公立中学校教師の辛口教育コラム。一般の方に分かりやすく心がけてます。真面目なだけのセンセは服用に際して十分ご注意下さい(笑)
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
このニュース、読んだ瞬間に皆様はどんな印象を持たれただろうか。
中身そのものよりも、実はそのことの方に興味があるのだが。

先生も塾へ 生徒の気持ちのひきつけ方を講座 (2007年03月17日 朝日新聞)
 塾講師のノウハウを教えます――。進学塾の早稲田アカデミー(本社・東京)は今月から、現役教員らを対象に「教師力養成塾」を始めた。教科の内容ではなく、声のかけ方から目線の合わせ方まで、生徒の気持ちをどう引きつけてやる気を引き出すかがテーマ。講師一人ひとりの教える力が経営に直結する塾の「基本のき」を、学校現場にも売り込んでいく。 (以下略)

いかがだろうか。

「最近の教師は、とうとう塾に教えてもらわなければならないほど落ちぶれたのか」
あるいは、
「これで少しでも学校の授業レベルが上がるなら結構なことじゃないか」
だろうか。

この講座が出来た経緯はこういうことだ。

 早稲田アカデミーは2年前から東京都港区、昨年からは足立区で、それぞれ公立中の補習授業を受託している。その際、講師の身ぶり手ぶりを間近に見た中学校数校から「ノウハウを学びたい」との要望が寄せられ、昨秋から研修の講師を派遣してきた。こうした実績を踏まえて事業化することにした。

まず肯定的な立場で書いてみようか。

大手の塾や予備校に、カリスマ講師と呼ばれるほど高い技術の人材が揃っているのは当然だ。
市場原理に従って経営される塾で組織の存続をかけて淘汰され磨かれた講師が、しのぎを削って
数字を叩き出している。数字=合格者数で実に結果が分かりやすい。やる気のある生徒を選択し、
結果の出せない講師は捨てられるが、稼ぎ頭の優秀な人材は高待遇なのも当然だ。
私学にも似たような面はある。特に進学校ではその傾向が大きくなる。

そこに目をつけた公教育が、授業を部分的に外部(民間)委託してるわけだな。
思いの他というか案の定と言うか、派遣されたいい講師がいい授業をして効果的だったのだろう。
それに刺激を受けて、さらに授業のノウハウの研修も依頼した。
とにかく良いものは積極的に学ぼうというのだから、事態は悪くはならないだろう。

港区も足立区も、なかなかしゃれた金の使い方をするなと思う。
単発の外注なので、教師や講師を増やすよりははるかに安上がりで、若い教師を中心に
研修させれば、将来への投資になる。

次に突っ込みを入れてみる。

新人を自力で育てられない組織など腐っている

これ、当たり前だよな。新人をいかに効率的に育成し、現場で使えるようにするかは、
企業にとって重要なことだ。それがまともにできない組織は、民間なら滅びるしかない。
それがだな、なんと教師の本分である授業をきっちりこなすノウハウを教えられないとは何事か。

公立学校に優秀な教師がいないわけではない。ただ、その貴重なノウハウをしっかり伝える
システムが出来ていないのだ。もう少し正確に言うと、従来は、システムなんか無くても
授業の空き時間に雑談を交えて新人教師を指導してきたのだ。
あるいは、特に教えてもらわなくてもまわりを見て技術を盗み取る職人の徒弟制度的な習慣と、
そうやって向上していこうとする気概のある教師がいたのだ。

だから、大学を出たばかりの新人教師がいきなり担任を持って授業をしても、なんとかなった。
実際にはなっていないところもいろいろあったが、世間も大目に見てあまり突っ込まなかった。
俺が優秀な教師かどうかは別として、20数年前に授業の仕方の研修なんかなかったし、
見習い期間もなかった。いわゆる民間で言う新人の研修期間もなく、4月からいきなり実戦投入。
俺はわけも分からずヒーヒー言いながら毎日の授業をしのいでいたぞ。

