公立中学校教師の辛口教育コラム。一般の方に分かりやすく心がけてます。真面目なだけのセンセは服用に際して十分ご注意下さい(笑)
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秋葉原での痛ましい事件は、被害者の無念を思うと語る言葉がない。
万死に値する罪というが、たとえあの凶獣の万死をもってしても、たった一人の被害者の命を償うことも絶対にできない。亡くなった方の冥福を祈るばかりである。

大きな事件の陰に隠れてしまっていたが、6月8日は実はこんな日でもあった。

付属池田小事件から7年、在校生が式典で誓いの言葉  (2008年6月9日 読売新聞)
 大阪府池田市の大阪教育大付属池田小学校で2001年6月8日、8人の児童が死亡し、教師2人を含む15人が重軽傷を負った殺傷事件発生から7年を迎え、同校で8日、追悼式典「祈りと誓いの集い」が営まれた。
 今年は在校生代表として、事件できょうだいを亡くした6年生の児童が、家族を失った児童として初めて、誓いの言葉を述べた。
 式典には遺族や教師、在校児童ら約1600人が出席。犠牲者の名前が刻まれた「祈りと誓いの塔」(高さ4・5メートル)の八つの鐘を鳴らし、全員で黙とうをささげた。
 在校生代表の児童は「8人の亡くしたかけがえのない命が、事件を知った人たちによって生かされますように。安全で安心な世界をつくるために努力し続けます」などと誓った。


そして同じ大阪では、3年前にはこんな事件があった。

大阪府寝屋川市の小学校内殺傷事件 (2005年06月16日 西日本新聞)
今年(※筆者註 2005年)2月14日午後、大阪府寝屋川市立中央小で、教職員3人が刺され、うち鴨崎満明教諭=当時(52)=が間もなく死亡、ほかの2人も重傷を負った。大阪府警が殺人未遂の現行犯として同小卒業生の無職少年(17)を逮捕。殺人容疑などでも追送検した。事件を受け、大阪府は大阪市を除く市町村の小学校に警備員を配置する事業を開始。大阪市は警察官OBらを警備員として小学校を巡回させることを決めた。

教育関係者の一人として、いつ自分の身に降りかかってもおかしくないと、背筋が凍る思いの
事件だった。

さて大阪の教育は今、どうなっているのか。

小学校警備員の補助金、来年度から廃止 橋下知事が語る (2008年5月30日 朝日新聞)
 大阪府の橋下徹知事は30日、財政再建をめぐる府教委との公開討論で、公立小学校への警備員の配置のための市町村への補助金を来年度から廃止すると語った。

 05年の寝屋川市立小学校での教職員殺傷事件をきっかけにできた、警備員の配置費用を府が半額補助する仕組みについて、改革プロジェクトチームは10年度を最後に廃止する案をだしていた。知事はそれを2年繰り上げる考えを示した。警備員配置の府予算は07年度で5億4300万円。


橋下知事が、もう警備員いらないってよ

のどもと過ぎれば何とか言うが、当時、橋下知事は当事者ではなかったから、直接の関わりは
なかったはずだ。池田小学校の事件についての彼のコメントもネットで拾えるが、
それについてはここでは触れない。

これも様々な予算削減の中のひとつにすぎないわけだが、教育関係では、他の公務員同様、
教師の給料ががっぽり減らされる。俺と同年代の知人も、年収が数十万減ると頭を抱えていた。
もっともこれは大阪府に限らず、全国的な傾向なので、俺もひとごとではない。
しかし同じ教育予算でも、教師の給料と危機管理費を同列に削減するのはいかがなものか。

警備費は子供の命を守る金なんだけどな

格好つけて給料が減るのは我慢したとしても、そっちを削るのってさすがに違うだろ。

まあ、その分、橋に電球つけたりするらしいけど。

中之島3橋ライトアップ提案 水都事業で橋下知事、修正 (2008年6月7日 朝日新聞)

もはや俺達は、その電球で人の心がなごんで痛ましい事件を未然に防いでくれることを祈るしかないのだろうか。給料削減といい、本当に気持ちの萎える思いだ。

ちなみに附属池田小学校の皆さんは心配する必要はない。国立だから橋下府知事は手が出せないんだな。大切な命が危うくなることはないから安心してくれ。

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いまさら始まったことではないのだが、少子化で学校はどんどん減っていっている。
行政の目から見ると、財政難の中、教育予算のやりくりは本当に厳しいのが現状だ。

