公立中学校教師の辛口教育コラム。一般の方に分かりやすく心がけてます。真面目なだけのセンセは服用に際して十分ご注意下さい(笑)
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数々の話題を提供してくれた和田中の藤原校長だが、今年度末で任期が終了する。
後任もリクルート出身の代田氏なので、新年度も和田中の話題は途絶えることはないだろう。
本年度は夜スペで終了かと思っていたら、最後の最後にまだネタが残っていた。

杉並・和田中「脱PTA」宣言 地域ぐるみの支援組織に(2008年03月23日 朝日新聞)
数々の教育改革で知られる東京都杉並区の区立和田中学校は22日、PTAの役職を簡素化し、区のPTA協議会(P協)から脱退することを決めた。4月以降、PTAは地域の協力者で作る「和田中地域本部」の一部門となる。文部科学省は新年度から、和田中をモデルに「学校支援地域本部」を全国1800カ所に置く方針。都市部を中心にPTAの担い手は減っており、保護者だけに頼らない和田中方式は広がる可能性がある。

PTA会員数の推移

 3月末に任期満了で退任する藤原和博校長が、この日の学校運営協議会で報告した。(1)PTAは地域本部の一部門の現役保護者部会とする(2)各クラスの保護者から役員を選ぶ仕組みは変えないが、会長は選出せず役職も少なくする(3)区内のPTA役員が集まる会合には今後参加しない――が主な内容。

 1月のPTA運営委員会で方針は承認されており、5月の総会で正式決定する。藤原校長は「慣例で続けている仕事をリストラし、必要なことに力を注ぎたい。全国のPTAの参考になるのではないか。親と地域の人が協力し学校を支える態勢を強めたい」と話す。

 一方、文科省は、中学校区ごとに学校支援地域本部を設けようと、08年度予算案に50億4000万円を盛り込んだ。

 地域本部には、教職員や保護者に加え地域の代表者が入り、部活動の支援や、学校環境の整備、登下校のパトロールなどでかかわる。また、理科の授業やキャリア教育、自然体験などを支援できる専門家を探し出して、有償で招く。


藤原校長本人による趣旨説明はこちら。
慣性の法則から抜けられないPTAのみなさんへ、和田中より愛を込めて (PDF)

この記事にコメントする前に、PTAについてちょっと語っておく。

はい、そこのお母さんお父さん。今、PTAって聞いて、ため息つきませんでしたか?
旗持ち当番とか読み聞かせとかパトロールとか、頭の中に浮かびませんでしたか?
ああもうすぐ4月だ、役員選挙の電話が回ってきたらどうしよう、名簿の最初は損なのにとか、
親の立場でいると、PTAというのもなかなかに悩ましいものだ。

たとえば学級役員選挙。中には率先して立候補する積極的な保護者の方もいるのだが、
たいていは、避けられるものなら避けたいのが本音だ。だからその裏返しで、
「うちは仕事があるので出来ません」なんて言おうものなら、専業主婦を差別するのか等と、
突込みが入ったりする。そうやってもめた挙句、
「こちらでは決められませんから、学校で決めて下さい」となり、担任が頭を下げて回ったり
するという、本末転倒の事態になる。そんなになり手がなきゃPTAなんぞつぶしてしまえば
いいと思うのだが、つぶすには勇気とパワーがいるので、絶対につぶれない(笑)

学級役員も、小中学校を通して一度でも役員をやればそれでお役御免、で済む地域もあった。
たとえばクラスに4人の役員なら、9年間で36人、つまりほぼ全員の保護者が、義務教育期間中に一度は役員を経験することになり、これはこれで公平ということで理屈が通っている。

つまり誰もPTAなんかやりたくないわけ

かくして本来の趣旨を見失ったPTA活動は「旗持ち当番は雨の日も傘を差してはいけない」、などという意味不明の鉄の掟を生み、冷たい雨の日に乳飲み子を背負ってレインコートを着て
半泣きで交差点に立ち、ヤケクソで黄色い旗を振る母親の光景を演出することになる。

ちなみにこれは実話だからな。俺の子供が通っていた小学校での話だ。
自分に乳飲み子がいたら、PTA会長に怒鳴り込んでいたところだ。

いったい誰のための、何のためのPTAなのか。

教師の立場にしても、なにかと悩ましいことが多い。
たとえばPTA会費。俺が今までに勤務した数校では、すべて教師も会費を払っていた。
教師にとって、PTAは任意加入の団体ではない。実質的に業務の一部である。
赴任と同時に自動的に会員となり、給料からPTA会費が天引きされている。
俺はずっと疑問に思っている。

仕事でやっているのになんで自腹なのか?

