公立中学校教師の辛口教育コラム。一般の方に分かりやすく心がけてます。真面目なだけのセンセは服用に際して十分ご注意下さい(笑)
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
遺書で「パワハラ」訴え、女性中学教諭が自殺…鹿児島(10月31日 読売新聞)
(略)
 学校によると、教諭は2002年、中学校に赴任し、音楽科と家庭科を担当。05年から、1、2年生に国語も教えるようになったが、曽於市教委から「指導力不足」と判断された。このため、10月1日から半年間、県総合教育センター(鹿児島市)で研修を受けることになり、鹿児島市内の自宅から通っていた。
 校長は「音楽のテストで不適切な設問をしたり、欠勤や遅刻も目立ったため、本人とよく話し合った上で研修してもらうことになった。仕事量には十分配慮したつもりだった」としている。



教育界のとんでもないニュースが次々と出てくるが、この記事、一般の皆様はどう感じたのだろうか。
「パワーハラスメント」と「指導力不足」のキーワードはちょっと置いておいて、
現場の人間から見た別の切り口で語ってみることにする。

亡くなった先生は、中学校で音楽と家庭科と国語を教えていた。
「3つも教科を教えて忙しそうだな」と思った人いるかな? このあたりを少々解説する。

学校の教員数は、学校の規模つまりクラス数によって決められている。
各学年1クラス計3クラスの中学校だと、管理職や養護教諭(保健室の先生な)以外に
教師が8人ということも普通にある。みなさん、この意味分かりますか?

教科は9つあるのに教師は8人

少なくとも1人の教師は、2教科教えていることになる。
保健体育と技術家庭とか、国語と美術とか、まあいろんな取り合わせがある。
こんなに小さな学校でなくても、クラス数と教師数と授業数の規定の中で、
うまくやりくりが出来なくて2つ以上の教科を兼任することは珍しくない。

教員になるには大学で教員免許状を取らなければいけない。
で、この2つ以上の教科を教えている教師の全員が、たとえば理科と数学の免許を
持っているかというと、実は1つしか持っていなかったりする。
専門は数学だとすると、理科の免許は持っていないということになる。
無免許で教えられるのかというと、難しい話は省くがこれが実は大丈夫なんだな。
履修不足みたいな大騒ぎにはならんから安心してくれ(笑)

俺も専門外の教科は無免許で何度か教えたことあるぞ。まわりでも普通に目にした。

数学とかだと、とりあえず問題が解ければなんとかなる。一応中学校は出てるしな。
数学的概念とか難しいことは専門外なので知らん。学生時代の家庭教師気分だな。
実技教科だとなかなかハードだ。体育は昔運動部をやっていたならなんとかなるかも。
技術とか音楽だと趣味の世界だな。ピアノが弾けないからギターでジャカジャカやって
音楽の授業をしていた若い男の先生もいた。もちろん専門外無免許。
理科なんて、危険な薬品を使う実験はヤバいので一切やらない。花のスケッチ大歓迎。

公教育の授業の質なんてこんなもんだ

教師の質以前の問題だろ?(笑) いくら優秀な教師でも、専門外をやらされちゃな。
こんな現状でやらせといて、な~にが学力低下だ。笑わせるぜ。
少子化で学校の規模が縮小しているので、今後この傾向はますます増大する。
大きすぎる学校も問題だが、それなりの規模がないとスケールメリットが生かせない。

改善方法は実に簡単。各学校に配当人員を増やせばいい。
でも改善されないな。金かかるから。現場はこんなことばっかりだぜ。
偉い人達よ、格好のいいこと言いながら、実はこんなもんでいいと思ってるだろ。

さて、背景の解説はこれくらいにして話を元に戻す。

鹿児島県曽於市の中学校の女性音楽教諭(32)、とあるが、この先生の専門が
実は音楽でなかったとしても、別に驚かない。校長室に呼ばれて、
「あんたピアノ弾けるんだって? じゃ音楽教えてよ」なんてのはよくある話。

音楽科と家庭科を担当。05年から、1、2年生に国語も教えるようになった
ということなので、一人で3教科を教えていたことになる。
おそらく小規模校で、音楽と家庭科は3学年とも教えていたはずだ。
これは授業の準備は大変だったろうなと思う。業界用語では教材研究と言うが、
音楽×3学年分、家庭科×3学年分、国語×2学年分で、合計8授業分のネタを
常に準備しなければならない。

