公立中学校教師の辛口教育コラム。一般の方に分かりやすく心がけてます。真面目なだけのセンセは服用に際して十分ご注意下さい(笑)
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すでにいくつかの地域で実施されている学校選択制。
俺はまだ保護者としても教師としても経験がないが、どんなものなのか非常に興味はある。
こういう実態を知りたいと思っても、学校側が積極的に本音を発信することはない。
マスコミに取材されて初めて、ある程度の情報を出すというパターンが多い。
だから教師といえども、情報量は一般の保護者の皆様と同じなのだ。

ということで、報道記事をネタに公立学校の学校選択制について書いてみる。

公立の小中学校では、地域ごとに学区が決められている。
だから家の住所によって入学する学校も自動的に決まる。学校選択制以前はこれが原則だった。
しかし地域外の学校に通う例がないわけではなかった。古くは越境入学と言っていた。

何十年も昔、俺の通っていた公立小学校は、公立なのになぜか進学校などと呼ばれ、
私立の有名進学中学校に入学する生徒が多かった。
今思えば確かに勉強熱心な学校だったが、そもそも地域的に教育熱心な家庭が多かったのだ。
その環境を求めて、わざわざ電車に乗って通ってくる子が何人かいた。
こういう越境入学が、校長の裁量で認められていたのか、祖父の家に住民票を移すなどの手段を
取っていたのかは俺には分からない。

現在、途中からの転居やいじめなどを理由に、地域外の学校に通うことは違法でもなんでもない。
校長が認めれば可能だ。さすがに越境とは言わず、指定区域外通学などと呼ばれている。
心当たりのある保護者の方は覚えておくといい。

学校選択制は、最初からこういう制限を取り払って、特別な事情がなくても地域外の学校を
選べるというものだ。

さて肝心なのはここから。
「選べるようになりました」はいいんだが、なぜ隣町の学校に行くのか、だ。

高校生ともなれば、電車やバスに乗って遠くの学校まで通うのは体力的にも問題ない。
小中学生だと、家に近い地域の中の学校に行くのが体力的にも社会的にも自然だとして
校区制が設けられていたはずだ。その利点を越える理由がなければ選択制の意味が無い。

足立区に見る学校選択制 実態は「近く・友人・兄弟」 (2007/05/16 産経新聞)

この記事にあるように、学校選択制のおかげで、近い学校に通えるようになった児童生徒もいる。
人口密集地の街中では、校区の境界線近くに住んでいると、こういうことは起こり得る。
せっかく目の前に小学校が見えているのに、わざわざ遠くの学校に通わなければならない。
こんな子や親にとっては、学校選択制は本当に有難かっただろう。
近所のお友達と相談して、みんなで一緒にそっちの学校へ行けばさらに安心だ。

両親が共働きで、昼間預かってもらう祖父母の家がある学区の学校を選んだ

こんな理由ももっともだ。俺も共働きで子供は保育所に預けていた。
保育所や学童保育との関係で、小学校を選ぶのもありだろう。

しかし。

学校選択制に期待できるのはここまでだ

もちろん、いじめ等からの緊急退避も大いに意味はある。
でもそれは、言っちゃ悪いがあまり前向きの話じゃない。決してうしろめたい話でもないんだが。

野球部が盛んなので選んだら顧問が異動してしまった

笑い話みたいだが、これ、実はけっこう大切な話なので、ちょっと解説をしておく。
なにしろ足立区のホームページにも注意書きがあるくらいだから、苦情があったのだろう。
奥様メモのご用意を。学校選択制が実施されている地域では特に重要なポイントですよっ!。

この話は、実は公立小中学校の人事と運営システムを象徴する好例なのだ。

公立の小中学校に勤めている教師は、市や町の職員だ。だから同じ学校に何十年もいることは
少ない。卒業後10年もたって母校に行くと、知っている先生は誰もいなかったりする。

どこかの中学校の運動部が強かったとしようか。これはほとんどは顧問の教師の個人的な力だ。
だからその教師が転勤してしまうと終り。翌年から野球のバットなど握ったことも無い教師が
顧問をするかもしれないのだ。
野球のようにメジャーなスポーツはまだましだが、柔道とか水泳とかになると指導できる教師が
少なく、顧問の転勤を機に廃部になることもある。公立の部活は所詮そんなものだ。
勘違いして過剰な期待をしてはいけない。

教師個人の力量に依存する公立校に
伝統など存在しない


逆に、無名のチームが新しい顧問のおかげで2年で全国大会まで行ってしまうこともある。

私学が伝統的に強いのは、学校が金をかけて強い顧問や生徒を引っ張ってきているから。
公立でそんなことに使えるお金はない。校長もそんな権限を持っていない。

部活だけではない。教育方針も運営方針も、実は内部ではコロコロ変わっている。

俺の勤務しているところでは、校長や教頭はだいたい2~3年で転勤を繰り返す。
教頭が4年間で4人変わったこともある。中学校だと最低3年いないと生徒の入学から卒業まで
見届けることはできない。卒業式のあいさつで「君達が入学してきたときには○○○で」と
実感をもって語れる校長は実はそう多くないのだ。