学校を最低限維持するのに必要な経費は、生徒の人数が100人でも10人でも大差ない。
たとえば教室の蛍光灯にかかる電気代は、教室の中に40人いても1人でも同じ。
「今年は生徒数が少ないから、教室もトイレも明かりなしで我慢してね」では困る。

プールにしたって、10人でも500人でも水道代やポンプを動かす電気代は同じ。
運動場も、生徒数が少ないからといって、バレーコート一面分だけ残して、あとは市営駐車場に改修するわけにもいかない。草ボーボーで放置もできない。

一番金のかかる人件費、つまり教員数も、中学校なら最低各教科1人はほしいところだ。
3クラスしかないから教師3人ではダメなのだ。実際は、全教科の教師がそろっていない
学校はいくらでもあり、免許のない専門外の教科を仕方なく教えるのは珍しくもない。
しかし、ある程度教師の頭数はそろわないと、まともな業務はできない。
たとえば、1クラス20人を修学旅行などの宿泊行事に散れて行くのに、最低でも男女各1名の教師は必要だ。男の先生ばっかりでは都合の悪いこともある。校長と養護(保健室の先生)もついて行くのが普通。

例を挙げていくときりがないのだが、とにかく学校というところは、生徒の人数が少なくなるほど、コストパフォーマンスが低下するもので、財政難の地方自治体にとっては、生徒数の減った
学校を抱えているのは頭の痛い問題なのである。

というお話を前提として、今回は、中高一貫校、耐震補強工事、学校選択制について、
学校ではなく行政側の視点で、ちょっと語ってみる。

四川省の大地震を例に挙げるまでもなく、学校の耐震補強工事は急務だ。
東海、南海、東南海地震に対する備えについても、俺がわざわざ語る必要もない。
避難所にも指定されている学校の校舎が倒壊しては、お話にならない。
だからこんなニュースも素直に頷くことができる。

耐震危うい学校に補助拡充 自民議連が法案提出へ (2008年05月21日 朝日新聞)
 政府は08年度予算で学校耐震化工事のために約1150億円を計上している。しかし、1校で1億円以上かかることもあり、多くの自治体は財政事情などを理由に工事を見送っているのが実情だ。

 文科省によると、公立小中学校の校舎約13万棟のうち、昨年4月現在で耐震性がないと判断されたのは約4万5千棟。このうち1万9343棟で本格的な耐震診断を実施。その22%に当たる4328棟は構造耐震指標(Is値)0.3(耐震強度0.5に相当)未満で、大規模地震で倒壊の可能性が高いという。
(*一部引用)

お金がなくて耐震工事ができない、だから国の補助を増やそうという結構な法案だ。
国庫補助率を現在の2分の1から3分の2に引き上げ、地方交付税措置も拡充。
いくつかの自治体と学校は、これで救われるだろう。
しかしそれでもどうにもならない自治体だってある。
ではどうするのか。

耐震補強工事が学校をつぶす理由になる

生徒が減っていずれ廃校になるのが目に見えている学校に、何千万何億の予算は組めない。
この際だから、大地震がこないうちに早めに統廃合しておこう、というわけだ。
たとえ工事が必要でも、統合した学校になら、コストパフォーマンス的にもベターである。
なにしろ生徒の命を災害から守るという錦の御旗があるから、心情的に意義を唱えるものは少ないだろう。

次、公立の中高一貫校。これも一言では語れないほど全国で様々な現状が入り乱れている。
純粋に新しい教育的な試みとして、建設的な取り組みをしている学校もあるし、鳴り物入りで蓋を開けたが、中身はなんだかなあになっているところもある。
そして、

中高一貫校は予算削減の切り札にもなる

中学校同士の統廃合ではなく、高校への吸収合併。行政にとって有難い選択肢のひとつだ。
表向きは発展的解消なのだから、たとえその内情が予算削減メインであってもかまわない。
いれものを用意して人間を放り込んでおけば、あとは現場の教師がなんとかするだろうと(笑)

