公立中学校教師の辛口教育コラム。一般の方に分かりやすく心がけてます。真面目なだけのセンセは服用に際して十分ご注意下さい(笑)
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11月7日にフジテレビ系で放送された教育バラエティ番組を見た。
カスペ!『秋の教育スペシャル第2弾 現役教師1000人大告白SPこれが今どきの学校だ!!』

番組後半で、教育再生会議メンバーの渡邉美樹氏が登場して教師にケンカを売っていた(笑)

「皆さんはダメ教師だなって思うわけですね」

というツカミに始まって、

授業が成立している基準は
 ・全員が起きている
 ・全員が授業に向かっている
 ・ゴミが落ちていない
 ・机がビッシリ並んでいる

これができないのは100%教師の責任で、なぜできないかというと
 ・威厳がない  ・情熱がない  ・愛情がない

この3つがない先生は適性がない。だから生徒がナメる。


というのが三年半現場に入っての見解だそうだ。
当然、何人かの教師が食ってかかって、この手のバラエティ番組としては理想的な展開に
なっていくわけだが、まあ話は噛み合わないわな。だから面白いんだけど。

で、この渡邉美樹氏が何者かちょっとだけ検索してみた。

ワタミ株式会社代表取締役社長・CEO、 学校法人郁文館夢学園理事長、神奈川県教育委員

郁文館夢学園は中高一貫の私学男子校だ。三年半の現場というのはここのことだな。
俺は「な~んだ、私学じゃないか」とつぶやいて苦笑する。
学校のサイトを見てみると、育ちの良さそうなお子様達の顔がにこやかに晒されている。
進学実績も、有名私大に数字を並べてなかなかいい感じだ。

俺は私学やこの学校を馬鹿にしているわけではない。
大見得を切っていた渡邉氏に対する苦笑なので誤解なきように。

さてここからが今日の本題。
私学には公立にない特徴がたくさんある。公立と私学の違いをひとつひとつ上げていたら
それだけでブログが成立してしまいそうだが、今回はその中からぶっとい奴を一発。

私学の最終兵器は生徒をクビにできることだ

高校じゃないぜ。義務教育の小中学校な。
クビ、つまり生徒を放り出すことができる。理由はいろいろ。
まわりの生徒をいじめ倒してトラブルや傷害事件の連続で手におえなくて追放。
あまりに勉強ができなくて中学に上がれなくて自主退学、つまり事実上の追放。

これは強い。圧倒的だ。学校においてこれ以上の権力行使はない。
効果も絶大。問題の発生源を完全に抹消できるんだから完璧だ。
やりすぎると学校の運営を疑われるわけだが、とっときの最終奥義であることは確か。

放り出された生徒はどうなるかって?

もちろん公立が引き受けるんだよ

どちらの例も実際に経験した。勉強ができないくらい屁でもないが、トラブルメーカーの奴は
やっぱり卒業するまでトラブルメーカーだ。追放された恨みもこもっている。

公立校には生徒を拒否したり放り出したりする権限はない。
暴れすぎて別の施設へ移送されることはあっても、籍は残っていたりする。
卒業後も、悪さをすると警察から中学校に照会がきて、書類を書くのに時間を費やすことになる。
「こいつ今度は何やったんだ。仕方ない奴だな、ほんとに・・・」などとつぶやきながら。
公立校というのは、そういうところだ。

話は戻って、渡邉氏。自分が理事長に納まっている上等な私学じゃなくて、
底辺校と呼ばれるような公立中学で三年で仕事が出来たのなら、俺は評価する。
それこそ現場の実態を知っている民間サイドの人間として、策を語るに値する。

彼が教育再生会議で提案しているのは、教育に競争原理を持ち込むということ。
それが教育バウチャー制度で、詳しくは他で読んでいただくとして、簡単に言うと、
親や子が公立・私立を問わずに学校を選べる。そのおかげで学校間で競争原理が働き
教師の質の向上が期待できる、というものだ。

バウチャー制度が普及して、給食費払わないような親や、激しいいじめを繰り返す生徒や、
夜中に校舎のガラス叩き割る生徒が、彼の私学にどんどん入ってきたらどうするんだろうね。
次々追い出すのかな。拒否できる方策を考えているのだろうか。
質の悪い生徒がどんどん入ってきたら、学校同士の競争で生き残れないぞ。
あ、そもそも入試に受からなければ入学できないから、バウチャー制度なんか怖くないか。