会費を何に使っているのかというと、本部運営費とか印刷費とか卒業記念品代とか慶弔費とか。
この慶弔費の中に、職員への餞別というのが組み込まれているPTAがあった。
その学校での勤続年数に応じて、異動時の餞別が増額されるというもので、毎年払う会費は
それで実質的にチャラになるシステムだった。うまいこと考えたものだ。

だったら最初から会費なんぞ取らなけりゃいいのだが、PTAのTはティーチャーのTだから、
教師も会費を払うのが当たり前だろう、という突込みが入るわけだ。難儀なことだ。

次元の低い話だが、要するにこれが、藤原校長の言う「慣性の法則から抜けられないPTA」の
実態だ。慣性とはまた控えめに言ったもので、本音は惰性といいたいところだろう。
そんな組織なら、つぶしてしまって、地域を核とする組織の下に組み入れてしまえ、というのが
藤原校長の構想である。

いや、これは実現できれば素晴らしいと思う。

毎年人が入れ替わるPTAと違って、長期を見越した継続的な計画や活動ができ、中学校だけでなく地域を基盤とした幅広い範囲での規模となる。もうPTAという形態自体、古いのだ。

問題なのは、地域にそんな力があるかどうかだ

地域をベースにすると、たとえば私学に通っている生徒が3割以上いる地域なんて、いったい
どうするんだろうとか、素朴な疑問もわいてくるのだが、それは本質的なことではない。

地域と言っても、家しかない住宅地で、時間のあるのは犬を連れて散歩しているジーチャンバーチャンだけの所だっていくらでもある。地域で生きていない人間の住む街は多い。
そんなところでは、地域は名目だけで、町内会長がおざなりに名前を連ね、結局、中学校の
校長と教師が奔走することになる。

藤原校長のように、大企業のコネを使って人脈をたどって、人材を引っ張ってくるだけの力が、世間知らずのしがない公務員の校長にあるわけはない。校長は仮の姿、という人とは違うのだ。

昔々、校長は地域の名士だった。そしてそれを支える力が、地域にはあった。
もちろん、今もそうだという校長も地域もあるだろう。
しかし、校長や教師の権威は地に落ち泥にまみれている現実は、まわりにいくらでもある。

だから、力のない地域と、そこにある学校には、それをバックアップする公的なシステムが
必須となる。地域を活性化するために、よそから人材を派遣するというのも、何だかなあと
いう気がするが、昔々存在していた、地域の人のつながりというものを新たに再現させるには、
それぞれの地域の特性に応じたフランチャイズ的なノウハウが必要となるだろう。

そのコーディネイトこそ、民間の力の得意分野だと思うのだが、いかがなものだろう。

だいたいだな、近所の悪ガキも叱れなくなった大人しかいない地域で、人のつながりも地域の力も、
とうの昔に消滅してるんだよ。まずそっから手を入れないとな。


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はじめまして。こんにちは。いつも読み逃げですが、共感した記事なのでカキコミ失礼します。

も~~流石です!よく言ってくれました!
PTAの質って学校をすごく左右しますよね。変な地域になるととんでもないことが起こります。いっそやめたほうが本当に安全です。

ウチの子たちが卒業した小学校はPTAじゃなくて育友会だったのですが、その権力のすごさって…もう!でした。会長達の子供さんって係りの仕事をサボっても、授業中に歩いても叱られなかったほどです。
組織はお金に大変ルーズで、時々積み立て金が消えたりしていました。

