公立中学校教師の辛口教育コラム。一般の方に分かりやすく心がけてます。真面目なだけのセンセは服用に際して十分ご注意下さい(笑)
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全国学力テストについて、前回の続きと資料の補足をしておく。

学力テストの結果について、見たら分かる数字を言葉に置き換えているだけの報道が多い中、
この記事は都道府県の差について言及している。ちょっと読んでみようか。

【主張】全国学力テスト 競争封ぜず学力の向上を (2007.10.25 産経新聞)
 小学6年と中学3年約225万人が参加した43年ぶりの全国学力テストの結果が公表された。地域や学校間の差から目をそらさず、これを指導改善に生かしてほしい。

 都道府県別のデータをみると、差が意外に大きい。正答率を100点満点で換算すると、小6の国語で上位の秋田と下位の沖縄では基礎問題(A問題)で9点の差、応用問題(B問題)では16点の差がある。中3の数学では基礎、応用とも上位の福井と下位の沖縄で約20点の開きだ。

 なぜ学力の差がでるのか。例えば沖縄では、今回同時に行われた学習時間や生活習慣などの意識調査で、宿題を出す学校が少なく家庭学習の時間が少ない傾向があった。
 一方で成績がよかった秋田では、夏休みの補習などを行っている学校が多く、地道な学力向上策が効果をあげているともいえる。
 もちろん学力差の要因はこれだけではない。教師の指導法や学習環境、学校教育以外の地域状況などさまざまだろう。各市町村や学校にはそれぞれの成績データが送られており、各教委は学力の実態を把握、分析し、課題を明らかにしてほしい。

 今回は、昭和30年代の学力テストで自治体間や学校間の競争が過熱した反省から、文部科学省は市町村別や学校別のランキングは公表せず、都道府県のデータ公表にとどめた。
 教育界には相変わらず競争や評価を嫌う体質がある。今回の学力テスト実施前にも一部教職員組合が妨害するような動きがあったのにはあきれる。
 全国レベルと比べ地域や学校がどの位置にいるかが分かる全国一斉テストの利点を生かし、学力向上策を競ってほしい。成績の良い学校や教委の取り組みも参考になるはずだ。

 学力低下が懸念される中、今回は改善もみられる。平均だけみると基礎問題の結果は8割の出来だ。しかし三角形の内角の和(180度)のように相変わらず苦手な問題もある。
 さらに「ゆとり教育」が目指した問題解決型の応用問題が苦手な傾向も変わらない。

 教師が独り善がりの授業をしていないか、家庭でしっかり勉強しているか、今回の結果を率直に受け止め学力向上につなげたい。


要するに、学力の差は学校や教育委員会の責任だ、という論調だな。

宿題を出さないことや、夏休みの補習などを行っていることが、地域の格差につながった。
そしてこれは「教師が独り善がりの授業」をすることや「競争や評価を嫌う体質」がまねいた結果だそうだ。だから沖縄や大阪は順位が低いと。

全国学力テストの結果をうまく料理してものを言うのは、なかなか難しい。
新聞各誌の社説を見ても、どうもピンとくるものがない。どこも各項目に解説するのが精一杯というところだ。俺にしてみれは、社説に突っ込む気もおこらない。つまらない。

もちろん教師や教育委員会が改善すべき点はいくらでもある。
そして俺達の力ではどうにもならないシステム上の問題や、予算がらみの行政レベルの問題も。

今回の記事では、沖縄は学校が宿題を出さないから成績悪かったという言い方をしている。
そういえば、俺もほとんど宿題は出さないんだけどな。
宿題は、やるのが当たり前という前提なので、やってこない者が多いと授業が成り立たない。
だから出来るだけ授業の中だけで完結するようにして、宿題は出さないというのが最近の現状だ。