そうそう、テストの成績で予算を上乗せする足立区の最下位校で校長やってもらったらどうだ?
競争原理万歳でまさに適任じゃないか。

教育関係の番組は、腹が立つか重すぎるかで途中でチャンネル変えることがおおい。
しかし最近は、この程度で驚くなよということが多くなって、煽りも鼻につかない。なんだかなあ。


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かつての生徒の視点から考えてみると・・・
渡邉氏はあちこちで顔を出してますが・・・
1代で築き上げた方々によく見られる強い個性をお持ちのようで。それが必ずしも世間の平均的常識と一致するとは限りませんね。
常識を打ち破った発想をするからこそ突出できたのでしょうし。

さて教員の立場から考えるとやっぱり充分な「威厳・情熱・愛情 」は欲しいわけですが。じゃ自分が学生だった頃、この3点を有している稀有な教師の授業をど受けていたのか思い出しますと。

・全員が起きている
→やっぱり眠いときは眠い。昼食後や夏の体育の後にはどうにもならなかった。

・全員が授業に向かっている →教室の40名の価値観はマチマチ。授業を受けることそのものになんら意義を持たない者も必ずいた。

・ゴミが落ちていない
→どちらかというとその時の掃除当番の質に左右。
 そういや、教員採用試験の受験教室にもゴミ落ちてたなあ。

・机がビッシリ並んでいる
→思春期の男女が隣り合っていると、なかなかそうも行かなかったり。避けたり避けられたり。

・・・別に先生を舐めていた訳じゃなしむしろ尊敬していたけど、渡邉氏の理想とするような授業風景は見られませんでしたね。
(無論、優秀でない教師の下ではもっと状況は悪化しましたけどね)

渡邉美樹氏じゃないけど「○○すれば授業は良くなる・クラスはまとまる」とか語りたがる【識者】って多いですね。年齢以外共通点がまるでない子供たちが数十名集まって100%まとまった集団になれるってことがあるんでしょうか?私にはちょっと信じがたいです。
1クラス数名って僻地校でなら割合、現実のものになりましたけどね・・・。
【2006/11/12 Sun】 URL // 甲 #YK3S2YpI [ 編集 ]
なんと言っても義務教育の公立学校なんて、とりあえず来てるだけの生徒とか、義務教育だから行かせてるだけの親なんて普通ですからねえ。
おっと、義務教育でも行かせない親もいくらでもいますけど。

別に来たくてきてるわけじゃないし、クラスにしたって学校や行政の都合で勝手に分けられてるだけだし。何かの意思を持って望んでそこに集まっている集団じゃない。仕方なくそこに座っている状態で、それどころか一日も出席しなくても卒業できるんだから、大前提が違いすぎます。

それを、金をかけて勉強して入試に通らないと行くことの出来ない私学と一緒にして語ることは、ほとんど無意味でしょう。
【2006/11/12 Sun】 URL // シーサー #gJtHMeAM [ 編集 ]
人生、これさえ出来ればOKということはないと思います。
こんな先生?(教育者?)がいるから、社会に出て壁にぶつかったときに立ち向かえなくなるのではないでしょうか。
いい学校に入ればいい大学に入れる、いい大学に入ればいい会社には入れる、いい会社に入ったら・・あとは自分で立ち向かっていかなきゃならないんですよね。
だいたい、”いい”というのも人それぞれだし・・。
何だか同じようなひとばかりで面白くなさそうな学校だなぁ~って思います。
【2006/11/13 Mon】 URL // きり #tHX44QXM [ 編集 ]
ワタミって、僕は前の職場の時に社員研修の手伝いをしたことあります。
福祉施設の体験なんですけどね。そんなこんなもあって、教育委員とかやっているのもあるんでしょうね…ま、今じゃグループに福祉施設もあるしね。
もちろん、競争がまるっきりないっていうのもどうかと思うけど、総競争って言うわけには教育は行かないよね…最低ラインになっちゃった学校や生徒をどう担保するんだろう?その辺も聞いてみたいですよね。
【2006/11/13 Mon】 URL // いわさき #- [ 編集 ]
はじめまして。
私はその番組見てませんでしたが、ワタミの社長は色々とテレビで見てるいるので、

彼の言いっぷりは想像できます。

彼の職場では、解雇者がいないんでしょうかね?

