公立中学校教師の辛口教育コラム。一般の方に分かりやすく心がけてます。真面目なだけのセンセは服用に際して十分ご注意下さい(笑)
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報道がすべて事実とは限らないことは、賢明な読者の皆様ならご存知だろう。
嘘ではなくても、真実とは違うニュアンスで伝えられることもよくある。
記者自信が真実が見えていないまま、思い込みで間違ったことを書いていることもある。

一般の方に誤解されていそうな微妙な記事があったので、ちょっと解説しておく。

学力テスト:障害持つ児童の答案を採点から除外 足立区
 東京都足立区教育委員会は7日、昨年4月に区が独自に実施した学力調査(テスト)で、トップの成績の小学校が、保護者の了解を得ずに情緒障害などのある児童3人の答案を採点対象から除外していた、と発表した。区教委は「保護者に説明せずに不適切だった。申し訳ない」とコメントした。

 区教委によると、学力調査は、小学2年~中学3年生を対象に04年度から区が独自に実施し、各学校ごとの順位を公表している。この学校は、05年度は44位だったが、06年度はトップになった。

 3人はいずれも6年生(当時)で、情緒障害などが見られる。普通学級に在籍しているが、週に何回かは別の学校の特別なクラスに通っていたという。

 3人はテストは受けたものの、「文章を理解する力が通常より難しい」などの理由から、校長の判断で採点対象から除外した。区教委は事前相談や保護者の了解があれば、問題の理解が難しい児童の採点除外を認めているが、この学校はその手続きをしなかった。校長は「怠った」と説明しているという。3人の児童の親のうち2人は校長の説明に納得していない。

 同区では、学校選択制を02年度から実施しており、成績の上位校に入学希望者が集まる傾向にある。この学校は、誤答している児童の机を教師がたたくなどの疑惑も指摘されているといい、区教委は、さらに調べる。区教委は「児童に対する配慮」を理由に、学校名は明らかにしなかった。

(毎日新聞 2007年7月7日)

さて皆様、この報道で問題点とされているのは何だろうか。
足立区の某小学校で良いことがあった記事でないことは分かると思う。

「えー、障害持つ子の答案は除外って、かわいそうじゃん。いっしょにしてやれよ」

そう思ったあなた、それは マ チ ガ イ ですっ。
出来ないことを無理矢理やらせたら、それこそいじめになってしまう。

今は特別支援という言葉を使うが、何らかの障害があって皆と同じことをするのが難しい場合、
その子に合わせた特別なケアをする。スタッフも大勢ついて「特別なクラス」を運営し、
それこそ採算や効率など度外視して取り組んでいる。一般生徒の何倍も高密度の教育だ。
それができるのが公教育のいいところなんだが、効率化とか民間を見習えとか力説している
偉いヒトたちはきっと気に入らないんだろうな。

障害を持つ子の答案を除外したことは問題ではない

記事をよく読んでいただきたい。
区教委は事前相談や保護者の了解があれば、問題の理解が難しい児童の採点除外を認めている
ってちゃんと書いてあるだろ? うっかり見出しにひっかかってはいけません。

肝心なのはそのあとだ。校長はその除外手続きをしなかった。
そして、3人の児童の親のうち2人は校長の説明に納得していない。

保護者と校長がうまくいってないのが一番の問題なのだ

そういう意味では読売新聞の見出しの方がまだ本質に近い。

区の学力テスト 保護者に無断で障害児の成績除外 (2007年7月8日 読売新聞)

たまたま障害児だったから、成績アップ工作と合わせてセンセーショナルに書いてやれと記者が思っただけだ。

そしてこういう事態を招いた背景には、学校選択制がある。

学力調査の順位が発表されたら、それが人気に影響するに決まっているじゃないか。
どこの親が進んで我が子をバカ学校(って言うそうな)に入れさせるものか。
たとえ我が子はバカだと分かっていても、せめてお友達はお勉強ができる子がいいと思うだろ。
学校名は区教委により伏せられているが、それこそ我が子の為に開示請求する親も出てくるぞ。
あ、そんなことしなくても、過去の結果が足立区ホームページに掲載されているから
トップなんてすぐ分かるじゃないか。「児童に対する配慮」ってその程度だったのね(笑)

といった具合に、実際はわずかな数の点の取れない子が平均点の足を引っ張っているだけなのに、
学校全体が馬鹿生徒のかたまりのように思われて、人気がなくなることが起こり得る。
わずかばかりの数字の差に振り回されて、生徒も保護者も教師も右往左往する。

それを避けるために、点の取れない子を休ませたり答えを教えたり、姑息な小細工をする。
学校選択制がない地域の教師は、そんな馬鹿げた小細工など思いつきもしないだろう。
ちょっと考えてみろよ。1年で44位からトップって、それ普通あり得ないだろ(笑)

これは学校選択制が産んだ新しい弊害のひとつだ

教育の成果を表現するのは難しいが、システムのほころびは実に分かりやすい形で露呈する。

いかがだろうか。この記事をこんな視点でもう一度読み直してみて欲しい。
そして学校選択制地域の保護者の皆様、くれぐれも数字に惑わされぬようご注意を。

この二極文化の時代に平均点ってもうダメなんだよ。
俺が親なら成績別度数分布の公開を区教委に請求するけどな。


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いつも、楽しく読んでします。

今回の記事、引っかかってました。
障害を持つ子にあのテストをさせるってどうなの?って思いましたから。
記事は明らかに、除外したことが悪いって感じでしたよね。
こういう印象操作記事って多いですね。

