして修学旅行に行っていたE・F中学校は、実は45点と50点だったらどうなるか?
最下位だったC中学は実は中位だったということになる。

順位にはこういう実情がまったく表れないで、数字だけが一人歩きする。

順位データが欲しいのは誰だろうか。

塾や予備校は、もっと実戦的なデータを自分で持っているから、こんな張子の数字は不要。
市議会などでは、たとえ最下位でも、良いようにも悪いようにも使えて一見説得力のある主張が出来る。議員さん、この数字、難しくないし、いろいろ重宝しますよ。
不動産業者は、新規分譲のパンフレットに使える。
「校区のA中学校は市内1位の実績を誇る文教地区。お子様の教育環境も抜群です」

学校はというと、中身を伴わない順位や平均点の数字で、あそこの生徒はアホだとかダメ教師が多いとか言われてろくなことがない。公立にそのまま競争原理を持ち込むと、足立区のように暴走した校長が処分されたりする。公表しなければ開示請求を受けて裁判沙汰になって金と時間を使ってむなしく敗訴。そんなことになるくらいなら、結果なんか受け取りたくない、というのがこのニュースの背景だ。

実際には、問題の単元別のデータは公表とか、バラバラにしてしまうようだ。
俺は別に、平均点でも何でもケチらず公開すればいいのにと思う。
欲しい人にはあげればいいじゃないか。

たとえ最下位だからって、それがどうだというのだ

どんな環境の悪い地域の学校でもやっていくのが俺達公立の教師だ。
俺達は、ひとつの学校に就職したのではない。市なり町なり自治体の職員なのだ。
辞令が出れば最下位の学校だって1位だって関係なく行くだけだ。

世間の皆様に望むことは、平均点や順位みたいな仕掛けのある数字だけに惑わされず、中身を見る目を持って欲しいということだ。そんなに順位だけが気になるなら、最初から住む場所と行く学校を選ぶべきだ。
今の世の中は金をかければ選択肢が広がるのだから。

2学期が始まった現場では、各教育委員会から実際の対応にいついての指示が下りてきているところだ。ぼちぼち職員会議で校長が報告するだろう。教師諸君は良く聞いておけよ。
校長の言うとおりにしておけば、各自治体での取り決めに従うことのなるので、諸々のトラブル処理は学校でなく上のほうでやってくれる。考えもなしにあちこちでしゃっべて情報をもらすと、あとでえらい目にあうぞ(笑)

報道発表も9月中だそうだが、果たしてどんな反応をするやら。
空騒ぎで手間を取られるだけにならなければいいのだが。


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