三つ目は学校選択性。

生徒に入学する学校を選択させることで学校どうしを競わせて、質の向上を図ろうというのが、学校選択性の表向きの狙い。競争原理の導入で公教育がよくなるというわけだ。
もっとも私学では、昔から、お客様である生徒獲得のために様々な方法でしのぎを削ってきたわけで、試験もなく無条件で地域の学校に入学できることが特徴だった公立とは、
そもそも一線を画している。義務教育の公立学校で実施することにこそ、選択性の
意味と新しさがある。

すでにあちこちの自治体で実施されているこの学校選択性が、今後どのような評価を受けるのかは、もう少し長い目で経過を見る必要があるのだが、実はこれ、行政の目で見ると、別の意味でおいしいところが隠されている。

少子化で学校が減ると、廃校になった校区の生徒にとっては、物理的な不便が増える。
通学距離が長くなるし、地方では、地域住民の交流の要となる学校が消滅すると、住民の生活様式そのものが変わることすらある。都市部でも、できれば自分の地域の学校は、廃校にして
ほしくないのが親の本音だろう

もちろん統合による利点もある。生徒にとっては、限られた狭い人づきあいから、
大人数の中で交流の可能性が広がる。学校設備や教師の数などもスケールメリットがある。
しかし、登校距離など物理的な不便は変わらない。近所の友達も少ない。

都市部で、少子化を迎えた同じようなふたつの学校の、どちらか1つを廃校にしなければ
ならない場合、どちらをとるかはなかなかに難しい。行政にしてみれば、廃校決定までに地域住民からの反対運動や、様々な調整がからんでくる。跡地の売却や転用などで、両者に明らかに
差がつかないとなると、なぜこちらの学校を廃校にするのか、明確な理由がいる。

そこで学校選択性ですよ

学校同士を競わせておけば、そのうち勝手にどちらかが不人気となり、生徒が減り、つぶれてくれる。
なぜその学校が不人気になったのか、教師の努力が足らなかったのか、結局は地域性によるものだったのか、そんな理由は、行政にとってはどうでもいいことだ。

とにかく学校選択性で生徒数の減った学校をつぶせばいいのだから、話は簡単だ。
つぶす理由となる数字が、生徒数としてはっきりでてくるのだから、ややこしくはない。
地域住民の反対? そんなもんはどうってことない。

だってその学校を選ばなかったのは地域住民ですから

行政は、自ら決断の采配を振るう手間が省ける。競争原理万歳である。学校選択性には
こんな便利な使い方もあるのだ。

中高一貫校とか学校選択性とか、こういう一見おいしそうな目新しいモノは、決して生徒や保護者だけの利益を考えて実施されているわけではない。
いろんな方面にとって、それぞれにおいしいところがなければ、いまどきやってられない。
これらの中に、教師にとっておいしいところがどこにあるのか良く分からないが、
せめて読者の保護者の皆様は、ご自分やお子様にとってのおいしい部分を、上手に利用していただきたいものだ。

大阪府の橋本知事も、教育予算削減にかけては強烈な采配を振るっている様子。
これについてはいずれまた別項で。


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自殺の是非についてここで語る気はないのだが、少なくとも車や電車に飛び込んだり、
ガス爆発で隣人を巻き添えにするような甘えた輩は、迷惑千万としかいいようがない。

だからと言って迷惑をかけない自殺を肯定するつもりもないのだが、最近は、妙に周囲に気を
配った自殺方法やら、みんなで仲良く道連れやら、首をかしげるようなのが目に付くように
なってきた。その中のひとつが、注意喚起用の張紙PDFまで存在する硫化水素自殺なのだが、
こうして学校に振られるとなると、無視するわけにもいかない。

どう教える?苦慮する学校 教科書に「硫化水素」実験紹介(2008.4.30 産経新聞)
 硫化水素による自殺が相次ぐ中、学校現場や教育委員会が対応に苦慮している。ガス発生の材料となる洗浄剤がトイレ清掃用として校内に常備され、硫化水素を発生させる実験を紹介している教科書もあるからだ。「危険性を教えなくてはならないが、逆に興味を持たれても…」。こうした懸念から、現場への通達を出すかどうか足踏みしている教育委員会も少なくない。

