教師の数を増やしてくれたら教育は良くなると何度か書いてきたが、これはその教師増員の
ニュースだ。さて、教育は本当に良くなるのだろうか。
小中学教職員を増員へ 非常勤は数千人増も 政府 (2007年12月15日 朝日新聞)
政府は14日、公立小中学校の教職員の定数を08年度に、3年ぶりに増やす方向で最終調整に入った。これとは別に、小学校を中心として数千人の非常勤講師を配置する方向だ。文部科学省は教職員約7000人の定数増を求めていたが、公務員の減少を定めた行政改革推進法に反するおそれがあるため、小幅な定数増と非常勤の活用を組み合わせることにした。与党と調整したうえで08年度予算案に盛り込む。
文科省は08年度予算の概算要求で「先生が子どもと向き合う時間を増やす必要がある」と主張。今後3年間で約2万1000人の教職員の定数増を求めていた。安倍前政権で成立した改正学校教育法によって、中間管理職の役割を担う「主幹教諭」が新設されたことも追い風になっていた。
ただ、06年施行の行革推進法では「公立学校の教職員とその他の職員の総数について、児童生徒の減少を上回る純減」を、国と地方に求めている。「その他の職員」にあたる用務員や給食調理員の人数が減っている分を、教職員の増員に回すことで総数としての純減は守る方向だ。
ただ、自民党内には、行革法を改正して、定員を大幅に増やすよう求める声もあり、調整がなお続く見通しだ。
一方、非常勤講師は行革法の対象とならない。もともと文科省は、小学校の理科の指導充実などを理由に、非常勤講師を5000校に配置することを求めていた。まとめると、
「文部科学省は教師(正確には教職員)の数を増やしたい。でも金がかかる。
財務省はむしろ減らしたがっている。そこをなんとか、ということで文部科学省は、
正規採用の職員でなく、非常勤講師で数を稼ぐことにした。」
となる。
全国の公立小学校数は、22,420校(平成19年5月1日現在)なので、7000人といっても
その3分の1に過ぎない。だから実際にこの増員が通っても、恩恵にあずかる学校は多くない。
しかし、増やしてくれるんなら文句を言うべき筋合いはない。
ところが、だ。実質的には非常勤講師でまかなうという。
非常勤講師というと正規雇用ではない。いまどきどこの企業でも激増している派遣やパートと
同じ扱いなのだ。同じように教壇に立って同じように担任をしているが、彼らは正規雇用の
「教諭」ではない。講師というと、塾や予備校の講師のようで聞こえはいいのだが、
要するに「パート先生」なのである。
あえて言おう。
今、パート先生の質は下落一方であると今、団塊の大量退職と教職の不人気で、各自治体の教員採用試験の倍率はとても低い。
都市部では3倍を切り、教育委員会の人間が「3倍切ったら新採の質は保証できない」とまで
言っているほどだ。講師どころか、正規採用の教師の質も危ぶまれている時代なのである。
今まで厳しい倍率の採用試験に受からず、長年講師を続けながら現場で鍛えられてきた教師は、
実力ある人は軒並み採用試験に合格している。晴れて正式な教師になったわけだ。
おかげで今は、産休や病休で臨時採用する講師の数が足りなくて、教育委員会が困っている。
どういうことかというと、今、非常勤講師として現場にやってくる人間は、かつてないほど低倍率の採用試験に合格できなかったか、民間に就職しそこねてブラブラしている者なのだ。
実際、俺の回りにいる新しい非常勤講師達の多くは、はっきり言って使えない。ダメダメだ。
経験不足ではなく、根本的に生徒の扱いができないとか、教師としての適性に欠けている。
とにかくまともに授業や生徒の相手ができなくて、トラブルメーカーになっているのである。
今までも講師はたくさんいたが、こんなに使えないのが多いことはなかった。
教育委員会に来る保護者からの苦情も、講師に関するものが圧倒的に多いという。
新聞記事には小学校の講師を増やすとあるが、小学校では非力なパート教師が担任をして、