たとえば英語の先生が英語だけを教えている場合、1学年で6クラス担当していても、
準備した1つのネタで6回授業ができる。小規模校で各学年1クラスだと、
すべてのネタは1回ぽっきりで終り。コストパフォーマンスも慣熟も望めない。
まして自分の専門外の教科だと、過去の経験やノウハウ、教材の蓄積もない。

小規模校教員の宿命みたいな面もあるのだが、音楽と家庭科ってどっちも実技教科だ。
実技教科は準備もいろいろ大変なんだぞ。黒板だけで授業はできないんだよ。
その学校の事情は知らんが、この先生にしわ寄せしすぎなんじゃないのか?
他の教師もみんな3教科も担当させられているのか? だったら別だが。

「仕事量には十分配慮したつもりだった」

と校長は言っているそうだが、どうだかな。

与えられた少ない情報から俺が感じたのは、そういうことだ。

生徒諸君、専門外でも無免許でも俺達は一生懸命やっているからな。
と言い訳をしつつ、亡くなった先生の為に合掌。


▼座布団1枚!と思ったらクリックよろしく
FC2ブログランキング にほんブログ村 教育ブログ
スポンサーサイト
小さな学校の方が指導もきめ細やかで成績も・・・?
「大きい学校と違って成績も上げやすいでしょう?」なんてよく言われます。
実態は逆ですよねえ。私は小規模校経験が比較的多いんですが、平均点が大規模校を上回ることはまず無かったです。

正規の教科担当者(つまり「免許持ち」)が少ないので、無免許で指導せざる得ない教科が多くなる。専門外の教科の指導はなかなか困難ですね。がんばりはするけど、やはり専門の人の指導力には及びません。
大きい学校では全教科を専門の教師に指導して貰える。でも小規模校はその保障はありません。
さらに備品類も小規模校は割を食います。技術や理科、体育の備品も大規模校の方が圧倒的に充実。(ただし損耗も激しいですけど)モノがないので○○の単元の実習が出来ない、ってことも小規模校では多かったです。

こういうのって教育の機会均等の原則に反していると思うんだけど、教育委員会は定数を減らすことはあっても増やすことは絶対にありませんね。
最近では小規模校からは事務職員引き上げ。(事務作業は教師が肩代わり。ますます事前準備時間が不足してます)
さらに養護教諭がいない学校もちらほら。過疎化すると切り捨てられるんですよね。さらに公衆電話まで撤去されるので大変です。
そういう小規模校は携帯の電波が届かない場所が多いのに。
いろいろ困ったことが加速度的に増えてきますよ、本当に。
【2006/11/02 Thu】 URL // 甲 #YK3S2YpI [ 編集 ]
事務職員から養護教諭まで引き上げですか。時間数の少ない音楽や技術家庭科、美術なんかは、そのうち授業を教えるだけの講師が巡回してくるようになるんでしょうね。部活ではすでに拠点校に集まってやってるし。

こんな調子で進むと、学校には校長教頭と、正規採用の担任がクラス数だけいて、あとは全部巡回講師なんて時代が来るかも。学校のコンビニ化。逆に授業にかかわる諸々の作業や準備なんかは、バイト君に手伝ってもらった方がいいかもしれない。生徒にはノータッチの助手。そのかわり、荒れてくると実力行使できる学校警備員やカウンセラーが常駐したり。保健室は開かずになって職員室の教頭横の簡易ベッドに生徒が寝ていたり。なんか近未来のSFみたいで(笑)

備品は確かに平等じゃない。台帳の整備基準数を見ると、大規模校の方が明らかに優遇されてます。小規模だと買えない物があったり(涙)

最後には学校を統合するのとどっちが安上がりかってことになってくるんでしょうが、地域に学校がないのも寂しいですよねえ。教育基本法の改正だとか言ってますが、こういうのは合理化こそされても質が上がることはないでしょう。悲しいけど、これが教育なのよねえ。
【2006/11/03 Fri】 URL // シーサー #gJtHMeAM [ 編集 ]
学校のコンビニ化
実はもう現実になりつつありますね。

事務さんや養教さんが臨時職員である学校も珍しくありません。
教師の半数以上が常勤講師+非常勤講師の学校も実際にありますし。
スクールカウンセラーも学校相談員も最初から皆さん、1年更新の非常勤ですし。