もちろん今でも、新人をいきなり実戦投入していることには変わりはない。
ただ、新採用研修と称する講義は増えてきているし、専任の指導教官も徐々につくように
なってきた。昔に比べたらうらやましい限りだ。

そのかわり、授業の空き時間に机を並べたベテラン教師が新人を指導する時間はほとんどない。
ゆとり教育のおかげで、総合的な学習やら選択やら、よく分からん授業時間がどんどん増えて
余裕がなくなってしまった。

そしてさらに、新人は新採用者研修に校外に出て行く機会が増えた。出張だな。

こういう研修は内輪で安上がりにやろうとするのが公教育の常だが、教育委員会の指導主事や
どっかの校長でお茶を濁すと、毎度おなじみの分かりきった話や、ひどいときには途中から
説教になってみたり、過去の自分の自慢話大会になったりして退屈この上ない。
大学の先生に依頼すると、御説いちいちごもっともだが現場の実情とはちょっと離れていたり。

ある意味、授業の本当のスペシャリストは

塾や予備校の講師だったりするわけだ

今の俺達公立義務教育の教師の仕事は、授業以外の他の要素が多すぎる。

研修の間、授業は自習になるが、教師の研修の為に授業が遅れても困るので、時間割を操作して
自習にならないよう授業を詰め込んでいく。こうして空き時間はますますなくなる。
その新採研修が実りのあるものならいいが、ほとんどが授業そのもののノウハウではなく、
前述したような有難いお話が中心。最近ではカルト宗教まがいの怪しい体験的研修も増えてきた。
生徒を教えることが日常業務なのに、新人を体系的効果的に育てることは苦手なようだ。

え、出張なんか5時過ぎてからやれって? 

役所のエアコンもエレベーターも5時で止まっちゃうんだよ

ということで、こんな背景から出てきたのが、冒頭のニュースだ。
いかがだろうか。もう一度ニュースの全文を読んでいただいて、最初の印象と変わったかどうか
聞かせていただけると有難い。

あれ、この教師塾に申し込んでいるのは私立の中高一貫校の教師ばかりじゃないか。
ますます私学のレベルが上がるわけだ。自腹切ってまで申し込む公立教師は誰もいないのか。
もっとも私学教師は首がかかってるかもしれんけど。だったら3万5千円は痛くない出費だな。
あ、逆に私学は学校が受講費出してるかも!? 有望な教師ならあり得るな。


▼座布団1枚!と思ったらクリックよろしく
FC2ブログランキング にほんブログ村 教育ブログ
スポンサーサイト
「学校で授業を行う塾講師」の当事者です。色々なブログで取り上げられてるこの話題ですが、私が持つ印象(学校の先生が怠けているわけではない、研修する時間がない)と最も近い内容だったのでコメントさせていただきました。我々塾講師には「生活指導」などはできませんし、「教育は勉強だけではない」なんてコメントを発する資格すらありません。お互いの得意とする分野を上手に融合して「共存共栄」が理想だと考えます。主役は子供たちなので。
【2007/03/19 Mon】 URL // FDH #- [ 編集 ]
いらっしゃいませ>FDHさん
ようこそお越しいただきました。ご本人に来ていただけるとは思っていませんでした。光栄です(^-^) ブログを拝見しましたが、久々に読めるブログを堪能させていただきました。

塾と学校が対立する構図とか、講師と教師がお互いを目の敵にするとか、そういうのはもういい加減にうんざりしています。立ち位置こそ違え同じように子供達の側にいるのに、出来ないことを批判しあっても不毛なだけ。出来ることを分かち合い、互いに補完していきたいものです。