ただ、沖縄に限ったことではないが、過去には宿題を出せる雰囲気でない時代もあったんだぜ。
家で勉強できないような環境の子もいるから、それで宿題を出すのは人権問題だと
おっしゃった団体があったんだから。ま、あえてどことは言いません。
これも激しく地域差はあるので、分かる人にはわかる。西高東低。分からん人はごめん。

生活保護率と成績の関係 ところで前回は、失業率と成績が相関関係にある話を書いた。
この他に、家庭の経済環境を端的に示す数字が生活保護率。
今度はこの生活保護率と全国学力テスト成績との相関関係をグラフにしてみた。

都道府県別の生活保護率は、こちらのデータを使用した。世帯数でなく人数に着目した。
厚生労働省統計表データベースシステム 平成16年 被保護者全国一斉調査 より、
表3 "被保護人員、級地・都道府県-指定都市-中核市別"

失業率と生活保護との相関は、なんとなく想像はついていたが、実証しているのはこちら。
平成17年版 厚生労働白書より 生活保護の地域差とその要因

なぜ地域差が出てくるかという原因分析はこちら。釧路市、大阪市、高知市と、いずれも
学力テストで下位だった地域だ。ちょっと読んでみると教育どころではない実態が良く分かる。
厚生労働省「生活保護率における地域間格差の原因分析のための調査」

その中から大阪市について一部引用してみる。

(1)生活保護率(‰) : 39.0‰
(2)被保護人員(人) : 102,616人
(3)被保護世帯数(世帯) : 77,307世帯
(4)被保護世帯における高齢者世帯数及び構成割合(世帯・%) : 36,954世帯 47.8%
(5)  〃 傷病・障害者世帯数及び構成割合(世帯・%) : 24,060世帯  31.2%
(6)  〃 母子世帯数及び構成割合(世帯・%) : 5,993世帯  7.8%
(7)  〃 その他世帯数及び構成割合(世帯・%) : 10,222世帯  13.2%
(8)生活保護相談件数(H16年度) : 65,879件
(9)新規生活保護申請件数(H16年度) : 23,629件
                              (平成17年4月現在)


被保護人員の割合が資料によって違うのは時期の違い等によるが、ややこしいので説明は省略。
そもそも学力テスト実施と同時期のデータではないので、本当の意味で厳密な相関ではない。
県別の大雑把な傾向が分かっていただければそれでよい。

俺が言いたいことは、たとえば大阪なんてけっこう大変な所なのよ、ということだ。
生活そのものがやっとでは、教育にお金をかける余裕はもちろんないし、中学、欲を言えば
高校まで無事卒業できれば上等。成績がどうこうなんて、そんな腹のふくれないモノ興味なし。

昔は、だからこそ勉強をして這い上がるという夢があって、実際そうやって生活を向上させた。
だが、今は違う。二極分化、そして下流が親から子に遺伝する時代だ。

産経新聞、こういうの分かって物を言ってるのか?

「もちろん学力差の要因はこれだけではない。教師の指導法や学習環境、学校教育以外の地域状況などさまざまだろう。」などと書いているが、論調の体裁を整えるために、申し訳程度に
つけたしただけだろうと想像がつく。

こういう根深いところにある問題に目を向ようとせず、データの意味が読み取れないからと、
安易に学校や教育委員会の責任にして叩いて終り。話題性だけ煽って盛り上げたつもりが、
実は誰も本当の意味が読めないまま関心を失って通り過ぎていく。こういうのを空騒ぎという。

どこかで誰かが、成績と相関関係のある要素を見つけてくれないかと楽しみにしているのだが、
なかなか望み薄のようだ。産経新聞が宿題や補習日数との相関関係を出してくるはずもない。
想像で原因を推測することは出来るのだが、それを立証するとなると難しい。
それが分かったら、ひとつひとつ対策をしていけば、良くなっていくはずなのだが・・・

報道はもう下火だし、結局、話題になったのは都道府県別順位だけか。なんだかなあ。

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