特に体育を除く実技系教科は非常勤化が顕著です。県内の高校は既に芸術系科目の新規採用がほとんど無くなっておりますし。
中学校も音楽の非常勤は常態化。しかも3校程度の掛け持ちは当たり前。校内合唱のレベルアップなんて夢物語です。
音楽の非常勤は若い女性が多いんですが、教委の教諭採用が少なすぎるために、数年すると教壇から去ってしまうケースが多い。このため市町村教委+校長は不足がちな非常勤を求めて右往左往することも珍しくありません。・・・根本的に何か間違ってますね。

職員室のソファーで生徒が休む、なんて以前いた学校では日常茶飯事でした。理科教員が怪我の手当てしなければならなかったり。

非正規雇用でなんとかしようとしているのは企業だけではありませんね。そのうち公立学校も民営化されるんじゃないかと睨んでおります。
【2006/11/04 Sat】 URL // 甲 #YK3S2YpI [ 編集 ]
認識が甘かったですね。こうなったらもう勉強も塾や予備校にまかせて、学校では行事と人間関係のトラブル対処だけを練習すると。行事のときはバイト君を雇ってスタッフにすれば安上がりです。

学校運営の民営化。教育委員会の大部分が委託された企業からの出向で編成されて、校長も企業人。ある部分では強力な権限を持って動く。採用試験も変わって、実質的な新人研修を受けた別人種の若い教師が入ってくる・・・。

何にせよ新しい体制が定着するまで、適応できない生き残りの古い教師はきついでしょうね。あ、適応できなかったらさっさとリストラされるから大丈夫か(笑)
【2006/11/04 Sat】 URL // シーサー #gJtHMeAM [ 編集 ]
し、知りませんでした。
私が通っていた頃は1学年8クラスくらいあったので、やはり各学科で先生が違いました。
専門外を教えるとは、大変ですね・・。
この記事を読んだときの率直な感想は、3科目教えていたというのは何故か頭から離れていて、「先生、逃げちゃいかんやろ」ということでした。
学生時代少しだけ家庭教師をしていたのでわかりますが、人に教えるとなると必ず予習が必要になります。
3教科となると寝る暇ないんじゃないですか?!
必要なところへの人員投入をせずに必要でないところに人が多すぎるような・・。
先日あった奈良市役所じゃないですが、そんなに人が休んで仕事がまわるなら、人があまっているということでしょう。
もっと有意義に人を投入して欲しいものです。
【2006/11/04 Sat】 URL // きり #tHX44QXM [ 編集 ]
1学年8クラスあると、さすがにどの教科の先生もいます。というか、同じ学年でも、ひとつの教科を2人の先生が教えていたりします。
「同じ学年なのに先生が違うので不公平だ」とか保護者から苦情が来ることもありますが、小規模校からしてみればとんでもなくぜいたくな話ですね。

「逃げちゃいかんやろ」というのは、ごく自然な感想だと思います。
ただ、この先生だけを悪者にして済む問題じゃなくて、場合によってはパワーハラスメントで校長が糾弾される可能性もあるので、書いてみました。
「仕事量には十分配慮」というのも、この学校の全教員の受け持ち授業時間数を公表してくれたら、もう少し具体性があるんですけどね。校務分掌表(仕事の役割分担表)と一緒に公開する勇気は、ここの校長にはないだろうな。誰か監査請求してみるといいかも。
【2006/11/04 Sat】 URL // シーサー #gJtHMeAM [ 編集 ]
無免許は珍しくない
小中学校では、校務員や事務員が人手不足のため、大学を出ていなくても(もちろん無免許)授業やっていますよ。

クラブだけの人もいますが、家庭科などの授業やってる人もいます。

もしも、何か子どもがケガをした時や、間違ったことを教えられても、教員以外に責任は問えませんが。
【2013/03/10 Sun】 URL // かやま #- [ 編集 ]

管理者にだけ表示を許可する
http://edupoison.blog53.fc2.com/tb.php/40-035f0fab
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)
// HOME // 
Powered By FC2ブログ. copyright © 2005 教育毒本 all rights reserved.
プロフィール

シーサー

著者:シーサー
公立中学校教師

最近のコメント
最近の記事
カテゴリー
最近のトラックバック
月別アーカイブ
メールフォーム

著者宛メールはこちらから

ブログ内検索

RSSフィード
リンク
FC2カウンター

 FC2カウンター
現在の閲覧者数:

ブログランキング参加中

記事が面白かったら…
に

ほんブログ村 教育ブログへ クリック!
お願いします

広 告



上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。