それが気になります。

彼のテレビでのコメントは、私の想像の枠を常に越えません。
「言っていることは分かるけど。」という感想のあとに、
「(ビッシリ並んだ机のように)綺麗すぎて、疲れるなぁ。俺はゴメンだ。彼の論理じゃないところで、しっかり責任を持って生きよう。」
と思ってしまいます。

あのモチベーションを全面適用する視点が限定的なら文句はありませんが、教育まで語ると少し逸脱しているし、説得力がないですね。

【2006/11/14 Tue】 URL // ビッグマウス #- [ 編集 ]
>きりさん
寝てない、机整頓、ゴミ無しというのは別に悪くはないんですよ。だけどこれって、委員会活動の月間目標と同レベルじゃないですか。ほら、美化委員がポスター書いて教室の後ろに貼ってるでしょ。寝るなとか私語するなとかいうのは風紀委員ね。ワタミ社長に「だからその程度のこともできないからダメ教師なんです」って言われそうですね(笑)

だけどねえ、いくら分かりやすいからって、もう少しそれらしい具体策をかっこ良く言って欲しいわけですよ。机とゴミで学校を変えますというのもなあ。

>いわさきさん
そうそう、それなんですよ、最低ライン。バウチャーで人気のある学校に生徒が集中して、結局テストで生徒を選別するようになる。行きたくても行けない落ちこぼれ生徒が、人気も予算もなくなった寂れた学校のダメ教師の下に集まっていったいどうするのか?

まあ、少子化で学校を統廃合するときの格好の理由になりますけどね。
余力ある教師は沈む船から逃げるネズミのように脱出を図り、最後まで残されたバウチャー難民の生徒と教師を、下から2番目の学校が引き取らされて、またひとつ学校が沈む。ろくな未来は見えてこないです。

>ビッグマウスさん
私学という独立した世界の中で自由に采配を振れるなら、彼に出来ることはいろいろあるのでしょう。ダメ教師はクビにするだけだし。

問題は公教育ですよね。公立の校長にはそんな独裁権はないしなあ。たとえやっても転勤で終わり。教師もさっさと転勤していく。土俵が違いすぎます。だから外の世界では説得力がないんですよ。本当に一度公立でやってもらいたいなあ。
【2006/11/14 Tue】 URL // シーサー #gJtHMeAM [ 編集 ]
少し前からよく拝見しております。というかいつもお世話になっております。

件の渡邉氏、随分前の話ですが「落ちぶれた私学の建て直しに乗り出す」という特番を観た記憶があります。名前は忘れていましたが、それが郁文館でしたか。

授業中に旅行の土産話をする若い教師を見回りで見つけて「おい、あれは何の教師だ? 英語なら英語の授業をさせろ」なんてやっていました。

要するに駄目な教師には辞めていただくって話で普通の企業では当たり前のことをするだけなんだ、という話でしたが、だって私学って普通の企業ではなかったんかいなと思ったものでした。

郵政民営化の話とは違って、“良質”のサービスを供給しさえすれば良い訳じゃないのに。変な制度で皺寄せ喰らった公立に行かなきゃならない生徒を作ってしまうのも競争原理のうちなんだろうか。いらないいらない。「公立を踏み台にしたーっ」なんて叫ぶことになる。
【2006/11/15 Wed】 URL // 苦土石灰 #u0z27Tmk [ 編集 ]
苦土石灰さん、いらっしゃいませ。
どんなスタイルであれ、ニーズがあればそれに応えることで成り立つのが私学だし、独自のスタイルでニーズを掘り起こすことができれば、それは経営が成功しているということでしょう。そもそも、魅力がなければ生徒が来ないのが街中の私学ですから、存在そのものが競争原理の上に成り立っているとも言えるでしょう。その成果を見るには、2年や3年ではなく、もう少しかかるでしょうけど。

公立は成り立ちそのものが違います。公教育のなんたるかです。
ある程度の均質性を保たなければならないはずの公教育で、やたら個性に走られても困るんですよね。どこを均質にして、どこに個性を出すかにもよりますが。
だいたいですね、人気にもニーズにも関係なく、生徒人口が減ったら閉校するのが公立校ですからね。競争原理もなにもあったもんじゃない(笑)

ということで、上手に棲み分けてこその公立・私立。ごちゃまぜにしちゃ、お互いの首を絞めるだけじゃないかと思うわけです。

【2006/11/16 Thu】 URL // シーサー #gJtHMeAM [ 編集 ]

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カスペ!  【2006/11/22 Wed】
今日はカスペ! 関連ブログ紹介します。それぞれのブログにもぜひ訪れてくださいね!
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