シーサーさんとこですっきりしました。

【2007/07/10 Tue】 URL // vamo #EUzXsmB6 [ 編集 ]
44位から1位への数字のマジック(笑)
あんまり記事のタイトルは流す程度で
本文を読んでたので最初は違和感がなかったんですが
シーサーさんのその後の解説を見て「なるほど…」と。


耳の聞こえない聾唖者も
普通学級での音楽教育では
いろいろと辛い思いをさせられることもあるそうです。

みんなが優勝目指して一直線のときに
うまく発音できない子が「うー」とか「あー」とか言ってたら
そりゃ白い目で見る子供も一部には出てくるでしょうね。

誤った平等思想のもとで教育するのではなく
その子にとってどのような教育が必要かを考えて
教育してほしいと思います。

でも、その環境を与えるように努力するのは
やはり教師ではなく「親」なんですけどね。
【2007/07/10 Tue】 URL // ダイ #QnynE5qE [ 編集 ]
>vamoさん
いらっしゃいませ。
印象操作というか、文字にはしていないけど本音が出ているというか。
たぶんこの記者は深い意味などなく、最近の特別支援教育の現状を知らなかっただけだと思います。で、障害児かわいそーっていう見出しになってしまったと。一般の人は、そう書かれたたらそう思ってしまいますよね。

今後もすっきりしていただけるニュース解説を目指してがんばります。

>ダイさん
うーん、エントリにしなけりゃならんほど深いコメント、さすが。

合唱コンクールで一緒に歌う場合、実際にそういう例はあります。
でも生徒達は小学校からずっと慣れているので、学校が荒れていない限り、奇声が聞こえても眉一つ動かさず、「○○ちゃん上手だったよ」とか声をかけています。

発表の当日、事情を知らない保護者の方の表情を見ていると、一瞬固まってしまうのがわかります。でも生徒同様、慣れている保護者は、にこやかに聞いているので、まわりの空気を感じて普通に拍手をしている。

こうやってごくごく自然に流れていきます。表面上は。
なぜなら誰も聞かなかったことにしているからです。
そこに流れていたのは、音楽的に美しいハーモニーでもなければ、声をひとつに合わせた合唱でもない。これは客観的な事実です。
コンクールで客観的に優勝できるサウンドではないのです。

こういうシーンを見るたびに、本当にこれでいいのかと激しく悩みます。
むしろ白い目で見る生徒の方が、現実を直視しているぶん素直なんじゃないかと。

白い目を叩き潰すのが現場の一般的指導ですが、逆にそこからスタートして、たとえば「じゃ俺○○ちゃんといっしょに歌うから、別プログラムやらせてよ。○○ちゃんが上手に歌える歌あるだろ?」なんていうところまで持っていけたらいいなあと思うのであります。

難しいです、ほんと。

【2007/07/11 Wed】 URL // シーサー #gJtHMeAM [ 編集 ]
他の教師ブログで全面的に「除外は悪い」と言っているところもあるので、学力調査反対派の記者が書いたのかなぁとも思ったのです。
シーサーさんの言うように保護者と校長がうまくいっていないのが1番の問題なのではないのかなぁ。

教師なら誰でも特別支援のことは知っていますよね?

実は教員採用試験受験中なので、最近あちこちの教育関係ブログをよく見るようになったのです。
【2007/07/11 Wed】 URL // vamo #EUzXsmB6 [ 編集 ]
採用試験シーズン
おお、vamoさんは教師希望でしたか(^-^)

報道もブログもあちこち読んで、今何が話題になっているのかしっかり肌で感じてみてください。そして教師になれたら、現場の実際はどうなのか、たっぷり見つめて考えてください。

しかし面接でこのブログに書いてあるようなことをベラベラしゃべると、どっちかというと落とされる確率が高いような(笑)
人が言わないようなことや、ほかでは読めないようなことを意識して書いていますので、服用に際しては十分ご注意ください。
【2007/07/11 Wed】 URL // シーサー #gJtHMeAM [ 編集 ]
普通学校の特別支援って・・・
養護学校に一時勤めていたので余計感じるのかもしれませんが・・・
交流学習なんかで近辺の小中学校に出向いて感じたのは、特別支援児童・生徒に接する職員が一握りで、その他大勢はまるで目が向いていないー、と。
まるで学校内に不可触な存在があるがごとく知らん振りの教師がやたら目に付きました。私以外の養護学校教員も同様のコメントをしていたから気のせいでもないでしょう。
その後、普通の中学校で勤めましたが・・・うーん、やっぱり特定の教師が特別支援にあたっているだけで、全体の広がりってのは感じられませんでしたね。ごくごく小規模な学校なら別ですけど。
【2007/07/12 Thu】 URL // 甲 #a7gum4DI [ 編集 ]
うーん、特別支援学級は、学年団とは別の独立した動きをしているし、その他職員は自分の学級や学年に精一杯で、なかなかそちらに目が向かないということじゃないでしょうか。

でも特別支援学級に授業に行っていると、生徒達と濃い付き合いが出来ていいんですけどね。授業も交流もあたってないとやっぱり疎遠だなあ。
【2007/07/13 Fri】 URL // シーサー #gJtHMeAM [ 編集 ]

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