因みにウチの校区でも旗振りはありました。双子の小さな赤ちゃんをつれて秋雨にずぶぬれになりながら旗を振っていたお母さんがいたたまれなくて、その場で変わってあげたら「ひとり一役が無意味になったじゃないですか!」と役員にしかられました。一人一役よりも人としてそれを見過ごすことの方が問題じゃないかと思いました。

「慣性の法則」…ものすごくぴったりな言い方だと思います。
記事を読んでいてすごくスッキリしました。在学中に読みたかったです。
【2008/03/27 Thu】 URL // ぴかぴ #YpqZtgVo [ 編集 ]
ぴかぴ さん、いらっしゃいませ
PTAって、おかしな偏り方をしている話をたくさん聞きます。

親の立場で言うと、意味不明の連絡網なんてのもよくありました。こんなバカな連絡に何で電話代はらわにゃいかんのだ!ってね。最近は名簿も連絡網も作らないんで助かってますけど。

その会長の権力っていうのも、保護者の中ではすごいことになっていても、教師側から見ると、何も実体はなかったりすることもあるんですよ。私は幸いにして、子供をひいきしなければならない程、闇の権力を持った会長というのは経験ありません。ひいきすると何かいいことがある会長も経験ありません(笑)

親がPTAの役員してたら内申書に有利とか言うのも、まったくの都市伝説。そんなの今まで一度も書いたことありません。

役員していていいことは、学校へ行く理由ができることと、懇談会以外に教師と話せる機会が多くなること。どうせなら、これを有効利用するといいです。

ちなみに育友会という名前は、PTAのT(教師)を抜くためにつけている場合が多いです。記事に書いたみたいなことがあるので、学校側の都合ですね。でも実際は無視するわけにいかないんで同じことなんですけどね。
【2008/03/29 Sat】 URL // シーサー #gJtHMeAM [ 編集 ]
学校を左右?
私も教員でしたが、PTAの影響力というものは肌で感じることはありませんでしたね。実際、PTA会長の子供であるか否かなんてまるで意識sるうこともなく叱りつけていました。文句を言ってくる人間もいるにはいましたが、それとて役職がどうこう影響されるものでもなかったし。
だってPTA事務局の主力が教職員だものなあ。そんな組織じゃ仮に学校との対決姿勢を強めたところで身動き取れませんから。


学園物マンガなどで描写される「PTA(会長)の力」ってフィクション特有の誇張だと思ってましたが・・・。あるところではあるんですな。
【2008/03/29 Sat】 URL // 甲 #CFnWuolQ [ 編集 ]
こんにちは!
またカキコミ失礼します。

ウチの小学校でのクラス崩壊的な騒ぎはほとんどが役員の子供達が起こしていたので、その子たちと同じ公立にやりたくないという親が多くて、市内の公立小学校の中でも中学受験率が大変高かった小学校でした。

だから内申書に関しての噂は多かったのですが、育友会の役員(子供はとっくに卒業している)が職員室に机を持っていて、気に入らない親の子供(育友会の氾濫分子ということですが)やその親が、先生の悪口を言っていたというガセネタを吹き込んでしまうんです。(だから育有会に意見を言える人は、子供が文句なく優秀で、内申書の要らない私立中学を受ける人たちが多かったです。因みに一時期、内申書を良くするために、職員室でわが子に関するよい話をしてもらうために、その役員にお届け物をする人もいました。)

先生に連絡ごとがあって、職員室に電話をするとその役員が出てくるのでいやでしたね。一度教頭先生に意見をしたのですが、「実害があってきちんとした証拠があったら言ってください」ってことでした。

考えてみたら、卒業してしまう子供の、あれこれ文句を言う親よりは、飲み会に一緒にいって、お酌をしてくれたり、育友会の費用でおごってくれる役員の方が先生がたにとっても楽しい付き合いだったのでしょう。

先生がプロ意識や職業に対する誇りを持っている学校ならいいのですが、地方はまだまだ地元の名士(迷士)に振り回されることが多いのかも知れません。
【2008/04/05 Sat】 URL // ぴかぴ #YpqZtgVo [ 編集 ]

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