グチャグチャなクラスになってしまっている例が増えている。
1学年2クラスで、2人とも講師で2クラスとも学級崩壊という悲惨な学校もある。
低賃金のパート教師では所詮こんなものだ保護者の皆様にしてみれば、我が子の担任がパート教師か正規職員かは区別がつかない。
というか、そんなことで担任の質が変わってもらったら困るというのが正直なところだろう。
しかし実際は、給料の違いだけでなく歴然とした差があるのだ。
平成元年から初任者研修という制度が始まり、正規雇用の初任者は、年間300時間以上の校内研修と、25日の校外研修・宿泊研修を受けて、一人前の教師になっていく。
パート先生には、もちろんこんな制度はない。技術養成のための予算も時間もない。
中学校では、昔は講師が担任をすることはなかった。今は、常勤講師として当然のように
4月当初から担任をしている。民間と同じように、パート教師が増えているのだ。
そして初任者研修を受けることもなく、専属の指導教員が細かく技術をコーチすることもなく、
とりあえずなんとか毎日をしのいでいる。
ただでさえ教師の質の低下が叫ばれているところに、こういう状態の講師を増やして、
恩着せがましく「教育の為に予算を増やした」と言われても、現場は良くならない。
俺は記事を読んで頭を抱えた。
と、このあたりまで書いて、念のため他誌の記事を読んでみて驚いた。
以下は、同内容を扱った毎日新聞の記事である。
教員定数:増員、一部容認へ 財務省検討 (2007年12月15日 毎日新聞)
財務省は15日、08年度予算編成で文部科学省が要求している公立小中学校の教員定数増について、一部容認する方向で検討に入った。文科省は約7000人の増員を求めているのに対して、1000人規模の正規採用を認め、残りは教員OBなどを非常勤として採用する案があがっている。
公務員の定数の純減を定めている行政改革推進法は、教員定数を「07年度から5年間で1万人純減」と明記している。このため、財務省は「行革の流れに逆行する」と反対してきた。ただ、自民党などから、教育の質の向上のためには増員は不可欠との意見が強いことや、団塊世代の大量退職に対応して、教員OBを非常勤で再雇用する観点から、一部容認することにした。
09年度以降は大幅削減を求めることで行革法の目標は達成できると見込んでいる。短い記事だが、朝日には無い重要な語句が含まれている。それはこの部分。
団塊世代の大量退職に対応して、教員OBを非常勤で再雇用するおい、それなら全然話がちがうじゃないか教師の退職後の再就職口だが、教育関係では、地域の教育関係施設や私立の教師などがある。
退職校長が児童館の館長になったり、私学教師になって中学校に営業に回ってきたりする。
校長ほどではないが、俺みたいなヒラ教師にも、教育関係の再就職の口はないわけではない。
その選択肢に、公立小中学校の講師が加わるわけだ。
こいつはいい。これならいける。
そもそも退職後もまだ教壇に立とうという教師は、教師として余力が残っている証拠だ。
現役時代もそれなりに仕事をこなし、子供たちの相手もちゃんとしてきただろう。
学級崩壊でボロボロになったり、事務処理能力がないダメ教師は、二度と教壇に立とうと
思わないはずだ。実際、60歳まで耐え切れず、定年を待たずに退職する教師も少なくない。
そういう意味で、歳は取っていても、若いだけで使い物にならないド素人のヘタレ講師を
雇うよりも、はるかに役に立つ。先頭には立たなくても、アドバイザーとして経験が物を言う。
ということで、同じ内容を扱った二誌の記事で、俺は絶望と希望、正反対の感想を抱いた。
こら朝日、わかってねーだろ保護者の皆様もちょっと安心していい。
生徒達に慕われつつ退職した爺ちゃん先生、婆ちゃん先生が、もうちょっとだけ学校に戻って
きてくれるかもしれない。俺も期待しておくことにする。
あまり高齢では考えものだが、さすがにボケ爺先生は困る。
間違えて他の学年の教室に行って、最後まで気がつかずに授業したとか(笑)▼座布団1枚!と思ったらクリックよろしく