 29日にマンションで硫化水素自殺が起き、避難途中の女児(2)が転倒、軽傷を負う事故が発生した大阪府寝屋川市。30日に開かれた同市内の小中学校校長役員会では、児童、生徒への注意喚起をどう行っていくかが話し合われた。

 ただ、指導を行えば、好奇心の強い年代だけに逆に関心を持たせることになりかねない。市教委教育指導課の担当者は「何もしないわけにはいかないが、子供たちが変に影響を受けてしまっても…」。大阪府教委も「自殺などを助長することにもつながりかねない」として、市町村教委への通達を出すかどうかを決めかねている。

 ガスを発生させるトイレ清掃用洗浄剤の扱いに神経をとがらせている学校もある。

 23日に女子中学生(14)が硫化水素で自殺した高知県香南市の市立野市中は、洗浄剤をトイレの鍵のない用具入れに保管している。トイレ掃除は生徒が分担しており、当番の生徒たちが便器の洗浄に洗剤を使っている。谷村正昭校長は「勝手に持ち出せないよう今後、用具入れに鍵の取り付けを検討している」。使用時は教員が必ず立ち会うようさらに徹底するという。

 中学理科の複数の教科書は「物質の化合」の単元で、試験管の中で混ぜ合わせた鉄粉と硫黄の粉を加熱した後、塩酸を加えて硫化水素を発生させ、においをかいでみるという実験をイラスト付きで紹介している。

 「実験をする際の注意事項を確認したい」。東京都内の教科書会社には、これまでに中学校などから数件の問い合わせが寄せられた。

 教科書会社はイラスト中に記載している「換気を十分に」「深く吸い込まない」「発生する気体は有毒」などの注意点をあらためて説明しているが、「何十年も前から載せているスタンダードな実験。注意を守れば安全だが、『危ないからやるな』と文部科学省から指導が出るかもしれない」と戸惑う。教科書改訂時に、この実験を載せるかは決めていないという。

 香南市立赤岡中は2年生が11~12月ごろの授業で、教科書に沿って、この硫化水素発生の実験をする予定。実験にあたって、危険性をより丁寧に教えるなど指導内容を見直す方針だ。

 「どこの学校現場も頭を痛めているのでは」と宮地憲一校長。大阪府教委小中学校課の担当者も「指導の際には、どうしても自殺が起こっていることに踏み込まなければならない。どこまで教えるべきなのかは難しい問題」と話している。



読者の皆様も、中学生時代に理科の実験で経験したのではないだろうか。
硫化水素の名前は忘れても、あの強烈な臭さは一度嗅いだら忘れられないだろう。
アンモニアと共に、中学校の理科実験でダントツの激烈悪臭ツートップだ。

実験中は、理科室の前を通るだけで温泉のようなにおいがしてくるし、生徒たちは
「くっさーーー!!!」「おえーーっ!」などと大喜びしている。
しかし、悪臭であることは確かだが、その割には気分が悪くて倒れたという話もあまり
聞かないし、もちろんそれで死んだなどという話は聞いたことがない。
さすがに文部科学省も、生徒が死ぬような実験は教科書に載せないわな(笑)

それが自殺で流行るものだから、こうして新聞に書かれることになってしまった。
理科の発生方法と、自殺用で紹介されている発生方法は違うので、そのまま真似はできない。
しかし実験の前に「これで自殺しないように」とか指導するというのも、いかがなものか。
この仕事、敏感に世相を反映しなければならんのは、今に始まったことではないが、
「指導の際には、どうしても自殺が起こっていることに踏み込まなければならない」って
言われてもなあ。困ったもんだ。

だいたいこういうのは、学校で言われて初めて知って、「え? そんなのあるの!?」と
びっくりする生徒が多いのだ。今までならそれで終わっていたが、最近は家に帰ってネットで
検索し、詳細を事細かに書いたページをすぐに発見してしまう。難儀なことだ。

それはそれとして、俺が気になったのはあれ。サンポールですよサンポール。
うちの学校もトイレ掃除にサンポール使わせてるし、他校でも昔からそうだった。

なぜサンポールは学校御用達なのか(笑)