校長が変わると、いきなり運営方針が変わって右往左往するのは今まで何度も経験してきた。
管理職が変わるたび、白が黒になり○が×になる。それが2~3年ごとに繰り返される。
個性の強い管理職ほどこの傾向は強い。だから自己主張しない校長が喜ばれたりする。
こんな状況で長期的な視点に立った学校経営が出来る方が不思議だ。
学校選択の決め手となるほどの特色を、意識的に作り出せるかどうか考えてみて欲しい。

教師ばかりでなく、実は生徒の様子もけっこう変化する。やはりベースは地域の環境だが、
あの中学は最近荒れている、と評判になっている場合も、翌年はそれほどでもなかったりする。
学年によって差が激しいので、3年生だけメチャクチャで1、2年は普通ということもある。
逆に、みんなまじめでいい学校だったはずが、あっという間に爆発崩壊することもある。

学校選択制で公立学校間の競争を促すとかいう話があるが、こういう異動のシステムを取っている限り、競争になどなるわけがない。ある意味公務員の特性だな。

居酒屋のチェーン店なら、業績アップが給与アップに直結し、従業員は努力する。
業績ダウンは給与ダウン、店の撤退や、ひいてはクビにまでつながる。
私学もこれに近いものがある。教師はその学校法人に雇われている従業員だ。
学校の業績が不信となれば自分のクビも危ない。そうなりたくなかったら仕事しろ。
だから某居酒屋チェーン店社長は競争原理を強調しているんだな。公立に持ち込むなって(笑)

公立学校の俺達は、市や町に雇われている職員だ。勤務校の校長に雇われているわけではない。
公立学校で、自分の勤務校が成績トップになろうが最下位になろうが教員個人には関係ない。
そのことで賞与も無ければ減給もない。いくらがんばろうが地獄を見ようが転勤したら終り。

そもそも成績は、公立義務教育教員の仕事のすべてではない。どんな生徒も家庭も面倒を見る。
それを前提で俺達は仕事している。給料に関係ないから手抜きをしているのではない。
生徒の成績が給与に直結しないから、地域的に指導困難な学校にも安心して赴任できるのだ。
考えてもみろ。高級住宅街と生活保護家庭が過半数の地域と、状況が同じになるわけが無い。

もし公立学校間の競争が成り立つとすれば、せいぜい校長同士の見栄の張り合いだ。
全国統一テストで成績の悪い子を休ませるなどという話は、そういうダメ管理職の発想だな。
俺達ヒラ教員には、そんな無駄なことをする暇もエネルギーも余っていない。

俺はなにも、公立学校で職員の異動を凍結し各学校に固定しろ、と言っているのではない。
程よくシャッフルされる方が、地域にある学校すべてが偏らなくて済む。妙な癒着も防げる。
公教育の質の均一性にも貢献しているやり方だ。

ただ、学校の特色を色濃く出そうとするのなら、少なくとも管理職を毎年のように
コロコロ異動させていたのでは、どうしようもない。ある程度の継続勤務年数が必要だ。
しかしそうなると、指導困難校に行きたがる校長はいなくなるだろうな。自分の責任になるしな。

俺には足立区やその他の都市の詳しい事情は分からない。既に対応済みかもしれない。
だから保護者の方に、これ以上の具体的なアドバイスをすることはできない。
しかし、「期待できるのはここまで」という理由は以上の通りだ。
学校選択制に期待している保護者の方に、少しでも参考にしていただければそれでいい。
「続きを読む」に産経新聞記事の全文を貼り付けておく。

選択って言っても人気のある学校は抽選だからなあ。希望通りにはならん。
落ち着いた学校が人気なのか?だったら授業公開日にワルガキたちを休ませれば(以下略)


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足立区に見る学校選択制 実態は「近く・友人・兄弟」

 1月の教育再生会議第1次報告で提唱された公立小中学校の選択制。都市部を中心に多くの自治体で採用されている。「子供に合った学校が選べるようになる」と評価される半面、地域の学校の意識が薄くなるなどのデメリットも指摘されている。東京都足立区の学校選択制について聞いてみた。(慶田久幸)

都市部中心に

 教育再生会議の第1次報告では「『ゆとり教育』を見直し、学力を向上する」という取り組みの1つに「地域実情に留意のうえ学校選択制の導入など、子供にあった教育内容や教育方法を保護者が選べるようにし、子供の能力・適性、興味・関心、進路希望などに応じ、すべての子供がそれぞれに伸びるようにする」と推進している。選択制は学校が近くに接して建てられている都市部で導入される傾向にあり、小学校では埼玉県で18自治体(平成19年度)千葉県では9自治体(18年度)が実施している。