教師塾の話も、今後の展開が非常に興味あります。歩み寄って何かを生み出すきっかけとなるのではないか、そんな希望を持ってブログの記事も楽しみにしています。今後ともよろしくお願いします。
【2007/03/20 Tue】 URL // シーサー #gJtHMeAM [ 編集 ]
それほど差がないような気も・・・
私もFDHさんのブログも読ませていただきました。
私も中学校教員(今年度限りで廃業。)ですが、あまり違和感は感じませんでしたね。シーサーさんの切り口と非常に似ているな、と。
指導方法に関して非常に練っていらっしゃる。「生徒指導至上主義」とか「部活動命」の教師達に爪垢を煎じて飲ませたい。
学力向上が叫ばれ始めましたが、今現在も授業の内容改善は現場にいてもさっぱり感じられません。研究授業も研究のための研究に成り果てて久しく、現場に反映されることなど稀ですし・・・。

>「主役は子供たちなので」
この点では学校教員も塾の先生も差がありませんね。
もっとも学校現場では主役ヅラをしている教師がわんさといて、うんざりさせられますけど。
【2007/03/21 Wed】 URL // 甲 #a7gum4DI [ 編集 ]
こんにちは♪


私のブログで
こちらの記事を紹介させて頂きましたので

いきなりですみませんが、
ご連絡させて頂きました。

紹介記事は
http://tousinews.blog85.fc2.com/blog-entry-248.html
です。

これからもよろしくお願いいたします^^
【2007/03/22 Thu】 URL // 投資で生活する男 #- [ 編集 ]
初めまして。その「教師力養成塾」で研修を担当させて頂いている者です。実際に数多くの学校の先生方とお話をして、熱心な先生方が多く、我々もまた勉強、という思いで研修をしております。塾の役割、学校の役割は異なる、と言われます。確かにその通りです。けれど、授業という共通の土台においては何か相乗効果を生み出すことのできる可能性があるのではないか、と信じています。
個人でも教師塾を運営しておりますが、そこには公立の先生方もいらっしゃいます。私費で受講される方がほとんどで、時間を越えて議論することもしばしばです。
学校を超えた交流や情報交換などにも一役買うことができれば、もっと活発な流れを作ることができるのではないか、と期待をしています。
【2007/03/23 Fri】 URL // moro #- [ 編集 ]
いらっしゃいませ>moroさん
生徒が学校で塾の宿題を一生懸命している。さすがに授業中にやっている者には注意しますが、ちらっとプリントの中身を見ると、テクニックを教えたくてうずうずするような問題があったりして、ため息が出ます。こんな問題を授業でガンガンできたらいいだろうなって。
学校で宿題を出さなくなって久しいです。正確には出せなくなったというべきですが、なんか間違ってますね、こういうのは。

いっそのこと学校の中で塾を開いて、生徒と思いっきり勉強してみたいです。普通の授業と一味違うからお前らついて来い!って(^o^)/
これをやるには部活を何とかしなきゃいかんのです。公立は勉強させるの嫌いな教師が多いですからねえ。
おっと、校内塾は放課後早めに切り上げますので、本物の塾のじゃまはしませんからご心配なく。あっ、ボランティアでちょっとだけ講師に来てもらうという手もあるか(笑)
勝手な妄想失礼しました。これからもよろしくお願いします。
【2007/03/24 Sat】 URL // シーサー #gJtHMeAM [ 編集 ]

管理者にだけ表示を許可する
http://edupoison.blog53.fc2.com/tb.php/70-ea951e53
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)
// HOME // 
Powered By FC2ブログ. copyright © 2005 教育毒本 all rights reserved.
プロフィール

シーサー

著者:シーサー
公立中学校教師

最近のコメント
最近の記事
カテゴリー
最近のトラックバック
月別アーカイブ
メールフォーム

著者宛メールはこちらから

ブログ内検索

RSSフィード
リンク
FC2カウンター

 FC2カウンター
現在の閲覧者数:

ブログランキング参加中

記事が面白かったら…
に

ほんブログ村 教育ブログへ クリック!
お願いします

広 告



上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。