うちの学校は、生徒が自由に使えるわけではなく、鍵のかかる倉庫にまとめて保管して
いるが、こいつはそういう問題じゃないだろ。

いまどきなぜサンポールなのか

俺は別にサンポールに恨みがあるわけではない。しかし、他にいくらでも安全で性能の
いい洗剤があるのに、なぜわざわざ塩酸入りのサンポールを使うのか、だ。

おそらく、古い学校の恐ろしく汚いトイレでは、それくらい強いのを使わないと汚れが
落ちなかったのだろう。サンポールは、発売されてから20年以上経つロングセラーだ。
最近になって、どんどん新しい洗剤が出来てきて、家庭ではそれを使うようになってきた。
我が家でも、わざわざサンポールを使ったことはない。家庭には、汚れやすい小便器が
ほとんどなくなったことも影響しているだろう。

学校では、あちこちにこういう伝統的な商品や習慣がそのまま保存されている。
レモン石鹸と青いネットもそうだ。一時流行した緑色のアルボース石鹸も。
さすがに男子トイレ小便器の中の蛍光色のトイレボールは、もう見かけなくなったが、
ひょっとするとどこかの学校では、まだその習慣が保存されているかもしれない。

結局学校では、単なる惰性でサンポールを使い続けているのだろう。
さっさと他の製品に変えれば、自殺騒ぎに巻き込まれていらぬ心配をすることもない。
賢明なる校長の皆様には、こんなことでビビってないで、すみやかに対処しておくことを
お勧めしておく。

調べてみたら他にも類似製品はあるのに、サンポールの知名度は抜群。
発売当時画期的な性能だったのか、それとも安かったのか。ルーツには興味が尽きない。


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「教師は世間知らず」「学校では社会の常識は通用しない」などと叩かれることがよくあるが、
この現状もそのひとつの例ではないだろうか。公立高校入学金未払い問題の続報だ。

入学金未払い・学費未納、悩む現場 退学勧告も(2008年04月16日 朝日新聞)
 千葉県立八千代西高校(八千代市)で入学金を払っていない生徒2人が入学式に出られなかった。入学金未納や授業料滞納の増加は全国的な現象で、退学など厳しい処分を決めた教育委員会も少なくない。同じ問題に悩む全国の公立高校からは、「やむを得ない」「それでいいのか」という賛否両論が上がる。

 ◆総出で家庭訪問

 千葉県西部の県立高校の校長は「条例がある以上同様の対応を取るだろう」と八千代西に理解を示す。
 この校長は、前任の高校で授業料の滞納が相次ぎ、担任や事務職員総出で電話や家庭訪問を繰り返した。「卒業後になっても分割で頑張って払ってくれる家庭もある。払わずじまいでは不公平だ」
 別の県立高校の教頭も「まず入学して、その後に入学金を納めるというのはあり得ない。勝手に条例を変えてしまうことになる」という。
 未納は千葉だけの悩みではない。例えば、北海道教委は今春、資力があるのに道立高校の授業料や寄宿舎費を支払わない場合、生徒を出席停止や退学にすることにした。すぐに払えないなら5年以内に納付する計画書の提出を求める。

 山梨県も4月、授業料を6カ月分未納で出席停止、さらに2カ月で退学を勧告できるようにした。
 県立甲府工業高校は、経済的な事情を抱える生徒に許可制でアルバイトを認めている。ガソリンスタンドやコンビニで働き、授業料を自分で出す生徒もいる。戸田泰明校長は「将来は社会に出て働く子たちなので、その体験が生きてくる。そう指導する方法もあると思う」と話す。
 一方で、県立富士北稜高校の山田泰男校長は「決まりがある以上、八千代西は間違ってはいないと思う」としつつも、「入学式はスタートなので、本校ならとりあえず出させるかもしれない。矛盾するかもしれないが……」と悩む。

 茨城県では3月から実施した要綱で、7カ月以上滞納し、支払う意思も見せない滞納者に対しては簡易裁判所に申し立てることを決めた。
 県立竜ケ崎第二高校でこの制度を説明すると、33カ月分を滞納した卒業生が、毎月5千円ずつ支払うことを決めたという。仲澤進校長は「滞納者の家には私も何度も家庭訪問した。取り立て屋になったようでつらい」と話す。

