高校で、クラスのメンバーがいなくなる理由はいろいろある。
悪さをして退学とか、もともと机に座ってしおらしく勉強などするガラでもないのに、
間違って高校に来てしまった奴とか、ふつうに家が引越しとか、そんなところだろう。
そのどれでもなく、誰にも詳しく告げずに、ある日ひっそりいなくなることもある。
それがこれ。
私立高校中退率 経済的理由過去最悪に (2008.6.11 産経新聞)
経済的な理由で平成19年度に私立高校を中退した生徒が少なくとも全国で407人(調査対象生徒数比0・21%)に上ることが、全国私立学校教職員組合連合(全国私教連)の調査で分かった。10年度の調査開始以来、最悪を記録した。
調査は、全国の私立高校の約5分の1にあたる28都道府県234校、約19万5000人を対象に行われた。経済的な理由による中退率は、過去最悪だった16年度の0・19%(279人)に比べ0・02ポイント上昇、1校当たりでも1・74人と過去最悪だった。
全国私教連は「他の理由により中退している生徒の中にも、家庭の経済的な事情が背景となっている者が潜んでいる」と、実際はもっと多いとみている。記事にもあるように、学費のかかる私学でのケースが目立つ。
最初から苦しい家計の中で無理をしていた場合もあるし、親が事業に失敗したり倒産したり、
突然リストラされて、高校どころではなくなることもある。
俺の周りでも、実際にそういう生徒が何人かいた。
近所の公立に転校して元気に通っている子はまだしも、家族で夜逃げ同然に引っ越して、
その後行方知れずというのもある。生徒には気の毒な話だが、残念ながらどうにもならない。
このご時世だから、そういうこともあるだろうとため息をつくのだが、確かにバブルだの
言っていた時代には、こんな話はそう聞かなかった。金がなくて中卒で働くことはあっても、
家庭の経済的事情でせっかく入った高校中退というのは、最近のように多くはなかった。
そんなところへ、このニュースを合わせて読むと、さらに気が重くなる。
橋下知事、私学助成25%削減へ 小中学校、全国最低 (2008年6月3日 朝日新聞)
大阪府の橋下徹知事は、私立学校の学校運営費に対する助成金を、小学校と中学校で25%、高校で10%、幼稚園で5%それぞれ削減する方針を固めた。これによって、児童・生徒1人あたりの助成金額が小中学校で全国最低に、高校はワースト2位の水準に転落する。
運営費助成金は、私立学校が安定した教育を提供できるように設けられている制度。国庫補助金と地方交付税を財源に、07年度の助成額は高校約242億円、中学校約66億円、小学校約20億円、幼稚園約162億円だった。
各校には、児童・生徒の1人あたりの単価を決め、人数に応じて配分する。07年度の1人あたりの助成水準は、小学校は26万2150円で全国27位、中学校は28万6446円で15位、29万3560円の高校は45位の低さだった。
知事直轄の改革プロジェクトチームが4月にまとめた削減率では、小中学校は30%、幼稚園と高校は10%だった。これによる削減効果は今年度の8月以降で約45億円、来年度は68億円を見込んでいた。
橋下知事は小中学校の削減率が高校などと比べて高いことについて「義務教育は望めばみんな公立に通うことができる。私学の付加価値を求めるなら公立よりもお金がかかるのは当たり前だ」との認識を示していた。
多くの私立学校では助成金が学校運営費の約3割を占めており、大阪私立中学校高等学校連合会は「助成金が削減されると、授業料を上げざるを得なくなり、生徒募集にも影響が出る」として、現状維持を求めている。大都市では、公立も私立も多くの学校が入り乱れているので、各自の能力や個性に合わせて
選択肢が多い。幼稚園から大学まで、すべて私立で通すこともできる。
公立で大学まで通すにはそれなりの学力が必要だから、誰でもというわけにはいかない。
しかし高校なら、大阪では、ぶっちゃけピンからきりまで公立で選ぶことができるという。
だったら全員が授業料の安い公立高校に行くかというと、そうはなっていない。
私立高校にもちゃんとそれぞれのニーズがあって、公立と棲み分けをしているわけだ。
こういう状況で、私学助成金の削減は、当然のように私立学費の値上げを招く。
小学校や中学校だけの私学は多分ないだろう。経営母体は小中高とも同じ学校法人だから、
グループ全体的な学費値上げとなるだろう。
助成金を減らされた上に学費値上げで生徒が減れば、さらに経営が苦しくなる悪循環。
そして高校中退者だけでなく、きっと私立小中学生の中退者が出てくる。
大阪では、貧乏人は私学に行くなってことだ結局、私学に行ける者は、より高収入の世帯に絞られていく。教育格差はますます拡大する。
公立だけですべてのニーズをカバーできない。だから今まで、私学も公立も共存してきたのだ。
義務教育は公立に通え、と橋下知事は言うが、その橋下知事の采配で大阪府の公教育は、
これからコストダウンの嵐に突入していく。
手段は何であれ、今までより魅力ある教育が期待できるならそれでもよかろう。
しかし俺には、まだその光が見えてこない。困ったものだ。
そして私学中退のトラウマを背負った子供たちが、俺たち公立学校のところにやってくる。
苦しい家庭の事情も垣間見える。だから人ごとではないのだ。▼座布団1枚!と思ったらクリックよろしく