 東京都では今年度、中学校で19区8市、小学校では14区6市で実施されている(一部重複。ブロック、隣接校のみ選択も含む)。

 足立区では14年度から区立小中学校の選択制を導入、19年度の新入生は小学生で約2割、中学生で約3割が学区外の学校を選んでいる。

 足立区教育委員会は「保護者から学校選択範囲が広がった、と評価されている」としている。

いじめや部活

 同区では、16年度まで入学校を選択した理由を新入生の保護者にアンケートしてきた(複数回答)。小学生の1位は「学校が近く、通学しやすい」(75・1%)、2位は「兄、姉が通学している」(37・4%)、3位が「子供の友達が同じ学校へ行く」(36・0%)。中学もほぼ同じ理由で、現在でも大きな変化はないとみられる。

 一方、区内の保護者らから、学区外の小学校を選ぶ理由としてこんなケースが聞こえてきた。

 (1)幼稚園の時、友達関係がうまくいかず友達とは別の学校を選んだ(2)両親が共働きで、昼間預かってもらう祖父母の家がある学区の学校を選んだ(3)幼稚園時代の友人が多く行く学校を選んだ(4)学年に1クラスしかないため、クラス換えができる大規模な学校を選んだ-

 さらに中学校では、希望する部活動がある、または部活動が盛んだとの理由も多い。

 小学6年生を持つ父親は「子供の人間関係で選んでいる保護者が多い。主体的に選ぶほど学校に価値があるとは思えない」として、再生会議が掲げるような学校の教育内容や教育方法で保護者が選択することなど不可能だと厳しい見方を示した。

予算への不安

 再生会議では地域全体で子供を育てることも提唱している。

 だが、別の父親は自宅のある学区内の小中学校を卒業したが、「学校に他学区の子供が増え、地域の学校という意識が薄くなった」と話し、近所でもそうした声が上がっているという。

 「兄弟が別の学校へ行ったため、授業参観が大変になった」「野球部が盛んなので選んだら顧問が異動してしまった」などの不満も出た。

 さらに昨年末、区と東京都が行う学力テストの結果で、学校予算の一部を増減するとの方針を発表した。多くの抗議が寄せられ、点数の伸び率で配分すると方針転換した。だが、個人ではどうしようもない学校全体の成績で予算が変わることへの不安もあった。

 保護者から「私立も都立の中高一貫校もある時代。このままでは、区立校を敬遠する子供がさらに増える」との指摘が出ていた。

 対策について同区教委では「それぞれの学校が特色づくりに努力してほしい」と話している。

産経新聞(2007/05/16 14:50)
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管理職が変わると、学校の方針が変わる!
今年、うちの子供たちの小学校は校長が代わったんですけど、いい傾向に(親に対しての配慮)行っている気がします。
…大きな変化はないですけど、昨日運動会でした。中止の時は、連絡が来るようになりました。HPにも実施か中止かがUPされました。昨年までは「実施の時は屋上に旗を揚げるから、迷った時は見て判断しなさい!」っていうだけで、一切問い合わせをするな!と…。都市部の学校ですから、学校の正門付近まで来ないと屋上に揚がった旗なんか見えません。明らかに大雨でも降っていればともかく…あまりにも配慮が無さ過ぎると思っていました。
もちろん、連絡網を廻す事について是の部分も否の部分もあるとは思いますが、10数分程度とはいえ、時間をかけて学校に通ってきている子もいるわけで、この決定はありがたいと思います。
横浜でも、学区外の通学について、実験的にやっていますが…実施対象が各学区に1校でしかないので、ある意味、選択になっていないので…どうなんだろう?と思います。近隣の何校かのウチのどれかが選べる!というのなら、入学時に考えるのですけど…いきなり学区外だとかなり遠くでバス通学!小学1年生が?公立で???になってしまいますモン。
【2007/05/27 Sun】 URL // いわさき #- [ 編集 ]
運動会決行の屋上の旗! そうそう、昔やってました。戦国時代に城からのろしが上がったら戦に集合、ってのと同じですよね。おっしゃるとおり都市部では旗なんか見えるはずがない。「保護者も児童も学校まで見に来い!」という態度の、本当に原始的かつ不親切な連絡法です。校区内数か所の公園に張り紙、というのもあったなあ。こちらはまだマシですね。

行事や連絡のたびにこういうことがいろんな場面で少しずつ重なって、学校に対する不信感ができてしまうんですよ。いざというときに保護者も協力しろとか言ったって、日頃こういう態度じゃ無理ですよね。上から人を見下ろすことしか出来ない、古いタイプの勘違い教育です。

運動会の連絡旗は、これだけでひとつ記事が書けそうなので、いずれエントリーさせていただきます。ネタ提供感謝(^-^)
【2007/05/28 Mon】 URL // シーサー #gJtHMeAM [ 編集 ]

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