 入学金(全日制5500円)を払っていない生徒や卒業生が06年度で850人を数えたのは大阪府立高だ。府教委は翌年度、入学を取り消せる規定を設け、滞納はゼロになった。
 しかし、「たとえ滞納しても入学式や卒業式に出席させないことはあり得ない。生徒に罪はないんだから」とある府立高校長(58)は言う。

 この高校では常に20~30人が滞納。担任たちは電話や手紙、家庭訪問などで納付を説得。生活保護費に含まれた授業料を使い込む親もいるため、支給日には担任が市役所に付き添うことも。授業料の一部を担任が立て替えたこともあるという。

 ◆「県条例で仕方なく」

 「学校としても出席させたかった。しかし、県条例で入学金を納めないまま入学を許可することができず、仕方がなかった。苦渋の選択だった」。千葉県立八千代西高の須藤信夫教頭は、そう話す。
 県施設の使用料や手数料についての条例に従い、県立高校の入学金は、手続きをする入学式当日に納付する。
 八千代西は、入学予定者に合格証明書を送付する際、費用や納付法を説明する文書を同封した。3月には保護者向けに説明会を開き、「当日に全額納付が難しければ分割もできる。授業料減免制度もあるので、事務室に相談に来てほしい」と伝えた。2人の保護者は説明会に出席。8日の入学式には一方の保護者だけ出席した。

 県教委によると、県立高校の授業料滞納は99年度まで全くなかったが、00~04年度に急増。その後、減少に転じたが、これは出席停止処分にできるなどとする要綱を定めたためではないかという。


この記事で、やっと現状がなんとなく見えてきたのではないだろうか。

前回、俺は珍しく(?)厳しい言葉を吐いたのだが、それなりの背景があるのが多少なりとも
理解していただければ幸いである。

今回冒頭で、学校では社会の常識が通用しないと書いたが、ツケどころか食い逃げ踏み倒しが
まかり通ってしまうんだから、確かに常識は通用しないわな(笑) 一般世間のように、
信販会社や怖いお兄さんが来るようになれば、きちんと払ってくれるのかもしれない。

そして、大阪の府立高校校長の、

「たとえ滞納しても入学式や卒業式に出席させないことはあり得ない。生徒に罪はないんだから」

これも、世間知らずの教師をよく表している言葉だろう。
民間で、一般世間で、金に関してこんな甘い話が通用するなら誰も苦労しない。
民間校長なら、こんなたわごとは一蹴しただろう。だってそれじゃ一瞬で倒産するから。

しかしだ。ここでちょっとゴーマンかまさせてもらう。

あえて言おう。それが教師の良心だ

最近はその良心につけこむ輩がなんとも多い。支える心を失った良心は、あまりにもろい。
地域や保護者に替わって学校や教師を支えてくれそうなものは、今のところ行政しかない。
学校が、条例や罰則で武装しないとやっていけない世の中。
うすら寒いものを感じるが、それも時代なのだろう。

毎日は案の定、何のフォロー記事もない。真面目にあちこち取材した朝日との差は歴然。
しかし教育問題の報道は、賛否の論調に差がつくことがけっこうある。日和見報道では
つまらないが、よく調べずに決め付けると恥をかく。ポピュラーなのに謎も多いのだろう。


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そもそも報道はナマの情報を客観的に伝えるものではなく、事実の断片を使って語り手の
主張を伝えるものであることは、皆様先刻ご承知のことと思う。たとえばこの記事。
見出しが語る論調は明らかだし、ごていねいに文末のコメントで念押しをしてある。

入学式:入学金未納、式に出さず 新入生2人、別室待機--千葉の県立高 
 千葉県八千代市の県立八千代西高校(大迫太校長、339人)が、入学金未納の新入生2人を入学式に出席させなかったことが12日分かった。大迫校長は「授業料滞納が目立ち、未納は負担の先送りと思った」と話すが、県の公立高校教職員組合は「非教育的対応」と批判している。

 県教委と同高によると、新入生159人に、入学金、教材費など9万円を8日の入学式に持参するよう求めていた。男女各1人が「お金が用意できない」などと持参せず、式直前、校長がそれぞれの担任に別室での待機を指示した。2人は約40分の式の間、教室と会議室で待機した。

 男子生徒は式前に学校の指示で母親に「入学金を払わないと式に出られない」と電話で事情を説明。母親は「後で払う」と答えたが、学校側は「滞納の可能性がある」として出席させなかった。母親は午前11時ごろ、9万円を持参して学校を訪れたが、式は終わっていた。その後、生徒は校長室で氏名を読み上げられ、「入学を許可する」と伝えられた。

 女子生徒の母親は午後5時ごろ、2万円を学校に持参し、同様に入学を許可された。

 大迫校長は「入学式当日に必要なお金は3月の説明会で伝えている。経済的問題があれば相談するよう話した。苦渋の決断だったが、当然の判断だと思っている」と説明。県教委指導課の田山正人・主任指導主事は「保護者と生徒にはつらい思いをさせてしまった。事前に入学金についての十分な説明をしており、学校としてはやむを得ない判断だったと思う」と話している。

 教育評論家の尾木直樹・法政大教授(臨床教育学)は「極めて機械的、官僚的対応。学校側は2人だけではなく、生徒、保護者に謝罪すべきだ」と話している。
 (毎日新聞 2008年4月13日)

要するに高校の対処が責められているのは明白だが、毎日新聞は、その論調で大多数の
読者が納得すると信じていたのだろうか。俺はむしろその姿勢に違和感を覚える。

ということで、いつものように補足解説をしていく。

高校は「経済的問題があれば相談するよう話した」ということだが、このあたりのいきさつは、
朝日新聞が詳しいので、以下、その部分だけ引用しておく。重要なポイントなので要注意だ。

同校と県教委によると、新入生159人は入学金5650円や教材費、授業料など計9万円を入学式当日に納めることになっていた。ところが2人の生徒が未納であることがわかり、保護者に連絡したところ、それぞれ「今日は払えないので、後日支払いたい」「お金を持ってきていない」と話したという。
 (中略)
 学校側によると、入学金などを式の当日に納めてもらうことは、合格証書を送付したときに説明書を同封し、3月17日に行われた入学者説明会でも連絡していた。その際、「持参するお金は一部でもいい。分納もできるので、経済的な心配があれば事前に相談してほしい」と伝えたという。説明会には2人の保護者も出席していたという。

(2008年04月13日 朝日新聞)

朝日の記事にあるように、保護者から事前にひとこと連絡があれば、こんな事態にはならない。
そんな例は珍しくもない。学校側はよくある通常業務として、粛々と対処するだけだ。
保護者の立場でも、経済的な事情がある場合、各種の奨学金など、事前に対処できる方法は
いくらでもある。もちろん高校入学後の申請もできる。

だから、この記事のポイントは、保護者の経済的な問題が云々などではない。
昨年は給食費未納問題が話題になったが、俺はあれに通じるにおいを感じる。
いくらなんでも「忘れた」などという単純な話ではないだろう。
仮にも大人のやることなのだから。

この親、連絡がなければ
知らん顔するつもりだったのだ


入学式後、本当に払うつもりがあったかどうかは俺には分からない。
しかし、少なくとも入学式当日については、この状況では確信犯だ。

我が子の為に
電話1本入れられなかったのだろうか


入学に限らず、所定の期日までに必要な費用を納めるのは、世の中のルールとして当然のことだ。
私学なら、期日までに振込みがなかった時点で自動的に入学資格を失効し、チョンだ。
それでも実際は、念のため高校から中学校に確認の問い合わせがあるものだ。

義務教育とは違うのだよ、義務教育とは

この親たち、世の中甘く見すぎちゃないか? 学校をなめるのもたいがいにしろと言いたい。
公立高校は慈善事業ではない。こんないい加減な親は、入学拒否されても仕方ないと思うがな。
子供には罪は無いと言うが、こんな親に育てられていると、やがて子も同じ過ちを繰り返す。
現場の空気を知りもしないどこぞの教育評論家に、「生徒、保護者に謝罪すべきだ」などと
見当違いの後押しをされて甘やかされたら、本当にろくな子に育たないぞ。

給食費未納は食い逃げだが、これは食券も買わずにメシを食おうとしているようなものだ。
こうやってマスコミが油を注いで回って、今度は入学金未納問題を演出か?(笑)


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